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二度目の人生はゲームキャラで  作者: 夕月古都
1/3

プロローグ 彼はこうして異世界へ

初投稿になります。

誤字・脱字や文章に変な部分が多々あると思いますが、よろしくお願いします。

「という訳で、柊修一くん。君は死んでしまいました」


「……はぃ?」


 突然、目の前にいた少年に告げられる衝撃の事実。どうやらおれは死んだらしい。


「うん?死んだというのが信じられないのかい?しかし、残念ながら君が死んだのは事実だし、これはどうやっても覆ることはないよ?」


 自分の言葉に呆然としているおれに、信じていないと思ったのか少年はさらに告げてくる。しかし、別に死んだことを信じないわけじゃない。というより、普通に自分が死んだのは理解している、というより憶えている。

 そう、おれは死んだのだ。死に方は極々平凡で、ゲームやってて夜更かしした日の翌日、いつもの様にお隣に住む幼馴染の女と学校への登校中に幼馴染に突っ込んできたトラックから幼馴染を助けるために身代わりになったのだ。普通にありきたりな死に方だ。小説やら漫画でよく見るネタだよね、実際に自分がそうなるとは思っても無かったけども。

 つまり、おれが呆然としていたのは自分の死が受け入れられないとかじゃない。そんなことより大事なことが今はあるのだ。


「もしかして、貴方は神様ですか?」


「うん?そうだけど、どうしてわかったんだい?」


「テンプレ、キタ―ヽ(∀゜ )人(゜∀゜)人( ゜∀)人(∀゜ )人(゜∀゜)人( ゜∀)ノ―!!」


 やっぱりだ。これはマジでキタぞ。だってそうだろう?幼馴染助けてトラック轢かれて神様名乗る少年と邂逅。ココまできたら、後はお約束というやつだ。異世界へのチート転生か異世界へチート転移とか。どちらにしても勝ち組人生は目に見えている。

 そんなおれのハイテンションぶりに大分引きつつ少年、いや神様は話し始める。


「まあ、ちょっと気色悪いけど君には異世界に行ってもらおうかなって思ってるんだ」


「承りましたで候!!」


 やっぱりだった。どうやらおれの考えは間違ってなかったらしい。これでおれの人生は勝ち組確定。あとはどんなチート能力をもらえるかだ。ここで選択を間違えると一気にチート極楽人生から無能地獄人生へとランクダウンしてしまう。

 おれは、テンプレ状況から舞い上がったテンションをどうにか押さえ込みながら神様に問う。


「そ、それで、おれはどんなチート能力をもらえるんですか?」


「うん?チート?そんなものは無いよ?」


「はい?チートがない?……いやいやいや、そんな訳無いでしょう。だって、幼馴染助けてトラック轢かれて異世界へGo!ですよ?ここでチートなかったら何のために異世界に行くんだって話ですよ!!」


 神様のチート無し宣言でパニックになったおれは、ただただ口から言葉を吐き出す。だってそうだろう?ココまでテンプレなのに最後の最後でチート無しとかどうなってんだって話だろう。ここでキレなきゃ男じゃない。

 しかし、おれの魂の叫びを静かに聴いていた神様は、更なる衝撃をおれに与えてきた。


「何のためって、特に理由は無いよ?あえて言うなら暇つぶし?」


「……へ?」


 二度目の衝撃がおれを襲った。そうです、まさかの理由は無かったでした。そりゃそうだ、神様の気まぐれで異世界に送るだけなのにチートとか与える理由とか無いわ。これはマジで終わったわ。


「あとは、君の死に際の思いが面白かったってのが一応理由に含まれるかもね」


「おれの思いですか?」


 いったい何のことだ?おれの死に際の思いって、そういえば何考えてたっけ。


「そうそう。きみの死に際の強い思いが面白かったんだよ。きみ、憶えてる?きみったら、助けられた幼馴染の女の子のことでも死の恐怖でもなくて、最後にやっていたゲームのキャラクターのことを考えてたんだよ。ゲームの続きが気になるとかだったらまだ分かるのに、『せっかくあそこまで育てたのに』って死んでくんだもん。笑っちゃったよ」


 あぁ、思い出した。確かに死んでいくときにそんなこと考えてたわ。だって仕方ないだろう?何百時間もかけて育てて漸くほしかったスキル手に入れてこれからだって時に死んじゃったんだから。ゲーマーならみんなそう思うはずだ。


「だからね。そんなにゲームキャラに思い入れが強いなら、暇だしゲームキャラとして異世界にでも送ってあげようかなって思ったんだよね」


「……なんですとっ?!そ、そ、それはマジですか?!」


「うん。まあ、本当だよ。だから、少しは落ち着いて話をしたいんだけどテンションを下げてくれない?」


 三度目の衝撃がおれを襲う。というか、さっきから衝撃に襲われてばかりだなおれ。しかし、このままでは話が進まず最悪神様が転生をやめてしまうかもしれないからここはいったん落ち着こう。


