赤ずきんのお話⑴
私、赤ずきん。
みんな知ってる有名な童話に出てくる女の子。
ほら、赤いずきんをかぶってるでしょ?
私はずっと秘密があったんだよ。
誰にも言えない秘密が。
それをね、あなたに話そうと思うの。
彼女は一人でしゃべり始めた。
まるでそこに何かが生きているように生々しく。
「私はね、あの日おばあちゃんにくだものとか入ったかごを持っていこうとしたの。それで、お母さんが『寄り道はしてはいけないわよ?早く帰っておいで!』と言ったから元気に返事をして家を出たの。」
そこで彼女は一瞬語るのをやめた。
何かに顔を歪ませて、それからうすら笑いを浮かべてまた語る。
「森のお花は綺麗というより可愛らしかったわ。思わず手が伸びて黄色い花と赤い花、紫色の花を摘んでしまったもの。」
彼女は楽しげに笑いながら話した。きっと彼女の中では楽しかったのだろう。木の机に肘を載せ、頬に指をあてがう彼女は十分に可愛らしく恐ろしいほど綺麗でもあった。
彼女の気持ちを察したようにさりげなく窓から光が溢れ出す。先程までは少し曇っていたので光がわかりにくかったのだ。
彼女はそれに気付かずに語り続ける。
「そしたらね、私の中に二つの考えがよぎったの。ひとつは、なんでこんなことしなきゃいけないんだろうって考え。もう一つは純粋におばあちゃんに届けなきゃって気持ち。人間、欲には勝てないものでめんどくさいなーって思ってたら知らない真っ黒な服を着た、いかにも魔女っていうオーラのおばあさんが来たの。おばあさんはね、何も戸惑わずに言ったの。『だったら殺してしまえばいいじゃない』って」
ここから動き出す…
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はじめまして!
初作ですけどのんびり書いていこうと思います。
童話ホラーって何故か怖くて書いてる時も展開を考えてますが次の瞬間には忘れるという惨事が起こりまくっています。
そんな私の惨事ですけどよかったら見ていってください