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041 次の目標

「やっと王都に着いたー!」


 シャルが王都の門を見て思わず声を上げた。


「あの厄介な墓地を迂回したけど、その分時間がかかっちゃったよね」


「拠点に戻ったらお風呂に入りたいですねぇ〜」


「ロザリーお姉ちゃん一緒に入ろうよ!」


「いいわよ〜ロキさんも一緒に入りますかぁ?」


 え?なんでそこで僕を誘うの!?


「マスターが入るのならワタシも入ります」


「いやいや!僕は一人入るから!」


 王都の拠点に戻り、その日は各自自由に休憩することにした。


 翌日、冒険者ギルドに行きアンデッドダンジョンの報告を行う。


「え!?グレイフライアーズ墓地を通ったの!?しかも、ダンジョンで落とし穴に落ちてボスと戦ったですって!?そんな無茶苦茶な……」


 ベリンダさんに驚かれてしまったようだ。


 結果的に僕のランクはこうなった。


 名前:ロキ

 スキル:死んだふり

 級位:金

 ランキング:6751位(7000位→6751位)


 金級ともなると、ダンジョンを1回攻略した程度ではあまり上がらないみたいだ。ダンジョンを何十周と周回するか、トーナメントで優勝するしかない。


 そして僕はダンジョンを地道に周回することを決心した。


「次は師匠へ報告に行こう。何を言われるのかちょっと怖いけどね」


「アンデッドダンジョンはクリアしたんだし、きっと大丈夫だよ!」


 シャルはいつでもポジティブだ。


「そうだね。じゃあ、行こう!」


 城に到着し、師匠は会議中だった為、訓練場で自主練習をしておく。もう訓練場は家の庭よりも見慣れた景色に感じる。


「おう!お前達、アンデッドダンジョンは攻略してきたようだな?」


「はい!攻略しました!」


「ランクはいくつ上がった?」


「えっと、249位上がりました」


「どう思った?」


「どうって……上がりにくくなったなぁと思ったくらいですけど」


「その通り!金級の奴等は意識高い系の冒険者が多いんだ」


「意識高い系……」


「サボっているような奴はほとんど居ないってことだ。つまり順位を上げるにはそれ相応の無茶をしなきゃならない」


「なるほど」


「で、今まではちょうど良く優勝したら級位が上がるトーナメントが()()()んだが……」


「なくなったんですか!?」


「いや、どこぞの国が冒険者ギルドに圧力をかけたみたいでな。個人戦ではなく、団体戦。競技ではなく、より実戦に近い形にしろと言ってきたようだ」


「それでどうなったんですか?」


「今年の開催国はここフティア王国だからな。さっきまでその会議をしていたんだが……結論から言うと無人島でのクラン対抗サバイバル戦になった」


「ええ!?全然トーナメントじゃないじゃないですか!」


「例の国が譲らなかったんだ。仕方がないだろう。あの国にはいつかお返しはさせてもらうがな……」


 怒りの表情でニヤリと笑う師匠はとても恐ろしく、ロキはイエスマンになるしかなかった。


「それで僕達は一体どうしたら……?」


「勿論、特訓だ!優勝クランには、賞金と4名の級位を上げる特典が与えられるからな。やる事は変わらないぞ」


「あの……地道にアンデッドダンジョンを周回してランクを上げるのはダメですか?」


「……」


 鬼の形相で睨んでくる師匠。


「いえ、クラン対抗戦やります!やらせていただきます!」


 こうして、ロキの次の目標が決まった。そして、クラン対抗戦の為の特訓が始まってしまったのだった。


「あ、ところで師匠。鑑定してほしい腕輪があるんですが」


「いいぞ。すぐに鑑定させよう。その代わり特訓するんだぞ?」


「ひいいい」


 ちなみに腕輪の鑑定結果は【力の腕輪】装備した者の力を増加させる腕輪だった。クランの会議で僕が貰う事になった。今まで片腕しか腕輪が無かったので、バランスが良い。

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