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ペンギン三兄弟

ペンギン三兄弟 〜 34話 真夏の夜の海 の巻

作者: たかはら りょう

ペンギン三兄弟


チャン・・・性格は几帳面。声がいいが顔がデカい。

    サングラスをかけている。つぶあんが大好き。


ドン・・・体はちっちゃいが、器用に何でもこなす。

     収集癖あり。


ゴン・・・ド天然。普通のことが超不器用。

     日々体を鍛えてる。ゴジラが大好き。



ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。

今日も仲良く暮らしています。


このところ熱帯夜が続いています。

3羽は、なにやらゴソゴソと荷物をまとめて

車に詰め込みました。


チャン「いざ、しゅっぱーつ!」

ドン「ぼくが運転するよ」

ゴン「よろしく〜」


3羽を乗せた車は、高速道路の入口に入っていきました。

どうやら遠出をするようです。


1時間もたったころ、

車がたどり着いたのは、広い海岸でした。

暗くて静かな夜の海。

ザバーン、ザバーンと波の音だけが響いています。


ドン「おーい、起きろー、着いたぞー」

チャン「もう、着いたの?」

ゴン「ンー、ムニャムニャ、いい海びよりだねー」


暑さに弱い3羽は、夏は夜に海へ行くのが恒例となっていました。


3羽は、準備体操を始めました。

おいっちにー いわし

にーにー さんま

さんにー ししゃも


チャン「じゃあ、ひとおよぎ行こうぜ」

ドン「ヨーイ」

ゴン「ドン!」


3羽はいっせいに海へ飛び込みました。

水を得た魚、いや、もとい、

水を得たペンギンらしく、

ピューン、ピューンと、縦横無尽に泳ぎます。


ゴン「夏の海は気持ちいいねー」

ドン「見て見て、ついでに魚も獲っちゃった!」

ゴン「おー、焼いて食べようぜ!」


ドン「あれ、チャンは?」


そのころ、チャンはちょっと離れた岸辺によたよたとあがっていました。

チャン「なんか足が重いなあ」


見ると、チャンの足には

大きなタコがグルグルとまきついているではありませんか。


チャン「うぎゃー、なんだこいつ!おれは食いもんじゃねえぞー」

チャンは、足をばたつかせましたが、タコはちっとも離れないので、しまいには、タコを思いっきり蹴とばしました。


タコはスルスルっとチャンの足から離れたかと思うと、

チャンの目の前にスッと立ち上がり、

ブオーっと、

チャンに向かって墨を吐きました。


チャンは頭の上から足の先まで、

墨で真っ黒になってしまいました。


ドン「いやあ、魚もおいしいねえ」

ゴン「うん、海で食べるっていいよなあ」


そのとき、ドンとゴンの目の前に、大きなタコが

ドーンと飛んできました。


ドン「うわー、ビックリしたあ」

ゴン「タコが飛んできたよ」


チャン「オレが獲ってきたんだよ」


ドン「あれえ、チャンの声がするけど」

ゴン「チャンどこにいるんだ?」


ドンとゴンはあたりを見回しましたが、

チャンの姿は見えません。


チャン「オレはそばにいるよ」

チャンは、かけていたサングラスをはずしました。

するとチャンの目の周りだけ墨がかからずに、白くなっていました。


ドン「アハハ、目だけ白い〜」

ゴン「ワハハ、目だけしか見えない〜」

チャンの目に気づいたドンとゴンは、ケラケラと笑い転げました。


チャン「仕方ないだろ〜、このタコ野郎に、墨をかけられて真っ黒になっちゃったんだよ」


すると大タコがまたスックと立ち上がり、

3羽に向かって、ブオーンと墨をシャワーのようにかけ、サアーッと海へ帰って行きました。


残された3羽は、全身真っ黒になってしまいました。


チャン「おーい、みんないるのか?」

ドン「ぼくはいるけど」

ゴン「オレもいるけど」


真っ黒な夜の海岸に、真っ黒になった3羽のペンギンの笑い声がいつまでも響いておりました。


おわり


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