第31話 はじまりの村
勇者の誕生から半年。
荒れ果てた村は順調に復興の道を歩んでいた。
戦いの激戦地となった村は、一時期は瓦礫と化したものの、その痕跡は今ではすっかり見当たらない。
唯一記憶に残る存在として、あのオーガキングの存在もあったが、こんな辺鄙な村では魔物の王に対する伝承はなく、その強さを知る者は誰もいない。
僕が一撃で倒したことと、斧の攻撃を受けても死ななかったことから、見掛け倒しだったのでは、という噂が村の中にしばらくの間、流れた。
もっとも、それよりもアナスタシアが勇者となったことで、オーガキングの噂は特に注目されることなく、話題はもっぱら彼女が中心だった。
オーガキングが倒されてからの六日間にも及ぶ彼女の奮闘。
誰の目から見ても明らかなその偉業は、今でも村の語り草となっている。
命を落とした戦士もいたが、それでもあの猛攻の中で、多くの村人が生き残っているのは奇跡と言える。そのことがより彼女の勇者としての評価を上げた。
そして、今、もっとも村中で話題となっているのは、クレイとリリアの存在だった。
――この世界では誰もが知っている御伽噺。
小さな村で勇者が誕生するという伝説。
勇者は同じ村で育った仲間と共に旅に出て、魔王を倒して、この世界を旅するというもの。
勇者が誕生すると同い年の仲間たちもまた神託を受け、勇者のパーティの一員となる。そのことは、今回の一連のシナリオによって決められている。
そして、勇者、魔導師、聖女、斥候の勇者パーティが誕生する。
これは、どのはじまりの村で勇者が誕生したとしても、『魔の森』に周囲を囲まれており、この危険な領域を攻略するためにはバランスのとれた力を備えたパーティが必要となるからだ。
小さな村において、同い年の集まりは珍しく、自然と幼い頃から仲が良くなり、友情も芽生える。
その結果、勇者パーティとして構成された直後であっても、連携と一体感はすでにつくられ、困難を乗り越えることが可能だ。
この村でアナスタシアと同い年が固まっているのはそのためだった。
クレイとリリアが少し前に十二歳を迎えて、教会で神託を受けた。御伽噺の通りに、それぞれが魔導師と聖女としての神託が下った。ごっこ遊びでの職業は、そのまま彼らの資質を表していた。
神託が下った瞬間、二人にはそれぞれの職業技能が芽生え、それに適した技能が身の内に宿る。魔法を使えるようになったクレイは浮かれた顔で魔法を乱発し、『魔の森』でゴブリンを倒しまくっていた。
――残る職業は斥候だ。
奇しくも僕とセシルは同じ日に生まれ、同時に十二歳を迎えた。
二人並んで教会の前に立ち、扉を開ける。
教会に入る前に、アナスタシアと目が合った。彼女は声をかけたそうにしていたが、口ごもる。「アンリが斥候だよね」と、その顔が訴えかけていた。しかし、何かを感じているように、そのことを決して彼女は口にしなかった。
教会の扉が開かれ、僕とセシルは同時に足を踏み入れた。
教会のステンドグラスから昼の光が差し込め、どこか神秘的な雰囲気が漂っている。
「これでお別れなんですね」
セシルが言った。
彼の中では魔物とも勇敢に戦える僕が、勇者様一行の最後の職業、斥候の神託を受けることが決まっているかのような口ぶりだった。
「これから皆が旅立つのは寂しいですが、ボクはボクで、これまで通り村を守っていきますよ」
「……まだそうと決まったわけじゃないよ」
「でも、ボクでは明らかに力不足です」
「神託によって全てが変わるよ。きっとね」
僕は言いながら、教壇の上にある水晶に手をかざした。その瞬間、水晶の中に文字が形づいていく。水晶は古代の錬金術師たちが鑑定の技能を応用して作りだしたものだ。それはまさしく人類の叡智であり、鑑定レベル10に相当する。その仕組みは個人が所持している一番高い技能をもとに適正の職業を導き出す。
