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子爵令嬢は自由になりたい【連載版】  作者: と〜や
第五章 子爵令嬢は両親と再会する

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32/199

31.書簡:子爵令嬢より第一王女へ

本日二話同時更新しています

 親愛なるフェリス様


 お手紙ありがとうございます。

 とても嬉しかったです。

 デビュー直後ってお忙しいのですね。

 とりわけフェリス様は王族唯一の姫ですから、きっとあちこちから招待されると思いますわ。

 ぜひ楽しんでくださいませ。

 わたくしの時はデビューからすぐ王宮に入って教育が始まりましたから、夜会どころではありませんでしたわね。

 ……まあ、あの頃は本当に田舎者の世間知らずでしたからね……。よくあれで春の宴に出ようと思ったものです。

 わたくしが忙しくなったのは成人後ですわね。婚約者になってからですけれど、目が回るほどの忙しさでした。

 お茶会は、どうしても派閥の色が色濃く出ますから、フェリス様にはお辛いかもしれませんね。

 お友達を探すにもコツが要りますの。根気よく観察しているとわかるようになりますわ。

 フェリス様は王族ですから、どうしても皆腰が引けます。それでも気にせずに話してくれる方がいたら大事になさってくださいませ。機会を見つけてゆっくりお話しするとよいですわよ。


 手紙は、王都を出る前に家令に届けてくれるように頼みましたの。

 どのように届けてくれたのかは知りようがないのですけれど、皆様の手に届いたのなら安心ですわね。


 こちらに来てからもう十日以上が経ちました。

 やはりベルエニー領は遠いのだなと実感いたします。

 フェリス様が手紙を出されたのは十八日ですよね。

 わたくしが手紙を受け取ったのが昨日でしたから、やはり早馬でも五日はかかるようです。

 魔術で送る方法もありますが、急ぐものではないですし、我が領には定着した魔術師がいないのでやはり難しいですね。

 そうそう、お預かりしたブローチ、ありがとうございました。幸い使うことなく戻ることができました。おかげさまでとても心強かったです。

 次回、兄が王都に戻る際に預けておきます。


 さて、我が領ですが、寒いです。冬に入る前に街道が閉鎖されますし、おっしゃる通り、冬が長い土地です。

 もう街道閉鎖も解かれましたし、下の村との行き来も再開しました。

 寒さもそれほどではありません。

 とはいえ、王都に比べるとやはり気温は低いので、フェリス様がいらっしゃったら寒く感じられるだろうなとは思います。

 冬にいらっしゃるときは、一番暖かい服を選んできてくださいませ。


 冬の間、街に降りられないのでなかなか大変です。

 雪を見るには一冬をベルエニー領で過ごす覚悟と準備が必要です。

 街道が閉鎖されるため、戻りたくても戻れない状況となりますので、いらっしゃる際にはそのおつもりでおいでください。


 それから、この辺りでは秋に収穫祭を行います。

 街道閉鎖前にみんなで仮装して飲んで食べてお祭り騒ぎをするのですが、もしよろしければ収穫祭にいらっしゃいませんか?

 冬に比べれば滞在期間も短くすみます。


 ただ、警備にあまり人を割けないため……というのも、兵士たちもみんな、収穫期には農家の手伝いに駆り出されるからなんですが……いらっしゃる場合はお忍びでおいでください。

 宿は安全なところを準備いたします。


 ぬいぐるみ、受け取りました。かわいらしいうさぎさんですね。

 わたしの枕元に飾っています。

 王妃陛下が引き継いでくださったのですね。一安心です。

 孤児院の中には、運営資金が十分でなく、子供たちにぬいぐるみ一つ買い与えられないところもあるのだそうです。

 実は、ベルエニー領では、冬の間にみんなでいろいろなものを作るんです。多くは毛織物や編み物ですけれど、端切れを使ってこのようなぬいぐるみもよく作ると話をしたら、王妃陛下が腰を上げてくださったのです。

 フェリス様もお手伝いされたのですね。

 フェリス様の手作りだなんて、いただいてよろしいのですか?

 もしいただけるのなら、うさぎの横に並べておきますわね。


 それから、レオ様のお手紙が同封されていたようなのですが、お返事はレオ様に別途お送りしたほうがいいのかしら?


 別途送る方がよければおしらせくださいね。

 今回は同封してお返しします。


 それではまた。


 三月二十三日


 ユーマより

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