「ふぅ。それで神様、話を続けてもらってもよろしいですか?」


「うん。ようやく本題に入れそうだね。といってもそんなに話すこと無いけどね。……とりあえずは、これからきみに行ってもらう世界は君がやっていた、え~と、オンラインゲームだっけ?それの世界観によく似た世界だね。剣と魔法と魔物とかがいる世界もちろんステータスやらスキルなんかもある」


「その世界に、おれが育ててたゲームキャラで行けるという事ですか?」


「そういうことだね。ただスキルのほうはまあ問題ないとしてステータスやらレベルは今の君を基準としたものに成ると思うけど」


「えと、それはいったいどういうことですか?スキルは大丈夫なのにレベルとかはだめなんですか?」


「まあ、簡単に言うとスキルって言うのは肉体に宿った経験の蓄積が元になっているからね。逆にレベルっていうのはあちらの世界では魂の器の大きさを意味していてね。器が大きけれ


ば大きいほどステータスの上限が上がるんだよ。けどきみの魂の場合は死んだ状態だからほぼ白紙状態だ。たぶん肉体に宿った瞬間にスキルのおかげである程度は上昇するけどレベル自


体は1じゃないかな」


 なるほど。肉体はゲームキャラのものだからスキルが残るが魂はおれ自身だからレベルは1になるのか。でもなんでステータスって肉体面じゃないのだろうか。ステータスって筋力とか魔力とかだろ?だったら肉体じゃないのだろうか。


「スキルやレベルに関しては理解できますが、ステータスが魂よりなのが理解できないんですが?ステータスって身体能力じゃないんですか?」


「う~ん。正確に言うとステータスって言うのは肉体に反映される身体能力の向上効果ってやつだよ」


「身体能力の向上効果ですか?」


「うん。そもそもステータスが身体能力そのものだとすると、筋力が高い人は皆マッチョにならないとおかしいだろう?でも、実際は細身の人でもステータスの筋力値が高い人はいる。つまりステータスっていうのは身体能力を直接数値化してるんじゃなくて、魂による強化値のことなんだよ。だからレベルを上げれば一気に強くなれるわけだ。」


 なるほどね。そういわれると納得できる。確かにステータス値=身体能力だとすると、レベル=マッチョ度みたいな構図になってしまう。まあ、実際には筋力以外が高くなる人もいるだろうから一概にそうとは言えないだろうが。

 しかし、この情報は重要だ。つまりはステータス=強さというわけではないということだ。ステータスで勝っていても、元の身体能力しだいでは負けてしまう可能性もあるということだ。


「ステータスの平均値はどれくらいなんですか?」


「う~ん。そうだね~、筋力、耐力、魔力、器用、敏捷、運の6項目がある。運の値はレベルがあがっても上昇することは無い。他の5項目はレベル1で大体20くらいかな。レベルアップ時の上昇値は常の行動によって上昇しやすさに違いがあるね」


「なるほど、つまり上昇させたい項目があるならそれに対応した行動をとった方が上げやすいと言う事ですね」


「まあ、そういうことだね。さてさて、他に聞きたいこととかはあるかい?」


「キャラとして転生するということですが、スキルは良いとして装備やアイテムなどはどうなるんですか?」


「あぁ、それならキャラの身体情報をそのまま転移させるから装備品などはそのままだよ。まあ、あちらの世界にもゲームの装備品のような魔法具的なものは普通に存在しているから、とくにどうということも無いしね」


 良かった。あれだけ時間をかけて作り出した装備品が初期装備に変更させられてたら発狂物だからな。まぁ、向こうの世界でもいろんなものをつくる予定ではいるが、それくらいのアドバンテージがないと生きていける自信が無い。


「さてさて、それじゃあそろそろ時間もいい感じだし、ぼくも飽きてきたから転生しちゃおうか」


「えっ?あ、はい。よろしくお願いします。」


 また突然だな。しかも飽きてきたとか言ってるし、たぶん本音なんだろうね。まあ、もとから暇つぶしって公言してるしね。ここで下手に抵抗して転生を無しにされても困るし、素直に転生しておこう。


「じゃあ、まあ適当にがんばってね。暇つぶしで転生させるって言っても転生させてすぐに死なれるのもあれだからね」


「はい。なんかいろいろとありがとうございました」


「いやいや、どうせ暇つぶしだからね。そこそこ楽しかったよ」


 その言葉を最後におれの意識は途切れた―――。


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