65.書簡:第一王女から子爵令嬢へ
本日二話同時更新しています。
親愛なるユーマ姉様
お返事が遅くなってしまってごめんなさい。
もう、どうしてみんな夜会が好きなのかしら。
昼は茶会、夜は夜会。もう、手紙を書く暇もないんですのよっ。
姉様にいっぱいいっぱいお知らせしたいことがありましたのに。
母様もお茶会の回数を減らしてくださればよいのに。
そうそう、セレシュ兄様が戻っていらっしゃいました。
なんと、ユーマ姉様の弟君のカレル様がご一緒でしたの!
それどころか、カレル兄様と一緒にベルエニー領に戻っていたというではありませんの!
ひどいですわっ。わたくしも行きたいのに、セレシュ兄様だけユーマ姉様に会いに行くなんてっ。
姉様、ご存知でしたのね?
教えてくださればよかったのにっ。ひどいですわっ。
聞いたらレオ兄様も知ってらして、ものすごく落ち込みましたわ……。
ひどいですのっ。
収穫祭であったら覚えてなさいなのですわっ。
収穫祭の話ですけれど、十月のスケジュールを空けてもらうように手配しましたの。
絶対遊びに行きますから、楽しみにしていてくださいませね。
勉強も頑張ってますのっ。さぼったりしてませんのよっ? 本当ですのよ?
そういえば仮装するんでしたわよね。今からどんな仮装にしようか考えていますの。
普通はどんな仮装なのか、教えてくださいませね?
それから、授業はちゃんと受けていますわっ。
まったく……レオ兄様ったら、いったいどんなことを書いているのやら。
最近はむしろ、夜会や茶会のせいで授業の時間が減らされていますの。
そうそう、夜会でしつこく酒を進めてくる男にはどう対処すればいいのかしら。
レオ兄様が少し離れたすきにやってくるんですの。いつも同じ男。
あまりにもしつこいから辟易してるんです。
どうしたらいいか、ユーマ姉様、教えてくださいます?
五月五日
妹のフェリスより
追伸
リリーは元気でやっていますか?
彼女はああ見えて寂しがり屋なんですの。話し相手をしてあげてくださいますか?




