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子爵令嬢は自由になりたい【連載版】  作者: と〜や
第九章 王太子と三人の美姫

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84/199

83:書簡:子爵令嬢から第一王女へ

 親愛なるフェリスへ


 今回はびっくりしたわ。

 まさか早馬で届くなんて、父上が何事かと慌ててしまったくらいよ。

 主にわたし宛と知って安心していたみたいだけれど、王都からの早馬なんて、不吉な予感しかしないもの。

 北の砦も緊急の早馬が来たって大騒ぎになってたわ。

 お師匠様はいい訓練になったって笑ってくださったけど、次回はやめてね?


 しかも、返事を待つと言われて慌ててしまったわ。

 早馬の方を客間にお通しして、部屋に戻ってすぐにこれを書いています。


 開けてみたらレオ様以外の方の手紙が同封されていて、さらにびっくりしたわよ。

 皆様の手紙を転送してくれてありがとう。

 もう二度と言葉は交わせないと思っていたから、嬉しかったわ。

 皆様へのお返事も同封しておくから、渡してくれる?


 フェリスはもう知っているわよね。

 ライラ様は軍事、シモーヌ様は商業、ミリネイア様は外交の方面にお詳しいの。仲良くなったのなら色々教えてもらうといいわよ。


 そろそろお茶会も落ち着いて来た頃かしら。夏までは続くと思うけど、夏を越せばお誘いも減ってくるから、もう少し頑張って。

 今年も避暑に行くのでしょう? セレシュから聞いているわ。いい出会いがあるといいわね。


 秋の収穫祭には来られそうかしら。

 祭りの準備は大変だけど楽しいわ。

 それにね、フェリスが来た時にどこを案内しようか考えているとあっという間に時間が過ぎてしまうの。

 六年ぶりの故郷はずいぶん変わっていて、一通り見て回るのも楽しいし、懐かしい人と会うのも楽しい。

 帰って来てよかったと、思っています。


 ……ごめんなさいね。


 そろそろ筆を置きます。

 色々書きたいことはあったのだけれど、何を書こうか考えているうちに時間が飛んでしまってて。

 もう出発しないと陽のあるうちに山の麓まで戻れなくなってしまうわ。

 今度ゆっくりお返事書くわね。


 六月七日

 ユーマより




 追伸)


 そういえば、一緒に届いたもう一通の手紙はリリーに渡しておいたわ。


 あの……事情は聞いたのだけれど、本当にこのままここにいていただいていいの?

 曲がりなりにも宰相様の奥方様なのに。

 今回の手紙もそろそろ戻れとか言われているのかもしれないとか考えてしまったわ。

 もしそうなら、雪で道がふさがる前にお返ししないと……。

 ここは夏も秋も短いの。収穫祭が終われば道は閉じてしまうから、もし何か知っていたら教えてね?

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