表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/76

072 ゴールデンチェインメイル

 翌日、城に行くと師匠が待っていた。


「おう、ヴァルの奴から連絡があってな。そろそろ来る頃だと思っていたよ」


「師匠、装備が整いました!ダンジョンを連続で攻略したので、しばらく休養が必要だと思います」


「面白いことを言うじゃないか。修行内容をアダマンタイト級から地獄級に変更してもいいんだぞ?」


「地獄級!?すみませんでしたーー!!」


「チェインメイルを脱いだようだな。どうだ、何か変わったか?」


「そう言えば、あれから身体がとても軽いです」


 師匠から貰った特別製のチェインメイルは数十キロはあったはずだ。


「今はかなりの速度で走れるはずだぞ。走ってみろ」


 騎士団の練習場を1周してみたら、いつもの倍の速さで走ることが出来た。


「速!」


「そうだろう。俺の用意したチェインメイルのおかげだぞ」


 うんうんと頷きながら師匠は言う。


「あ、ありがとうございます」


「じゃあ、これを着ろ。今の装備は許可するまで着用禁止だ」


 師匠が差し出したのは金のチェインメイルだった。


「ゴールデンチェインメイルだ。こいつは特殊な金属でな、めちゃくちゃ重いんだ」


「いやだあああああ!」


 ロキは逃げようとしたが、首根っこを掴まれて引き戻された。


 強制的に着替えさせられたロキは金色のチェインメイルでとても目立っていた。


「ぐぎぎぎ、これめちゃくちゃ重いですよ!」


「うむ、そう言っただろう」


 それから地獄の特訓が待っていた。


 まずは騎士団の演習場を10周する。


「ハァ……ハァ……走ってきました!」


「よし、次は俺と模擬戦だ。ただし、俺の防御が一番薄い箇所を狙う事!」


「師匠、防御が一番薄い箇所って何ですか?」


「防御しようと意識していない場所だ。一見は百聞にしかず。まずはかかってこい!」


「はい!」


 ロキは木剣で師匠の胴を狙った。しかし、簡単に避けられ木剣による反撃を食らってしまう。


「違う!今のは右足を狙うべきだ」


「はい!」


 この特訓はロキが習得するまで続けることになった。


「よし、次はロキのスキルを更に進化させるぞ」


「僕のスキルはまだ進化するんですか!?」


「おう、これを見てみろ」


 師匠が見せてきたのは一匹の兎だった。


「兎……ですか?」


「そうだ、これに【死んだふり】をかけてみろ」


「え!?生き物には無理でしたよ」


 以前、家族に試した時には無理だったのだ。


「いいからやってみろ」


「【死んだふり】!」


 兎はコテッと倒れた。


「【死んだふり】にかかった!?」


「上手くいったみたいだな。今後はこのスキルの特訓も平行で行っていく」


「了解です!」


 師匠との特訓の日々は半年間続いた。その間、ロキヘイムのみんなと冒険者ギルドの指名依頼をこなしたり、ダンジョンを攻略したりもしていた。


 そんな平和な日々がずっと続くと思っていたが、事件は突然起こった。


「聖ガルド教皇国から宣戦布告された。戦争が始まるぞ」


 城でいつも通り特訓をしていると、師匠からそう告げられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