v1.0.18 初カキコ……ども……
さて、どうしたものか。
俺は、七橋さんの個人情報なんて、書き込んでいない。書き込めるはずがない。
でも、確かに疑うに足る材料はいくつも揃っている。
このまま俺が黙っていたら、この流れだと、恐らくは俺が犯人っていう事で確定になるだろう。
それは……なんとしても避けたい。
これから少なくとも1年は、このクラスのみんなと過ごすのだ。
今、ただでさえタグやプロフによってぼっち化の未来が確定しかけているのに、さらに「人の個人情報を裏サイトに書き込むような悪人」というレッテルまで貼られてしまっては、これからの高校生活はもう完全に闇落ちだ。俺はもう日の当たる場所を歩くことはできなくなる。
じゃあ、どうしたらいい……?
どうやったら俺が犯人じゃないって分かってもらえる?
いや……それ以前に、そもそもなんでこんな事になってる?
なんで、俺は疑われてる?
それは――
もちろん、ミントによって仕掛けられたタグとかプロフィールのせい、という部分はある。
でも、一番の原因は、俺がネットを怖がって、ずっとコミュニケーションを避けてきたからだ。
タグだってプロフだって、何かいい言い訳を見つけて、ネタにして遊んで貰えれば済んでた事だ。
――としたら。
ここでちゃんと話をして、理解してもらうしかないんじゃないか?
しかし、何をどう書いたらいいものか。
とりあえず、あれは俺じゃない、という事だけでも伝えておければ……いいのかな。
俺は腹をくくって、表チャットの書き込み欄をタッチした。
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k: えっと
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とりあえず書き込んでみると、フワッとした効果音とともに、俺のメッセージがチャット画面に流れた。
どうやら「k」というのが俺のIDらしい。
そういえば、IDの設定とかなかったけどいつの間に決まったんだろう……。
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mits: !?
mits: 【速報】ダークナイト様降臨
k: 御久仁です
ryo: @mits ちょっとやめようか
mits: すまぬ
ryo: @k ようこそ
||hiro||: っていうか1文字ID……?
emi_: 1文字ってあり得るの?
lilia: @k デコりかた教えて
mits: @lilia 自重
lilia: だって
ryo: このタイミングで登場ってことは?
ryo: jetblackは
k: 俺ではないです
ryo: 何か証拠になるものとか、ある?
k: それは
mits: ゴクリ
k: ない
mits: ないんかーい
ryo: でもまあやってない証拠、っていうのも難しいよね
koh: たしかに
ryo: あの掲示板は名前は自由だし、@kが書いたっぽく見せかけたのかもね
koh: なるほど
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とりあえず、伝えたい事は書けた。
証拠は確かに、ない。
というか、「ryo」さんの言う通り、やってない事を証明するっていうのはとても難しい。
でも、これで少なくとも「沈黙を保つ怪しい存在」から「話のできる相手」にはクラスチェンジできたはずだ。
あとは少しずつでも誤解を解いていければ、少なくとも俺が犯人じゃない事は、わかってもらえるんじゃないか。
わかってもらえると……いいな。
でも――
世の中はそんなに甘いものじゃない、という事を、俺はすぐに思い知らされる事になる――




