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便利って大事だよね?

 はっ!?

 ココはダレ? 俺はドコ?


 薄っすらと霞が掛かった様な頭を振る。

 グルグルと回る視界。


 あ、アカン。俺ってばまだ頭の方が重いじゃん。


 まだ子供ボディの俺はボスンとベットに崩れ落ちた。


 あー、ドウシテコウナッタ?


 …………。


 俺、両親のイチャラブに巻き込まれて死にかけたの!?

 この間の走馬燈が吹っ飛ぶわ!


「あら? 起きたのかな~?」


 あまりにもあまりな事に憤りを覚えていた俺にゆるふわな声が掛かる。

 実の息子を凍死未遂させる、デンジャラス母上だ。


 とりあえずベットから体を起こした俺は家の中を見渡して父の姿を探す。


「ん~? ダインを探してるのかな? ダインなら外で畑を見てるわよ」

「見に行く?」と母に抱きかかえられ家を出る俺。


 周りの明るさから、どうやら俺が凍死している間に時間が経過し翌日になっていたようだ。


 母に抱えられた俺は村の畑まで移動をした。

 そこには俺が作ってしまった泉の水を畑に撒いたり、洗濯物を洗う人たちで溢れていた。

 とはいえ集落と言ってもいい規模の我が村にそれほど人が居るわけではないので……、


 いや、なんかメッチャ洗濯物の汚れ酷くない?


「ああ、王妃様! おはようございます」

「おはようございます。みんなで洗濯?」

「はい! 王様と王妃様のお子様が作られた泉で水がたっぷり使えるようになりましたので、今までため込んでいた洗濯をみんなしてやっていますよ」


 ニコニコとした顔で村人と話す母。


 まあ、確かに洗濯物って水を大量に使うよね。しかし見ているとみんなしゃがみ込んで俺が掘った水路を使って洗濯している。上流の方の人は綺麗な水で洗っているんだけど、下流に行くにしたがって水が汚れていく。

 俺が掘った穴からコンコンと水が湧き出ているから常に水が供給されているわけだが、俺の感覚からいったら勿体ない水の使い方をしているように思える。

 半円筒型の水路は確かに作業できるくらいの幅はあるんだけども。む~ん。


 俺は母に抱えられながらも泉の方を見て魔力ラインを伸ばす。

『まずは……、土台におわん型の器を作る!』


 ミョーンと伸びた魔力ラインが泉の辺りの地面に伸びると、その地面が隆起してでっかいボウルのような器を作り出した。もちろん水の出る穴として器の底には穴が開いたままだ。


「おお!? またお子様が何かするんですか?」

「あら、なにかしら?」


 器を作った為、一時的に水路への水の流れが止まったから異変に気付いた村人が立ち上がって泉を見る。母も首を傾げているが申し訳ない、俺はまだ上手く言葉で説明出来ないんだ。


 更に魔力ラインで魔力を送ってイメージを伝える。

『器の中央に細長い水管を通した噴水!』


 ヌルヌルとおわん型の器に溜まった水から噴水の塔が伸びてくる。

 ……うん俺のイメージが貧弱なせいか、あれってアレだ、前世の公園とかで見た覚えのある水飲み場の形じゃん!


「お、おお? 水が高くに上がっている! 王都でもあのようなものを見た覚えはありませんよ? アレは魔道具化しているのでしょうか!?」

「あらあら? お城にあった噴水よりも立派なモノね~」


 驚く村人。

 そして相変わらずのポヤポヤ母上。時々デンジャラスなのは怖いから止めてね!?


 そして魔道具化ってナンジャラホ?

 おそらくこの水の水源は周囲に見える山に溜まった地下水なのだろう。そこから流れる地下水脈にぶち当たったから、俺が走馬燈を見る羽目になったのだ。そして今、噴水から水が噴き出ているのは単純な位置エネルギーの結果のハズ。


 たぶんね?


「……もしかしてこの部分に溜まった水で洗濯しろってことなのかしら? これなら屈まなくてもいいからやりやすそうだわ」


 いかん。サッサかと工作を進めないと、()()でお洗濯物を洗われてしまう!


『イメージは水道橋!』


 俺は更に魔力ラインを伸ばして、今度は人の()()()()()()()、細長く作られた水道橋を作っていく。

 水道橋の一方は噴水の一辺に接続し、ある程度地面に作っている水路の真上を伸ばして設置。

 そして橋の足となる水道橋を支える柱に水受け台を作っていく。

 その水受け台には噴水から吹きあがった水が水道橋を通り柱を伝って上から注がれ、その台の底から柱を通って下の水路に流れ込むように接続する。


 最初、俺が作ったものに訳が分からなかった村人と母だったが、水道橋に水が溜まり水受け台へと水が注がれ、噴水のおわん型の部分にも水が溜まって溢れると下の水路にまた水が流れる様になった。


「「こ、これは!」」

 そう、俺が作ったのはいわゆる洗面台だ。

 それも柱の数だけ。


 俺の知識にある水を止めたりできる蛇口付きのモノではないが、これならば少し腰を屈めるだけでも使えるし、また洗い場を複数作ることで濯いだ水で下流にある物を汚すことなく洗うことが出来るはずだ。


 上下水道ってやつだ。

 まあ地下に通してないから、トイレとかに接続すると伝染病が蔓延したりするかもしれないが。


 それはともかく洗面台としても大型に作ったし土を盛り上げて成型しながら圧縮を掛けたから、早々に壊れなく使い勝手もいいもののはずだ。


 ずっと座って下向いて作業していると腰痛になっちゃうしね?


「「うひゃ~!? これはイイモノだ~!!」」


 喜び嬉しそうな村人の顔を見て、俺はウンウンと心の中で頷いた。

 そして「すごいわ~」と俺をブンブンと振り回す母がいた。


 ちょ、ちょっと、はは、う、え……ガクーン



 良い子の皆! 縦方向や横方向の急激な移動は、Gってヤツが酷くなって気絶や最悪死亡するから気をつけようね?

 俺との約束だ! ガックーン

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