死神と卑屈な少女の恋愛譚
登場人物
名 前 性 別 セリフ数
モルテ ♂ 31
マリア ♀ 33
インフェリチタ ♂ 10
【】←これがモノローグ
「」←これは普通の会話
゜*.。.*゜ここから本編*.。.*゜
マリア【私はその日美しい、死神に出会った。】
モルテ「はじめまして、美しいお嬢さん。」
マリア【彼は傅き、笑顔でそう言った。これは私マリアと、死神モルトが出会った頃のお話。】
モルテ「(独り言)はぁ、今日の仕事はここまでかな。それにしても、最後まで鬱陶しいったら無かった。娘の事しか言わないし。命乞いの1つでもしてくれれば殺しがいがあったのになぁ〜。」
マリア「(眠そうに)…おとうさん…?おかあさん…?」
モルテ「…っ!?子供…?あぁ、肉塊が言ってた娘ってこいつか。」
マリア「…嫌な臭い…お兄さん、お養母さん達は何処?」
モルテ「オカアサン達は、殺したよ?」
マリア「そう…」
モルテ「おや、自分の親が死んだのに悲しみも取り乱しもしないんだね?」
マリア「…いいの、あんな人達親だとも思ってないから。」
モルテ「そうかい?」
マリア「…ところで、お兄さんは何者なの?人間ではないんでしょ?鍵は何処も開いてないもの。」
モルテ「…僕は、死神さ。」
マリア「…死神?…あぁ、死期の近い人間の傍に来て走馬灯を見せる人だよね。それじゃあ、貴方が見える私も死ぬの?」
モルテ「いいや、君は死なないさ。」
マリア「どうして?」
モルテ「君は、まだ幼い。死ぬのはまだ先さ。それに…」
マリア「それに?」
モルテ「…僕は、君に恋をしてしまった。」
マリア「…え?恋って、まだ会ったばっかりなのに?」
モルテ「えーと、こういうのなんて言うんだっけ?あぁ、俗に云う『ヒトメボレ』って言うやつだよ。」
マリア「そう…なんだ。」
モルテ「お嬢さん、私めにどうぞお名前をお聞かせ願えませんでしょうか?」
マリア「…名前…?…私、マリアっていうの。」
モルテ「純潔か…皮肉なものだね。僕はね、死っていうんだ。」
マリア「…モルテ…死か。ふふっ、私そういうの好き。…それに、死神には相応しい名前だと思うよ。」
モルテ「(あっ、笑った可愛い…//)そうかな?ありがとう、可愛らしいお嬢さん。」
マリア「…お嬢さんっていうのやめて。私そんな柄じゃないよ。」
モルテ「そうかな?似合うよ、お嬢さん♪」
マリア【これが私とモルテとの出会い。それから何年も経ったある日の事。】
マリア「…ねぇモルテ。これどう言う事?」
モルテ「ん〜?なんの事〜?」
マリア「…この死神の事。」
モルテ「嗚呼、僕の同業者だよ?」
インフェリチタ「はじめまして〜!」
マリア「…はじめまして。」
モルテ「良いヤツだよ?」
マリア「…そう。貴方名前は?」
インフェリチタ「不幸だよ。」
マリア「…不幸…か。貴方達、死神は皆そんな名前なの?」
インフェリチタ「まあ、そうだね。」
モルテ「たま〜に変な名前の奴もいるけどね〜!」
マリア「…変な名前は貴方もでしょ。死神には相応しいと思うけど。」
インフェリチタ「…君変わってるね。」
マリア「…そうかな?」
インフェリチタ「うん。僕等の姿が見えてるのに驚きもしないし。それに名前を褒めてくれる。普通は、気味が悪いとか言って不気味がるものなんだけどね?」
モルテ「そうだね。マリアは特別だと思うよ。なんたって可愛いし!」
マリア「…私、可愛くないよ。」
インフェリチタ「まあ、人形みたいな可愛いさはあるよね。モルテがこの子の何処にそんなに御執心なのかは、わからないけどね。」
モルテ「んー、強いて言うなら全部?」
インフェリチタ「それ答えになってないよ。」
モルテ「それぐらい彼女の事が好きなんだよ〜」
マリア「…私も何故好かれてるかわからない。」
モルテ「えー!マリアまでそんな事言うの!?」
マリア「…わからないものは、わからないよ。」
インフェリチタ「じゃあ、僕はこの辺で。モルテもちゃんと仕事しなよ。」
モルテ「これでも仕事してるんだけどなー。」
インフェリチタ「昔よりはしてないだろ。」
モルテ「それもそうだけど〜。まぁ、いいじゃん!じゃあね!」
インフェリチタ「うん。じゃあ。」
マリア「…真面目な人なのね。」
モルテ「そうだね。あいつは真面目なヤツだよ。」
マリア「…貴方は真面目じゃないの?」
モルテ「君に出会う前までは、殺すのが好きだったかな。真面目かと言われれば、真面目だったんじゃない?」
マリア「…そう。じゃあ、どうしてあまり仕事をしないの?」
モルテ「ふふふ、それはね〜。マリアと一緒にいる為だよ。」
マリア「…私と?」
モルテ「うんっ!大好きな君とたっくさん一緒にいたいからね!」
マリア「…っ…//何でそんなに馬鹿正直なんだか。」
モルテ「あれ?マリア、顔赤いよ?照れてる?」
マリア「…別に。」
モルテ「あ、元に戻ってる。ざーんねん!」
マリア【美しい死神は、醜い私を拾って好きだなんて虚偽の言葉を囁く。それを真に受け始めている私もどうかしていると思うけどね。】
゜*.。.*゜ここまで*.。.*゜