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子爵令嬢は自由になりたい【連載版】  作者: と〜や
第十一章 子爵令嬢は客をもてなす

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93/199

91.書簡:第一王女から子爵令嬢へ

 ユーマ姉様、お元気ですか? 


 最近は気温が上がって夜が寝にくいんですの。だから、今日は星空の下でこのお手紙を書いています。

 そちらは夏になっても涼しいのでしょう?

 来年の避暑はユーマ姉様のところに行こうかしら。


 今年はいつも通りですって。つまらないけどこれも社交の一部と言われてしまったわ。

 しかも、いくつも招待が来てるんですって。避暑地でのんびりしたかったのに。


 そう、相変わらずひっきりなしに招待状は届くし、この間王宮で開かれた夜会なんかは一晩中踊りっぱなしでしたのよっ! 信じられます?

 もう当分ダンスはいいですわ。夜会もお茶会も、お腹いっぱい。


 でも母上はまだまだだって言うんですの。

 シーズンが終わる秋までは逃げられないみたい。


 それに、デビューしたばっかりだと言うのに、嫁入り先の話ばかりするのよ?

 まだ十四なのに……。


 夜会も茶会も大事な外交手段だからっていうのが母上の考えみたいだけど、母上みたいにどこかの王妃になるわけじゃないんだから、少しは休ませてほしいわ。


 でも、きちんと秋まで勤めれば、収穫祭には行っていいって約束してくれたの!

 だから待っていてね、ユーマ姉様。

 ただ、お仕事として行くから、あまり姉様と一緒にはいられないかもしれないけど……あーあ、セレシュ兄様が一緒だったら、全部押し付けて姉様とおしゃべりできたのに。


 そうだ、姉様ったらいつの間にあの三人と仲良くなりましたの?

 まさかあの三人から手紙の転送を頼まれるとは思ってなかったわ。

 急に手紙が分厚くなると怪しまれるから、前回は便箋一枚ずつにしてもらったけど、最初渡された手紙なんて、すっごく分厚かったんですのよ?


 今回も預かった分を同封しています。お返事は私から渡しますから、前と同じように同封で送ってね。

 最近はよく、四人でお茶をしてますの。茶会で会うことも多くて、お知り合いのご令嬢方を紹介していただいたりして。


 そうそう、ライラ様の妹さんが私と同い年で、今年がデビューだったのよ。


 チェイニー公爵家の茶会で紹介されたんだけど、すっごくいい子なの。あのライラの妹とはとても思えないくらい。


 ……って、前なら言ってたと思うの。でも、今はそうね……ライラ様の妹って言われると納得するわ。


 人って見えていることだけで判断しちゃいけないのね。もちろん、それもひっくるめてちゃんと警戒しなきゃいけないけど。

 見えない部分も見ようとする努力をして見ようと思うの。


 いつか、姉様に見えていたものが見えるようになるかしら。



 六月二十日


 フェリス



 追伸


 この間はごめんなさい。

 王家の早馬は有事の時に使うものだと父上にこっぴどく怒られました。

 北の砦の団長様からも父上に連絡があったみたいで、カンカンでした。もしかしたら秋の収穫祭もダメになるかも知れないと思ったくらい。許してもらえたのは、姉様のとりなしがあったからだとも聞きました。本当にありがとう。

 大好きよ。

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