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054 運命の日

 ロキは追手を撒いて砦に集合した。ロキ以外は既に砦に着いていたようだ。


「ロキ!お疲れ様!上手く行ったね」


 シャルが笑顔で労ってくれた。


「★は何個集まったの?」


「なんとなんと!83個も見つけちゃったよ!」


「おおー!」


 さすが大手クラン。人数の多いクランはそれだけ★を集める能力も高いみたい。


「マスター、★の合計は124個です」


「凄い数になってきたね」


「まだまだこれからですよ〜それよりも、怪我のチェックをしますねぇ〜」


 ロザリーさんの怪我チェックが始まってしまった。そして恐れていたことが起こってしまう。


「擦り傷があるじゃねぇか!早く言えよ!ヒール!」


 性格が豹変したロザリーさんによって怪我は治ったけど、少し精神的にダメージを負ってしまった。しかし、怪我が無くなれば優しいロザリーさんに戻るので、精神的なダメージは消える寸法だ。ロザリー流回復術恐るべし。


「ヒール、ありがとうございました」


「どういたしまして〜」


「みんなもお疲れ様!今日は疲れただろうから、ゆっくり休もう」


「はーい」


「了解です」


「ロキさんも一緒にお風呂に入りますかぁ〜?」


「や、やめときます!」


 一緒に入るなんて言ったらどうなってしまうことやら。シャルやアルエも入るとか言い出す未来が見えた。



 翌日からも他クラン探しをしつつ★を集める。クランを探す。倒す。★を回収する。そんな事を繰り返して3日が経過した。★は合計で387個となった。


 そして遂に運命の日がやってきてしまった。ウィリアム率いる軍団が砦を包囲したのだ。


 以前のウィリアム軍団は100名程度の規模だったはずだが、付近のクランを吸収・合併したのか今は1000名規模にまで膨らんでいた。


「ウィリアムが攻めてきたよ!」


 シャルが報告する。


「ウィリアム軍団1000人 vs ロキヘイム4人って無謀すぎない?」


「我もいるぞ。5人に訂正するのだ」


 サラは不満そうだ。


「ごめんごめん、1000人 vs 5人だね」


「作戦はどうしますかぁ〜」


 ロザリーさんがロキに尋ねる。


「僕達は人数が少ないから囲まれたら終わりだと思う。だから、あえて門を開けてそこから来た敵を討つことにしたらどうかな?」


「じゃあ、あたしは壁の上から門以外を通ろうとする敵を狙うね」


「じゃあ、シャルの担当は砦の西側と南側をお願い」


「オッケー!」


「サラはロックゴーレムに乗って、東側の防衛をお願い」


 火を吹くロックゴーレムだ。間違いなくカッコイイ。


「ふむ、移動手段としてゴーレムを使うと言う事か、悪くない。東の守りは任せておけ」


「僕とアルエで門を守るよ。ロザリーさんは誰かが傷を負ったら回復してあげてください」


「わかったわ〜」


「了解です」


「よし、じゃあ作戦開始!」


 門を開ける。門の外には堀と橋がある。そして、橋の向こう側にウィリアムとその軍団が居た。ロキとアルエは橋の上まで進む。


「やはり生きていたか!ロキィィ!」


「かなり元気だよ。ウィリアムは顔色が悪いね」


「全てお前のせいだ!お前を殺す!そして奪われた聖剣も、信頼も、権力も取り戻してみせる!」


「僕を殺しても聖剣くらいしか戻ってこないと思うけど……」


「うるさい!とにかくこれで終わりだ!全軍突撃しろ!!」


 ウィリアム軍団とロキヘイムの戦いが始まった。

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