ただし、アナスタシアのように勇者の卵の素質を持つ者は村人と鑑定される。もっとも、この結果に関しては作成した古代の錬金術師は一切認知しておらず、ひとえにこの水晶を利用してより強い勇者を選定するための神の御業によるものである。
――僕の一番高い技能は隠蔽レベル21だ。
しかし、このレベルは水晶が持つ鑑定技能のレベルを大きく超えている。次第に水晶の中にあった文字は霧散し、水晶には何の文字も浮かび上がらない。鑑定の失敗だ。
《全知の書》に記されている僕の歴史のように空白だけが、水晶の中に刻まれる。
マルクとセシルがお互いに顔を見合わせて驚いているようだった。
この世界で言うところの神託は、僕に何の道も示さなかったからだ。
予感はあった。
《全知の書》が新たにこの村の歴史を刻んだ時にでさえ僕はその歴史に登場していなかった。半神だからかと思いもしたが、それも違う。僕がアンリだからだ。それゆえにこの世界の歴史に名を刻まない。――いや、刻めないのだろう。
「セシル、アナスタシアを頼んだよ」
戸惑いながらもセシルは僕の言葉を受け止めてくれたように表情が引き締まる。彼が水晶に手をかざすと、神秘的な輝きが広がった。水晶の中に文字が浮かび上がり、そこには斥候の字が刻まれていた。
彼の身体に水晶を媒体としてまるで神の力が働いているかのように、神託の恩恵が流れ込んでいく。セシルの技能が変革され、新たな力が宿る。
その様子を僕は鑑定をしながら見ていた。
『セシル』
(種族:人族)
Lv 68
HP 118
MP 153
VIT 10
STR 30
DEX 85
AGI 35
INT 65
MND 10
【技能】
共通語(人族)Lv3
斥候 Lv5
弓術 Lv5
体術 Lv5
解剖学 Lv5
探知 Lv5
開錠 Lv5
毒知識 Lv5
罠解除 Lv5
野営 Lv5
鑑定 Lv5
潜伏 Lv5
隠蔽 Lv5
隠密 Lv5
――さすがは勇者様ご一行だ。
神託が下るだけでいきなり中級冒険者以上の強さだ。
セシルのみならず、アナスタシア、クレイ、リリアもそれぞれが職業技能に応じた技能を習得し、その強さは四人でならいきなり『魔の森』を十分に踏破するほどのものだ。
セシルが斥候としての役割を担うことで、ここに勇者様一行のパーティが揃う。彼はなんとも言えない表情で、僕を見たが、僕はそんな彼の肩を軽く叩いた。
教会の外に出ると、クレイとリリアが待っていた。
「――斥候にはなれたのか?」
と、二人は訊いてくる。その期待の声は僕に向けられていた。セシルと同様に彼らも、これまでの僕の行動から僕が選ばれるものだと思い込んでいるようだった。しかし、アナスタシアだけは違っていた。彼女は終始無言で、どこか寂し気な表情をしていた。
「……ボ、ボクだったよ」
セシルがどこか申し訳なさそうに口を開いた。その答えで場の雰囲気が一変した。それは予想外の回答への驚きと、同い年でありながら僕だけが選ばれなかったことへの哀れみが感じられる。
それから数日の間、アナスタシアたちはお互いの能力を確かめ合い、連携を確認しながら勇者一行のパーティとしての練度を高めていった。
神託は絶対であり、勇者パーティは旅に出なければならない。
彼女たちの遺伝子にそういうものだと刻まれでもしているかのように、はたまた、世界の意思がどこかに存在し、彼女たちを駆り立てるのかもしれない。
それを当然であるように皆が受け入れ、着々と『魔の森』を横断するための準備が進められていく。彼女たちはもうすぐこの村を発ち、旅に出る。その日は近い。
