攻略します
「・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
走り続けるうちに呼吸が荒くなってくる。
走りながら振り向くと巨大ゴリラはまだ追ってきていた。
「プレナ、魔法は、できないの?」
ドレスの裾を上げ、器用に走るクオンはそう問いかけた。呼吸は乱れているが、プレナほどではない。
「移動、魔法は!私と触れた、相手を移動、させるので!打破は、難しい!ですっ。」
言いたいことは何となく分かった。
クオンは頭の中で整理していく。
プレナがあのゴリラに触れられれば、共に移動することができる。ヤポニャの魔王城に移動すれば、後は他の魔王が何とかしてくれるだろう。
けれど、ここがどこか分からない以上、一方通行になってしまう。取り残された3人は孤立してしまうわけだ。
なら、4人集合して移動魔法を使うしかない。そのためには・・・。
「やっぱり、こいつを・・・何とか、する。」
そう決意するや否や、クオンは左右を見る。何か武器になる物はないか。
木の枝に石・・・役立ちそうな物は落ちていない。
「武器が欲しい・・・何か、ない?」
「武器・・・!」
思考が定まらなくなってきた頭で、プレナは必至に考える。
あのサイズの敵に有効なのは・・・大きな枝か・・・骨。
動物の死体でもあれば、骨を拝借できる。
クオンの実力があれば、それだけでも勝てるだろう。
「クオン・・・さん!骨が・・・あれば・・・。」
「あ。」
プレナが言い終わる前にクオンは前を見て声を漏らした。
ちらりと後ろを見、どうすればいいか考える。
「よし。ストップ。」
「え?」
突如立ち止まり、並走していたプレナの肩を掴んで急停止させる。
「な、なんです・・・か?」
「10歩下がって・・・待ち受ける。」
ゴリラが迫ってくる。
距離はあとわずか。右手を振り上げ、勢いよく2人めがけておろしてくる。
「合わせて。」
それだけ言って、大きく地面を蹴ってクオンは前に出た。
プレナにクオンの意図は分からなかった。けれど、親しいこの人物の言うことを信じるべきだと思い、真似して前に出た。
先ほどまで逃げていた相手が突然向かってきたのだ。ゴリラは面食らった。
地面と拳の間をすり抜け、2人は背後を取る。
ゴリラは空ぶった後、追撃しようと、後ろを向こうと身体をひねった。
今・・・!
ゴリラの身体が半分ほど向きを変えた瞬間、クオンは体当たりをした。
これだけでは当然、倒せない。が、倒す必要はない。バランスが崩れればそれでいい。すぐ先は崖なのだから。
崖の一歩手前で手をついたゴリラだが、そこから地面が崩れた。
後は物理法則に従ってゴリラは転落していった。
「よく・・・思いつき・・・ましたね?」
バクバクとなっている心臓に手をやり、プレナは疑問をクオンにぶつけた。
「先に植物が見えなくなったから、崖があるんじゃないかと、思った。で、実際そうだったから、地面を崩れやすくして誘導した。上手くいってよかった。」
涼しい顔でクオンはそう言った。
「さ、行こう。問題児2人が・・・待ってる。」




