014 トロール
1週間後、ロキはトロールと戦うことを決断した。
ロキは大量の荷物を持っている。
「ロキ、持って行くだけで疲れるぞ」
サラが忠告する。
「でも、これくらいしないと勝てないかもしれないでしょ!?」
フラフラしながらロキとサラは南の洞窟に向かった。
洞窟は割とすぐに見つけることができた。
洞窟の入口を入ってすぐの場所にトロールが寝ているようだ。
「最初の一撃は重要だぞ」
サラがアドバイスしてくれる。
「そうだね。あ、良い案がある!」
ロキはトロールの近くまで忍び寄るとランプ用の油を撒き始めた。
「(ロキ!その油は我の油だぞ!勿体無い!)」
サラが抗議するが、ロキは気にせず全て撒いた。
「(サラ、後でいくらでも買ってあげるからいいでしょ?)」
「(絶対だぞ!)」
そして火を点けて、一旦退避する。
「ブオオオオオオオオ!」
トロールは火だるまになって転がる。
暫くすると、トロールの火は消えた。トロールの皮膚は黒く焦げている。
「ブフーーーー!」
こちらを睨みつけて威嚇しているようだ。
トロールがこちらに向かって走り始めるが、ドスドスとした足取りで動作はゆっくりとしている。
ロキは疾風の指輪の効果により素早く移動し、トロールの側面に回り込む。
左手には錆びてボロボロの片手剣を持っている。これが大量の荷物の正体である。
通称ゴブリンソード。無料で手に入れた使い捨ての剣である。
剣をトロールの脇腹に当てた。
「【死撃】!」
「ブギイイイイイ!」
剣は深々と刺さり、トロールは叫び声をあげるが倒れない。
だが、トロールがタフなのは想定済みである。
次の剣を拾い上げる。
「【死撃】!【死撃】!……」
持ってきたゴブリンソードを全て使い果たした時、ようやくトロールは倒れた。
「勝ったーー!」
「ロキよくやった!使った油は倍にして返すのだぞ!」
討伐証明部位を切り取って、魔石を回収する。あとは王都に戻るだけだ。
王都に戻り、冒険者ギルドに報告に行った。
「ベリンダさん、昇格依頼のトロールを倒してきましたよ」
「え!?倒せちゃったの!?」
「はい、結構苦労しました。これが討伐証明部位です」
「確認してきますので、少々お待ち下さい」
ベリンダさんはギルドの奥へ討伐証明部位を持って行った。鑑定でもしているのだろうか?
しばし待つとベリンダさんが戻ってきた。
「はい、たしかに確認できました。こちらが新しい冒険者プレートです」
名前:ロキ
スキル:死んだふり
級位:銀
ランキング:40000位
「おぉー銀級!プレート自体も銀製ですか?」
「はい、そうです」
「よーし!次は金級目指して頑張るぞー!」
「頑張ってください」
ベリンダさんに笑顔で応援してもらい、冒険者ギルドを後にした。
道具屋でサラと約束した油を買って帰宅した。
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