その傍らで僕は相変わらず日課をこなすが、彼女たちの輪に入ることはなかった。川辺で黄昏を五人で見た光景はもはや良い思い出と化していた。
彼女たち四人がパーティとしての連携と友情を育んでいるのを見ていると、まるで彼女たちには彼女たちの新たな物語が始まったかのような印象を受けた。そこに僕は――アンリは最初から存在しないかのように思えてしまう。
いよいよ、彼女たちの出発が明日に迫る。
村は収穫祭もかねて、その前夜、盛大な宴を催した。その宴から隠れるようにして、僕はアナスタシアに呼び出された。
「ねえ、アンリ。いつか一本取るって言ったよね。今がそのときだよね」
アナスタシアが勇者になって以来、一度も試合をしていない。バハバルに村の中での戦いを禁止されたからだ。彼女が勇者になった直後に道場ではしゃぎ回って、勇者としての力を余すことなく発揮したせいで道場を破壊してしまったためである。
村の中で行われる宴の喧騒と夕陽が沈んだ後の薄暗がりの夜の空の下、僕たちは川辺に移動する。
かつてごっこ遊びをした場所だ。今では懐かしい。
村の中の喧騒とは真逆に、静まりかえった雰囲気が辺りに漂っている。
お互いに木剣を構える。
アナスタシアはその青い瞳に真剣さを宿し、風になびく金色の髪が黒塗りの夜の中で輝いているようだった。
――本当に強くなったな。
その構えを見ただけで、剣では叶わないと思えてしまう。隙をどこにも見つけられない。技能では確実に勝てない。戦闘ログを表示させるためにアナスタシアを鑑定する。
『アナスタシア』
(種族:人族)
Lv 70
HP 195
MP 192
VIT 36
STR 53
DEX 57
AGI 20
INT 58
MND 32
【技能】
共通語(人族)Lv3
勇者 Lv5
剣術 Lv5
体術 Lv5
解剖学 Lv5
騎士道 Lv5
戦術 Lv5
受け流しLv5
魔法 Lv3
魔法抵抗Lv5
探知 Lv5
魔力探知Lv5
投てき Lv5
槍術 Lv5
神聖魔法Lv2
斧術 Lv1
弓術 Lv1
勇者としての技能が芽生えた瞬間、教会で見たセシルと同じように、アナスタシアも多くの技能を習得した。今の彼女は中級冒険者以上の強さだ。
戦闘ログにはアナスタシアの攻撃の命中率は50%と表示される。出会った頃はたとえ棒立ちでも攻撃が当たらなかったが、今ではそうはいかない。
アナスタシアの一歩に呼応して身構える。空気が張り詰める。最初の一撃。彼女の剣が空気を切り裂き、迫る。
瞬時に身を躱し、その隙をついて反撃を試みるが、彼女の身のこなしは軽やかで、余裕をもって避けられる。いつもならここで終わっているところだ。
次第に戦いは激しさを増していく。
剣と剣が交わり、アナスタシアの風になびく髪が静寂を切り裂く音とともに楽し気に舞っている。彼女の攻撃を避けるのがやっとだった。剣と戦術の技能レベル差が大きい。それでも僕の方がAGIは三倍ほどあり、攻撃速度と回避率50%の利点を活かしてなんとか立ち回る。
戦いの中で、アナスタシアは自然と微笑みを浮かべていた。
一方の僕は攻撃の合間に深く息を吸い、全力で応戦する。しかし、アナスタシアの攻撃は時間が経つにつれて、剣と戦術技能が巧妙に交わっていくかのように、より洗練されていく。
二人の心臓の鼓動だけが、闘志に満ちた夜空に鳴り響き、戦いの結末への訪れを感じさせた。
継戦能力はかつてのアナスタシアと違い、今は彼女に天秤が大きく傾いている。何度も打ち合っている内に、僕の継戦能力が先に尽きた。
そして、鋭く風を切り裂く彼女の木剣が僕の額を打ちつける。
――一本。
勝利の判定。
声なき声が、僕とアナスタシアの間で夜空の下に響いていた。
ダメージ自体は対したことはない。額に触れると、前世で頬を平手打ちされたときみたいな感触だった。少し赤みを帯びて腫れている程度だろう。
