閑話 フィアナの着せ替え
かわいいフィアナを想像してみて下さい。
私は目が見えません。なので、よく人からは綺麗だと言われますが、その綺麗という定義がわかりません。なので、あまりそう言った事に頓着をしていなかったら、この前お姉様に叱られました。あまり頓着しないと、シンに嫌われると。
でもそこで私は首をかしげます。私の見た目がどうであれ、シンは私に好意を抱いてくれると思っています。そう、だから実験なのです。私の見た目が変わると、本当にシンの感情が変わるのか?ただそれには協力者が必要です。なにせ、私は目が見えないので、その違いがわからないのです。だから協力者を募りました。フフフ、シンは私の格好が変わるとはたしてその感情が揺れ動くのか?
まず私はシンを呼び出します。シンには、新しく服を用立てしたので、感想を教えて欲しいと言ってます。ちなみにシンは、フィアナなら何を着ても綺麗だよと言っていました。シン、減点1です。それは感想ではなく、無感想です。私にはわかりませんが、色味で合う、合わないとかあると言われました。私は、銀色の髪で銀色の瞳らしいので、それに合うものもあるらしいのです。
そして今回、私の服を選んでくれたのは、次の四名。お姉様、アイシャ、ナタリア、ニナです。ニナは、私が着飾っているのを見て、自分もしたくなったみたいです。仲間ハズレ見たいな気持ちにでもなったのでしょうか?なので、急遽、参加して貰いました。あと、今回、私が着る服と同じようなものを、それぞれにも着て貰うルールにしました。その方が、本人も楽しめると思ったのですが、皆さん、自分も着ると知ったところ、どうやらニナ以外恥ずかしがってる感情を感じました。一体、皆さん、どんな格好を私にさせるつもりだったのでしょう?本当に不思議です。
「じゃあシン、着替えてくるね」
「精一杯考えるけど、感想にはあまり期待をしないでくれよ」
「一生懸命、考えて答えてくれるなら大丈夫。それで嬉しいから」
「それとこの舞台は何か意味があるの?」
シンは目の前の舞台について聞いてくる。舞台は左から出てきて、真ん中までくると中央部、シンの目の前にある踊り場までの道を通ってそこで反転し、右の出口からはけるらしい。
「なんでも昔、初代公王様が主催して、服の見本市をやったときと同じ形の舞台。冬にガリアのお祖父様に教えてもらった」
「師匠、フィーに何を教えているんだ!?」
シンが引き攣った顔で、思わず叫ぶ。私はそれには答えず、笑顔でシンに手を振って、衣装に着替えてくる。そして、着替え終わった後、いよいよ舞台がスタートとする。
「まず最初、ナタリアが選んでくれた服です」
そうして、フィアナとナタリアは手を組んで、舞台の左手から現れる。二人の服装は、白のパリッとしたシャツにタイトの黒い膝上20cm位の丈のスカート。そして高いヒールを履いている。普段のフィアナにはない装いで、シンは思わず、ドキッとする。少しスカートが短い気もするが、スレンダーな体型のナタリアは勿論、フィアナにもよく似合っていた。そして、踊り場まで来た時に、普段履きなれないヒールを履いたせいか、ナタリアは思わず躓き、それを支えようとしたフィアナもろとも転んでしまう。二人は尻餅をついたせいで、シンの目の前で、足をM字にして座った姿勢になります。シンの感情がが急にドキドキしています。
「二人ともっ、見えてる、見えてるからっ、足閉じて」
シンは首を明後日の方に向けて、手で目を隠しながら、そう叫びます。するとナタリアがシン以上にドキドキとしています。私は何が問題なのかわからず、ナタリアに聞きます。
「ナタリア、大丈夫?それと何でナタリアもシンもそんなにドキドキしているの?」
「し、失礼しましたーっ」
ナタリアは真っ赤顔でスクッとフィアナを立ち上がらせると、一目散に舞台出口へ逃げてしまいました。仕方がないので、私はシンに服の感想を聞きます。
「シン、この服はどう?」
「うっ、ああ、うん、似合ってるよ。なんか普段のフィーより大人っぽく感じる」
「フフフッ、そうですか。では次の服に着替えていきますね」
私はそう言って、笑顔で舞台袖に戻ります。裏では、ナタリアが何やら、「見られたー、シン先生に見られたー」そう言って、落ち込んでいます。見せる為に着替えているのに、どういうことなのでしょう?でもシンは取り敢えずドキドキしてました。やはり服装でこんなにも違うものでしょうか?
「続きまして、アイシャが選んでくれた服です」
アイシャが私の手を引いて二人で登場します。今度の服は、アイシャ曰く、ウサギの女の子がテーマだとか。黒のピタッとした服に編み編みのタイツを履いて、赤いパンプスを付けています。ちなみに頭にはウサギの耳が乗っかっています。スカートもないからなんだかスースーします。
「ええっ、ちょっと二人ともその格好!?」
何やらシンの感情が大きく揺れ動いています。アイシャがフィアナの手を引きながら、足早にステージ中央部に連れてきてくれます。でもちょっとおかしいです。服を選んでくれたアイシャは、ステージ中央にきたらモジモジしています。それにシンの意識がどうもアイシャに集中しているのです。これはどういうことでしょう?
