『僕』
最初に思いつきの文を2つ書いて
そこから無理矢理広げたものです。
僕はなんで?
なんでこんなところにいるんだろう。
『僕』として生を受けた僕は『僕』としての人生を全うしようと僕なりに頑張っていた。
『僕』が生まれたのは僕より昔のことだ。
『僕』は僕より頭がよく、僕より運動ができ、僕より大人びていたという。
そんなことを聞かされて成長していくにつれて僕は『僕』に憧れを抱いた。
僕は思った。
【僕はなんで?
なんで『僕』じゃないのか。】
と。
簡単な話だった。僕はそもそも『僕』としてのそれが足りなかったからだ。
ただそれだけの話だった。
だから僕は『僕』としての才能、技能、知能、を集めた。
天才と謳われた者達を集めた。
その中には『僕』を知っている人もたくさんいた。
だが、誰ひとりとしてその顔を知っている者はいなかった。そもそも『僕』が本当にいたのかさえわからないんだそうだ。
僕に『僕』として人生を与えた彼らは『僕』を知っているんだそうだ。
彼らは答えた。
僕の『僕』として生まれた理由について。
“僕ら”はひとりでふたつ。
究極に至った『僕』はこう言っていた。
『僕はなんでこんなところにいるんだろう。』
それの真意を聞く間もなく、“僕ら”は死んだ。