(とうとう負けたか)
不思議と悔しさはない。
初めてバハバルと試合をしたとき。
あの時のバハバルもこんな気持ちだったのかもしれない。
隠密を駆使した本来の戦闘スタイルでの実戦なら負けないという自負と彼女がどこまで強くなるのか見てみたいという親心にも似た好奇心が、僕の心を満たしていた。
念願の瞬間に、アナスタシアは声を上げて喜ぶかと思ったが、その頬は一滴の涙で濡れていた。その勝利を彼女は喜びの微笑みで包んでいたが、同時に敬意も込めた視線をこちらに向けて静かに泣いていた。
「やっと。やっと一本だよ。アンリはこんなにも強かったんだ。たとえ神託が下らなくても、アンリはこんなにも強いんだね」
アナスタシアは続けた。
「――ねえ、わたしたちは明日旅立つんだよ?」
「知ってるよ」
「だったら!」
アナスタシアの叫びがどこか哀しみを帯びて響く。
「どうして一緒に行きたいって言ってくれないの! たとえ神託がなかったって、アンリならきっとわたしたちと一緒に戦えるよ!」
「――君たちが選ばれたんだ。――僕じゃない」
いつか来るであろうと思っていたアナスタシアの言葉に、はっきりと拒絶の言葉を返す。僕もこの村を出て旅をする。そのための旅支度は終えて、家の外に隠蔽を施して隠している。その支度をしながら何度も思った。きっとアナスタシアたちと一緒に旅をしたら楽しい旅路になるんだろうな、と。しかし、僕はアナスタシアたちと一緒には行けない。
彼女たちはこれから四人で『魔の森』を協力して横断する。その経験を通じて、旅の過酷さや多くのことを学んでいくのだ。『魔の森』の先に何があるのか彼女たちは知らない。全くの手探りの状態での旅路は、きっとこれからの旅の糧となるだろう。僕の同行はその妨げにしかならない。
そして、なによりも旅の目的が違う。
これから魔王が誕生し、アナスタシアたちの旅はやがて魔王討伐のためになるだろう。
僕が若い頃にこの世界に転生できていたなら、異世界で活躍するという当時の憧れのままに、彼女たちと行動を共にしたのかもしれない。
しかし、今の僕は老人まで生きたこともあってか、そんな波乱万丈な生き方よりもどちらかといえば静かに余生を満喫したい気分だ。
――冒険者となって異世界を自由に旅をする。
再びアナスタシアたちと道が交わることがあるかもしれないが、それまでは僕は独りで、いや、アンリとして彼とともに第二の人生を謳歌したい。
「僕は僕で楽しくやるよ」
少し寂しそうに顔をうつむかせるアナスタシアに向かって、僕は笑った。
「だから――アナスタシアたちは、アナスタシアたちで冒険を楽しんできなよ」
「……分かった。行ってくるよ。後悔しても知らないんだからね!」
アナスタシアは涙を拭いながら快活に笑った。それが、彼女とこの村で二人で会話した最後の言葉だった。
翌朝、アナスタシアたちは旅立った。村中の人たち全員が集まって送り出す。終始、その中に紛れて周りの人と同様に僕も手を振った。リリア、クレイ、セシルといくつか会話をしたけれど彼らは名残惜しそうにしつつも、これからの旅に思いを馳せているようで、その瞳はしっかりと前を向いていた。
そして、その日の夜。この村で見届けたいものは全て見届け、僕も旅立とうと思った。家の外に『魔の森』で過ごすための天幕や食料を詰め込んだ背嚢を隠蔽で隠している。あとはセレナとモンドにどう切り出すか。こっそり家を出ようと思ったが、さすがにそれは薄情だろう。僕が迷っていると、夕餉の席で、モンドが真剣な顔をして言った。
「――おまえも行くのか?」
と。
僕は驚いた。
「気づいていたの?」
「――ああ。いつかこんな日がくるんじゃないかと思っていた」
「どうして?」
