plo.
目を醒ますと、そこは私以外何一つ無い真っ白な空間でした。
…………え?何処さ、ここ?
「ああ、ここにいましたかぁ!」
そう言って、何もない所から何の前触れもなしに、雰囲気的に人見知りそうなニャンコが出てきた。
………普通、こういうときってさ、神様的な人が出てくるんじゃないかな?って思った私は悪くない。
「えっとぉ、立花 茉莉様ですよねぇ?私、超下級の神様ですぅ、一応ぅ、ちょ!!」
私は目の前のニャンコをガシッ!っと掴んだ。真っ白な空間に黒猫と何だかんだ平凡な女性(って年齢じゃないけど)だけがいるのも変な話だよね?
黒猫の背には、ちょこんとCCSのケ◯ちゃんやミカグラのビ◯ィみたいな水色の羽が生えていた。チョイチョイっと引っ張ってみると「お止めくださいぃっ!!」と猫が鳴く。ちょっと苛めてるみたいじゃんか。
一通り気が済んだので手を離してやる。
猫は舌で毛並みを整えていた。…………神じゃなくて猫だろ。
「もぉー!!立花様のせいでグダグダですぅ」
猫は膨れた。可愛いだけですけど。
「お仕事の邪魔しないで下さいよぉ!
こほん、」
猫の癖に、妙に人間臭い動作で咳払いをした。すると、彼の目の前には赤茶けた本が現れた。彼は器用にそれをペラペラ捲り「なぁ、」っと、絶句する。
「貴女、本当に人間ですよねぇ?何でこんなにポイント高いんですぅ?」
ポイント?
「あ、失礼しましたぁ。
えっとですねぇ、立花様、ここに来る前の事、憶えてますぅ?」
『え?うん。確か、幼稚園児くらいの男の子とビミ◯、違った、君みたいな黒猫を助けて車に轢かれたんだよ』
で、目を開いたらこの真◯の扉も真っ青な真っ白な空間にいたんだから。
「はい。その通りですぅ。私とその上司たるかなり高位な神様を助けたせいでぇ、貴女様は死亡なさいましたぁ。寿命が87年も残ってらっしゃるのにぃ」
私は今17だから、104まで生きられたってこと!?生きすぎだって!!
「そんなこと私に言われても困りますぅ。というわけで、まず、87Pあるわけですよぉ。
でぇ、今まで生きてきた中で積まれた功徳や我々神を救った功績も含めて、140Pですねぇ」
だから、ポイントってなにさ!!話噛み合ってないんですけど!?
「これから、このポイントでぇ、特典に引き換えて違う世界に転生してもらいますぅ。てい!」
猫は今度は手をポンと叩いた。声と噛み合ってもない、だと。
ついで出てきたのは青い装丁の本だった。それと同時に赤茶の本は消えた。
「なにがイイですぅ?今なら何でも叶っちゃいますよぉ」
まず、君の語尾を伸ばす癖をやめてほしいと思うよ…。
『生き返ったりとかは?』
「それは160Pなので足りません、諦めてくださぁい」うっぜ、
おっと、失礼。
選ぶ前に、ごめん、(孤児院の)母さん。今まで一人で育ててくれたのに死んでしまって。親不孝な私を許してください。………なんでだろう、母さんなら仕方ないわねぇで許してくれそうな気がしてきた。
………次の生で必要なもの、かぁ。
『じゃあ、優しい家族と、悪い事したら諭してくれたり守ってくれる人(家族以外)、一生涯必要なことをやりとげる財力(最低限)なら?』
猫はプカプカ飛びながらぺらり、ペラリと紙を捲っていく。
「はじめから、5P10P35Pですぅ、全然足りませんねぇ」
これでも50Pとか、私の人生どうなってるのさ。
まあ、いいか。じゃああとは、
『学年三十番に入る学力と三十分走りきれる体力なら?』
「欲深いのか、そうじゃないか、はっきりしてほしいですぅ。探すのがタイへ…あっ、あった。25P15Pってまだたりませんよぉ」
これでも90って、もう要らないし。
「えぇ。じゃ顔はどうしますぅ?」
『美人とか色々面倒くさいからいや。不細工じゃなきゃいいの!!』
「ワガママですぅ、なら勝手に決めちゃうですよぉ」
と猫はぱっぱか決めていってしまった。他人事だと思って!!
「はい、終了ですぅ。
因みに魔力多量(35P)、動物と話せる(5P)、どんな言語も話せる(10P)にしときましたぁ、」
文句無いでしょと言った目でこちらを見る猫。
私の性格がよくわかっているらしい。なんか、癪だけど。
「では、Good Luckですぅ」
『え?』
猫が再び手を叩くと私は変な浮遊感を味わったあと、長い長いトンネルに落ちていった。
「記憶はそのままなのですぅ」
そのまま、意識はフェードアウトして…………