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子爵令嬢は自由になりたい【連載版】  作者: と〜や
第十一章 子爵令嬢は客をもてなす
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97.書簡:第一王女から子爵令嬢へ

 親愛なるユーマ姉様


 お元気ですか?


 わたくしは今、避暑に来ていますの。

 今年はいつもより暑い気がするけれど、それって以前みたいな軽装ができないからなのね。


 お茶会も夜会も、王都にいた時よりは華美じゃないけど、それでも姉様と町歩きした時の格好に比べたらしっかり着込まなきゃならないし。


 ……姉様はいつもさらっとした顔をしていらっしゃったけど、本当は暑かったのね。わたくしにはとても真似できないわ。

 でも、公の場では暑いなんて漏らせないのよね……。

 避暑地といっても、やっていることは王都にいるときと何にも変わらないもの。


 王都よりは涼しいのだけれど、きっと姉様のいるところはもっと涼しいわよね。


 ……来年は絶対、姉様のところに避暑に行くわっ。母上がなんと言おうと、絶対行きますわっ。


 そうそう、避暑地での夜会や茶会って変わった趣向を凝らすのが流行りなのかしら。

 先日招かれた茶会では、広い庭園で宝探しのようなことをやりましたの。

 三人一組でヒントを頼りに宝箱を探すのよ。

 くじ引きで偶然ライラの妹と同じ組になったの。ターニャって言うのだけれど、すっかり意気投合してしまって。

 王都に戻ったら遊びましょうって約束もしたのよ。

 ふふ、楽しみだわ。


 夜会では二回連続で顔を仮面で隠す趣向でしたの。

 若い人ばかりの集まりで、賑やかではありましたわ。

 でも、髪と目の色だけでは誰が誰だかわからなくて、右往左往してしまいましたわ。

 小娘扱いされるし、いつもより距離が近いし、粗暴な言動も多く見受けられましたわ。


 ……王族がその場にいないと思うだけで、こんなに人の言動って変わるんですのね。わたくしも、王族でなかったら、あんな扱いをされるんですのね。


 母上が、わざわざ華美でない抑えた装いで行くようにと指示した意味がよく分かりました。

 あ、念のために言っておきますけれど、主催者側には身分は知らされていますの。すぐそばに警護の者が潜んでおりましたから、全く危なくはなかったんですのよ?

 それと、一つ学んだの。

 男の方は、胸の大きい女性がお好きなのね。

 わたくしが小娘扱いされたのって、そのせいなのかしら。

 ……姉様、胸を大きくする方法、教えてくださいませ。


七月二十日


フェリスより





 追伸


 あのね、姉様。


 ……その、姉様と手紙のやり取りしていることが、セレシュ兄様に知られてしまったの。

 しかも、レオ兄様の分を同封してることを知って、次回から俺の手紙も同封しろってうるさいの。


 三人の分とレオ兄様の分ですでに封筒が破れそうなのに……。


 あまりにしつこいから、便箋一枚だけならって言ってしまったの。

 ごめんなさい、姉様。

 返事はなくていいって言質は取ってありますから。


 ……父上や母上からも頼まれそうで怖いわ。

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