プロローグ
ドアを開けると赤い水溜りに、独特な匂い。
今日も僕は生きている。
11月中旬、ここ最近は温暖化で東北でも暖かい仙台では珍しくこの日は雪が降っており早くもうっすらと道に積もり始めていた。
珍しい日には何かいいことが起きるかもしれない。そんな期待をして少年は一日を過ごしていた。
そんな期待を今日一日で何回も打ち砕かれた。いいことどころか返ってきた小テスト点数は最悪だし、調理実習では砂糖と塩を間違えていれ一緒に班の子には迷惑掛けるし、おまけに校長先生にぶつかり先生のヅラを落としてしまった。幸い周りに人は居なかったけれども、もの凄く気まずい雰囲気になってしまった。そして誰にも言うなと脅された。
そんなこんなで落ち込んで下を向いて歩っていた時だった。鳥が飛び立った音にびっくりして顔を上げるとそこは森の中だった。
「確かここは近所にある立ち入り禁止の森だったはず・・・・・・」
近所に私有地でしかも熊がよく出るからと立ち入り禁止の森があったことを思い出した。
「早く森を出よう。」
そう後ろを振り向いた時にはもう遅かった。
「道がない……! 」
後ろは永遠の森だった。
とりあえず、来た道らしき所を数十分ある居ているが一向に道に出る気配がない。辺りはもう日が沈んでいる。生憎今日は携帯を家に忘れてきたし、腕時計は普段から身に付けていないので時間は全く分からない。空で時間が大体分かるというが、その技能も持ち合わせて居なかった。
歩いているとふと前を見ると小さな灯りが。知らない間にまた下を向いて歩いていたらしい。灯りに向かって少年は走り出した。近付くとそこは大きな洋館だった。
「森の中にこんな洋館あったんだ・・・・・・。 何か出そう・・・・・・。」
「出そうで悪かったな。」
「うわぁっ!? 」
後ろから不機嫌そうな声で話しかけられ、驚き振り返るとそこには仏頂面の青年が立っていた。
この出会いは少年にとっていいことだったのか、悪いことだったのかは誰にも分からない。