27.書簡:第一王女から子爵令嬢へ
本日二話同時更新いたします
親愛なるユーマ姉様
お元気でいらっしゃいますか?
ユーマ姉様とお別れして、もう半月も経ってしまいました。
一回目のお手紙もこんなに遅くなってしまってごめんなさい。
デビューからずっと、あちこちの夜会やお茶会に呼ばれていますの。
最初が肝心だからと、母上から出られるだけすべての夜会とお茶会に顔を出すように言われました。
もうくたくたですわ。
ダンスは嫌いじゃありませんけれど、お酒をしきりに勧めてくる皆様には辟易しますわ。
お茶会も、腹の探り合いばかりする女子会は嫌いですわ。……わたくし、ユーマ姉様みたいなお友達を探したいと思っていましたのに。
ユーマ姉様もこんな大変な思いをされましたのね。
わたくしは相変わらず姉様のいないお茶会を一人寂しく開いておりますわ。
姉様に聞いていただきたいお話もいっぱいありますの。今度お会いした時には一日中でもおしゃべりできそうです。
そうそう、お部屋にお手紙が置いてあったの、びっくりしましたわ。
今の今まで気が付かなくてごめんなさい。
兄上も知らなかったの。
今日見つけて、父上や母上、レオ兄様にも渡してきました。セレシュ兄様はまだ戻っていないの。
机の上に置いておきますわね。
そちらはお変わりありませんでしょうか。
今日の授業で、ベルエニー領は、北の果てで寒いと聞きました。
春は遅く、秋は短く、冬の長い土地だとか。
そちらはまだ寒いのでしょうか。
姉様はそういえば寒さにお強かったですよね。冬だというのに随分薄着をなさっているなと思っておりました。
慣れていらっしゃったのですね。
そちらの冬はどれほど寒いのか、一度体験してみたいです。
そういえば冬になると雪というものが降ると聞きました。
どんなものか見てみたいです。やはり、なんとかして冬にそちらに行けるように手配したいと思います。
その時には姉様、案内していただけますか?
そうそう。母上からぬいぐるみを預かりましたの。
端切れを縫い合わせて綿を入れて作るそうです。孤児院の皆に差し入れるんですって。わたくしもお手伝いしましたのよ。でもうまくいかなくて……。
かわいらしいので、頑張って作りますわ。
会心の作品ができたらもらっていただけますか?
三月十八日
妹のフェリスより
追伸
わたくし、姉様が大好きです。