「シン、どうしてそんなにアイシャばかり見ているの?」
「え、いや、なんだか胸が強調されていて」
するとアイシャは涙目になって、
「いや、そんなに見ないで下さいまし、いや、ほんの遊び心で、実際着て見たら、なんだか布が少なくて」
しどろもどろになりながら、言い訳を始める。シンのドキドキも何やらアイシャばかりに向いています。
「シン、こっち見て」
「へ、フィィー」
そこで私は以前、アカネさんが言っていた必殺ポーズを繰り出します。前かがみになって胸を腕に挟んで谷間を見せる。フィアナの決して小さくないその胸が形を崩して大きな谷間を作る。するとシンのドキドキがフィアナに注がれ最高潮に達する。ちなみにとなりにいるアイシャは唖然としている。
「どうですか、シン、感想をお願いします」
「アイシャも凄く大きい、じゃなかった、凄く大人っぽくて正直、びっくりしたよ」
「シン先生、今大きくとおっしゃいませんでしたかっ?」
アイシャは思わず大声でそう叫んでしまう。フィアナは取り敢えずアイシャと同じくらいシンをドキドキさせられたので、満足である。なのでそのままアイシャを引っ張って、出口へとはけます。ちなみにアイシャは、「もうお嫁に行けない」だの、「責任を取って貰わないと」だの熱に浮かされたように言っています。
そしていよいよ三人目、セシルお姉様の番です。今回のテーマは、可愛いウサギさんです。あら、アイシャと似たようなテーマです。お姉様曰く、あんな破廉恥なものとは違うと言ってました。実際に着てみると、確かに布面積が広そうです。顔だけが表に出ていて、何だかモワモワしています。それに少し歩きずらい。
「それでは次はセシルお姉様が選んでくれた衣装です」
私とお姉様は、ヒョコヒョコとした足取りで、ステージ中央へ移動します。あら、シンの反応が一番、無いですね。するとシンの方から質問が上がります。
「それは何の衣装なの?」
「ウサギさんですわ」
お姉様が得意満面でそう答えます。しかしシンの反応は揺れ動きません。シンは更に質問を重ねます。
「何でウサギの着ぐるみなの?」
「可愛くありませんか?」
ここでお姉様の自信が揺らぎます。シンはどうやら少し困った感情を抱いているようです。今度は私の方からもシンの方へ、質問します。
「シン、この衣装はダメなの?」
「いや、駄目というか、そもそも着ぐるみを着る国の女王様や王女様ってどうかなと考えると、国民達は失望するんじゃないかとか考えちゃってね。ああ、着ぐるみ自体は可愛いと思うんだけど」
なるほど、これはそういう感じの服なんですね。でもそれだとこれを着ると誰が喜ぶんだろう?私は取り敢えず、うなだれて愕然としているお姉様の背中を押して、舞台袖に戻ります。すると、ニナが大喜びでフィアナ達を褒めます。
「おねえちゃんたち、モフモフしててかわいいー」
ああ、子供達への受けが良い服なのですね、納得です。そしていよいよ最後はニナです。
「ニナ、本当にこの服でいいの?」
「うんっ」
「そう、なら表に出ましょうか」
私はニナを抱っこすると、そのまま舞台の方に移動します。
「お待たせしました。最後はニナの選んだ服です」
「あれ、フィーその服は、王妃様が着ていた服じゃないのかい?」
「ええ、そうです。よく覚えていらっしゃいましたね。ちなみにニナが着ている服は、私が子供の頃に着ていた服なんですよ」
そう、ニナの選んだ服は、お古のドレスだった。以前、今は亡きお姉様と私の母、カストレイア王国の王妃が着ていた服である。考えてみれば、私と王妃は髪も目も同じ銀色で、王妃の服は与える印象は変わるものの、私に似合って不思議はない。
「ニナは何でその服をフィーに選んだの?」
「んー?おひめさまはきらきらしたおふくをきるんだよ、おにいちゃんしらないの?」
「ああ、確かにそうだね。フィーにもニナにもとっても良く似合っているよ。色々見たけど、やっぱりそういう格好が一番可愛いよ。フィー、ニナ」
シンはドキドキこそあまりありませが、一番好感を持っているようです。不思議です。普段とあまり変わらない格好のような気がしますが。
結局、服装でシンの感情に変化はあるように思いますが、また実験が必要かもしれません。ちなみ、ナタリアにはどんまい、アイシャにはもう少し露出は控えよう、お姉様には女王の自覚を持とうとそれぞれシンからコメントを貰ってうなだれてれおり、今回はニナの一人勝ちで終わるのでした。