僕が訊ねると、セレナが微笑んだ。
「だって、あなたはアンリじゃないもの。わたしたちの子――本当のアンリは死んでしまったもの」
「………」
その告白に言葉を失う。同時に一つの疑問が氷解した。
――そうか。
どこから僕がアンリとして、なりすましたのか分からなかったが、すでに彼らは死体となったアンリを目撃していたのか。
本来の歴史で語られていたもう一つの真実。
アンリは――死産だった。
〝あの日、夜が深まったころ、アンリの死産とともに冷たい産声が闇に響いていた。
その無情な音に混じって、モンドの手が赤子の身体を包み込む。
しかし、その身体は冷たく、傍らのセレナの声は生気を伴っていない。
その言葉はもはや戯言の域であり、彼女の顔は疲れ果て、無力な表情を浮かべていた。
冷たくなった赤子を抱き寄せ、彼女は優しく微笑む。
すでに死んでしまった息子に。
その死を受け入れられず、彼女は朽ちていく息子を離さない。
やがて息子が埋葬され、完全に精神に異常をきたした彼女は短刀でその命を断とうとする。
その行いを止めに入ったモンドの首に短刀が運悪く突き刺さり、錯乱した彼女もまた、その命を断つ〟
これが、僕の知っている二人の歴史だ。
しかし僕は今でも覚えている。
セレナの優しい微笑みを。
モンドの無精ひげが痛かったことを。
きっと、朽ちていく途中で、僕の魂がアンリに宿ったのだろう。
すでに死んでしまっているアンリ。
本来なら死んでいる二人。
それゆえに、僕たちの歴史――未来は《全知》から逸脱し、空白だったのかもしれない。
「神様がアンリの魂を蘇らせてくれたのかと、当時は感謝したもんだが、おまえが成長するにつれてアンリじゃないことをうすうす気づかされたよ。幼い頃から大人顔負けの理解力と言葉遣いをすぐにできるようになったし、とても人間の子供だとは思えなかった」
「アンリには悪魔が宿っているかもしれない。そんなことを言われたときもあったわ」
「たしかにそんな噂が出回ったときもあったな。けれど、セレナを手伝うおまえを見て、村の人たちはアンリを受け入れてくれたんだったよな」
「…………」
僕は絶句した。無言のまま返す言葉が思いつかない。全く気づかなかった。死体に宿った魂。ともすれば悪魔として殺されてもおかしくない状況だ。こんな得体のしれない人間を村の人たちは受け入れてくれていたのか。
「幼い頃にセレナが真っ先に悪魔と声を上げた時、とうとう、本性を表したのかと思ったが、村が魔物に襲われた時、ようやくおまえがこの村に生まれた意味が分かったよ。死んでしまったアンリの魂が、勇者様を導くためにおまえを遣わしたのだってな」
「勇者様が旅立った今、あなたはあの子たちを追うのね。これからもあの子たちを導くために」
セレナが優しく微笑みながら言った。
「頑張ってね、アンリ。でも、帰ってきたいと思ったらいつでも帰ってきてもいいのよ。私たちはいつでもあなたを待っているからね」
「――お父さん、お母さん」
自然とその言葉が口から出た。
「ありがとう」
と。
セレナとモンドに抱きしめられながら、心の奥底で微笑んだ。
少し勘違いをされていたが、そこに水を差すほど野暮じゃない。
「いってきます」と、言葉に詰まりつつも、二人に、親子としての別れを伝え、僕は夜の『魔の森』に向かって歩み始めた。
暗闇の森を覆う月明りが、僕の心に少しばかりの興奮と名残惜しさを照らすようだった。
この日、僕にとってもこの村は、はじまりの村となった――。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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