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ミズイロ

作者: TAKAFUMI

「はあ~やっぱり露天風呂は気持ち良いな~」

疲れた体に、温泉のお湯は体に染みる。だんだん体に力が漲ってくる気がする。

酒瓶からとっくりに酒を注いで飲み、夜空を見上げる。実際水だけど。

「う~ん。極楽極楽」

のんびり湯船に浸かっていると、女性の声が聞こえて来た。その声はだんだん大きく聞こえてくる。

すると、若くて綺麗な女性がぞろぞろこちらに来た。しかもみんな巨乳だ。

「入っても大丈夫ですか?」

女性のうちの一人が聞いてきた。

「い、いえ。どうぞ」

こんな綺麗な女性達と混浴出来るなんて、本当にツイてる。ついに自分にもモテ期が来た。ハーレム最高~


「・・・へへへ。さりげなく体触っちゃおうかな」

長野瑞則は、リビングで大の字になって寝言を言いながら眠っていた。

瑞則は、高校二年生で、しっかり者の妹、美空、ゲーム好きの母、綾香、優しくて頼れる父、新太の4人で暮らしている。

好きなものは遊び。嫌いなものは束縛。

ガチャ。

部屋のドアが開いた。

「ミズ兄。今日お風呂掃除の番でしょ。そろそろやってよ」

美空が部屋に入って来た。

しかし、瑞則は気付かず、寝ている。

「また学ラン姿で寝てる。いつものことだけど」

瑞則は中学時代以降、学校が休みの日もなぜかいつも学ランを着て過ごしている。以前理由を聞いた所、学ランは自分にとって私服でもあるかららしい。理解出来ないが。しわだらけになるのに。

「ミズ兄、起きてよ」

美空は瑞則の体を揺さぶった。

「う~ん・・。あれっ?ここは?温泉に浸かってたと思うんだけど・・・」

瑞則は目を覚ました。まだ夢から醒めていないのか、訳のわからないことを言っている。

「何寝言言ってるの?今いるのは自分の家だよ」

「ええっ?じゃあ巨乳の女性達は?」

「何寝ぼけたこと言ってるの?いい加減目を覚まして」

美空は瑞則の頬をつねった。

「・・・痛い。ああ、あれ夢だったのね」

頬の痛みで、瑞則はようやくさっきのは夢であると気付いた。

「今日はミズ兄がお風呂掃除する番だよ。もう夕方だから、やっちゃって」

長野家では、新太は平日の日中は仕事でおらず、紗綾は在宅業だが、生活リズムが不規則で、その上家事も出来ないので、平日は瑞則と美空の二人で家事を回している。

「わかったよ。もう~。いい夢だったのになあ・・」

瑞則はしぶしぶ返事をするとお風呂場に向かった。


「はあ~いつもながらかったるいな~」

瑞則は汚れている風呂場を見ながら呟いた。

「風呂掃除が楽しくなるようなこと、無いかねえ」

瑞則は左手の人差し指で頭をつつきながら考えた。

「そうだ、せっかく温泉に入る夢を見たんだし、今日は温泉気分に浸るとするか。ハーレムは無理だろうけど・・」

そう決めると、瑞則はいつもより洗剤を使い、念入りに浴槽、床はもちろん、排水溝なども綺麗に洗った。

「あとは温泉の素温泉の素」

洗った後、洗面所で温泉の素を探したが、見つからなかった。

「温泉の素無いな~。買うか。どこの温泉の素にしようかな・・」


「母さん。有名な温泉教えてくれない?」

瑞則はリビングに行き、3DSでゲームをしている綾香に聞いた。

「何で?」

「今日は温泉の素を入れたい気分でさ。もっと欲を言えば美人の女性と一緒だったらもっと良いんだけど・・」

瑞則はニヤついて紗綾の顔をじっと見つめた。

「どう?久々に一緒に風呂入らない?」

紗綾は瑞則の頭を殴った。

「いててててて・・」

瑞則はたまらず頭を抱えてうずくまった。

「高校生が親と混浴したいとか、気持ち悪いこと言わないの」

「じ、冗談で言っただけだよ。真に受けるなよ。父さんだったら良かった?」

瑞則はまたニヤついて紗綾の顔を見た。


「じゃあ、加賀温泉の素を買って来てよ。私も温泉の素入れたくなったし、北陸でも有名のヤツだよ」

「それじゃあ、それ買って来る」

そう言うと、また殴られた頭をさすりながら玄関のドアを開けて出かけた。



三時間後。


「ただいま!!」

瑞則は勢い良く玄関のドアを開けた。

「あ、ミズ君、お帰り。遅かったね。どこ行ってたの?」

新太が出迎えて来た。

「あ、父さん。帰ってたの?ああ、温泉の素を買いに行ってた。・・あれ、父さん。その格好・・」

パジャマ姿に首にタオルを巻いた姿を見て、嫌な予感がした。まさか・・

「ごめん。お風呂なら先に入ったよ。ミズ兄、帰って来ないから」

美空も瑞則の所へやって来た。美空もツインテールの金髪の髪を下ろしていて、パジャマ姿だった。

「自分が一番に入りたかったのに・・。温泉気分を味わいたかったのに・・。現地までバイクで飛ばして調達したのに・・」

(温泉まで行って入浴しないで温泉の素だけ買ったの?この人)

「この苦労は何だったの・・」

バタン!!

ショックの余り、瑞則は玄関に倒れこんだ。

「ミズ君!!大丈夫?」

新太は瑞則の体をさすったが、反応が無い。

「ミズ。警察から高速道路でのスピード違反で罰金の請求来てるわよ」

紗綾が請求書を片手に瑞則の元に来た。

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