秘書が来ました
我が名はユーク!
世界を脅かす魔王の息子にして、新魔王となった者!
・・・なんて言うとカッコイイけど、実際は強制的に始めさせられただけなんだよなぁ。
ちなみに先代魔王、つまり俺の親父はというと、俺に魔王を押し付けるとそそくさと生活フロア・地下に行ってしまった。やれやれ・・・。
「お待たせしました。」
突然、目の前にすらっとした金髪ショートの少女・・・女性・・・どっちだ?
まぁとにかく、女の人が現れた。
「本日よりユーク様の秘書を務める、プレナと申します。」
「え、ああ、うん。よろしく。」
あまりにいきなりだったので、気が動転してうまく返事ができなかった。
「俺が新魔王ユークだ。」
「はい。よろしくお願いします。ユーク様。」
何この感じ。俺に仕えてくれる美少女!これなら魔王も悪くないかも。
「ところで君、いくつ?」
「18です。」
年上だった。まぁいいか。かわいいし。いや、綺麗系かな。
「では、早速ですが、こちらをご覧ください。」
俺の座っている玉座の傍まで近寄り、プレナは大きな紙を俺に見せた。
「これは?」
「魔王城、ダンジョン部の見取り図です。」
なるほど。こうなっていたのか。ほとんどこっちに来なかったから知らなかった。
一階の入り口から入り、三階まで行った後に奥の階段を使って降りてくると、この玉座の間、つまり魔王のもとにたどり着けるわけか。
「ユーク様のお仕事は、城内に侵入者、つまり冒険者を迎撃するための罠と人員・モンスターの配置を考えてもらうことです。」
「なるほどな。面白そうだ。・・・けど、親父・・・先代がそういうのをもうやってたんじゃないのか?」
ユークの素朴な疑問にプレナは静かにほほ笑んだ。
「ええ、けれど新魔王として、一から作り直してほしいそうです。」
「何言ってんのあの親父!?」
「なお、先代から伝言を承っております。『いきなり種類が多いと大変だろうから、Eランクの罠とモンスターしか手配できないようにしといてやったぜ。お前が慣れてきたら、Dランク、Cランクと上のランクも使えるようにしてやるぜ。せいぜい頑張れよ。がははははははゴホッおえゲホゲホ』とのことです。」
ユークは頭を抱える。
「言いたいことは色々あるが・・・とりあえず、配置を考えればいいんだな?」
「はい。私は移動魔法が使えるので、ユーク様の命令を現場に伝えに行くことができます。」
移動魔法か。だからさっき、急に出てきたのか。中々便利そうだな。
「ちなみに現在、何も配置されていませんので、攻め込まれたらピンチです。」
「うん。そういうことはもっと早く言って。」