飛ばされました
緑の光に包まれ、爆発が起こるその刹那―――
ユークはとっさに叫んだ。
「プレナ!」
「はい!」
返事をすると同時にプレナは手を伸ばし、ユークとクオン、モルガナに触れる。そして、爆発が発生するとほぼ同時に移動魔法を発動した。
・・・・・・・・・
つむっていた目を開けると、そこは緑一面。
「・・・森の中か?」
見たことない植物に囲まれていた。もっとも、自室から出る機会の少ないユークにとって、知っている植物の方が圧倒的に少ないのだが。
「・・・分かりません。」
プレナのまいったような返事にユークは疑問の声を上げる。
「分からないって・・・移動魔法は知ってるところにしか行けないんじゃなかったのか?」
「はい・・・ですが、あの時、あまりにもとっさの出来事でしたので、うまく行先をイメージすることができませんでした。」
「なるほどな。」
つまり、中途半端なイメージをして魔法を使ったために、変な場所に飛ばされてしまったというわけか。
「え?どうすんの?」
ワンテンポ遅れてツッコミ。
「問題ありません。魔王城をイメージして移動魔法を再度発動すれば、すぐに帰ることができます。」
「帰れるんだったら、ちょっと見ていきたい。ここ。」
クオンさん?余計なことを言ってはいけませんよ?
「ふえぇ。クオンちゃんに賛成だよぉ。」
ほら、面倒なのが食いついた。
「てことで、プレナ。ちゃっちゃと移動魔法を発動してくれ。」
「ふえぇ。そんなことさせないよぉ。」
モルガナはそう言うと走り出した。
「何だあいつ?」
「移動魔法は自分と触れているものにしか効果を発揮しません。追いかけましょう!」
「いや、別にいいんじゃないか?」
冷めてるユーク。
ドシン・・・!
背後から大きな音と揺れがした。
「・・・ん?」
とぼけた声を出し、振り返るとそこには巨大な猿が・・・。
「ゴリラだ。」
クオンはそう呟き、重心を落とし腰に手をやる。
そうして戦闘体制に入ったところで、クオンの動きが止まった。
「どした?」
「小刀がない。」
「そりゃあ・・・そうだよな・・・。」
さっきまでパーティー会場にいたのだ。クオンの恰好はドレス。武器を携帯しているわけなどない。
「ハッハッハ・・・!」
ユークは笑いだした。
そして訝しむ2人の顔を見て頷く。
「んじゃ、逃げるか。」
そう言うや否や、ユークは駆けだした。
一歩出遅れて、プレナとクオンも走りだす。
「待てやぁモルガナァ!」
追ってくる巨大ゴリラを背後にユークは叫ぶのだった。




