プロローグ その日流星になってまっしぐらに落ちて激突
拙い作品かと思いますが、読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!?」
気付けば俺は落ちていた。ひたすらに落ちていた。
さっきまで呑気に朝食食ってて、セ○ンイレ○ンのサンドイッチに手を伸ばしたら、次の瞬間にはこの状況。
ぶっ飛びすぎにも程がある。
が、そんな事を考えてる暇は俺には無いようだ。
だってよ…………落ちてるんだぜ?
「だ……誰かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! お助けをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!」
俺は大人気なく号泣しながら、全力で助けを求める。全力で叫ぶ。
──結果、誰も来ない。
ああ、分かってるよ……! こんな上空を空飛ぶ島から落下していくロボット兵みたいに落ちていく俺に、助けなんて来ないのは分かってるよぉっ!!
──それでも叫ぶしかないだろぉっ!!
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」
俺は半ば人生を諦め、そのまま落ちていく。
えっ? 俺が何で上空にいる理由?
昔から世界でもよくあるテレポーテーションだろ?
現にヨーロッパの何処かの町の箪笥からアメリカのビル街の上空に放り出された少女だっているんだ。俺だって机か何処かの隙間から吸い込まれてこんな所に放り出されたに違いない。
ティンダロスの猟犬か俺は。
いや、あれは鋭角から出てくるから逆か。
そんな適当な理由を付けて人生を諦めると、眼下に雲が広がる光景が広がった。
例えるなら、よく航空会社のCMで飛行機が飛んでるあの風景。
どうやらここは上空約5000~8000mくらいらしい。どうりで寒いわけだ、うん。
それよりも下一面雲で真っ白だから日光反射して超絶に暑いんですけどね!? 暑いか寒いかどっちかにしてくれっ!!
それにしてもこの浮遊感はいつになったら終わるんですかね。いい加減飽きたよ? まぁ、終わったら終わったで即死確定だけど。
ふと気付けばあんなに下にあった雲の絨毯がすぐ目の前に。俺って今何kmくらいの落下速度何だろ? 150km/phくらいかね?
いや、それはないか。そんなスピード出てたら眼を開けてられねぇし。
突風受けて眼球の水分吹き飛ばされて、それを補給するために涙溢れてそれも吹き飛ばされて──の無限ループでえらいことになる。
「……わっふ!?」
そんな適当な想像を巡らせていると、突然俺は雲の絨毯の内部に突入した。いつの間にかあの距離を落ち終えてたみたいだ。
それよりも心配なのは、雷に打たれないか。詳しい事は忘れたが、雲の中は下手すると雷だらけの大嵐、と聞いたことがある。その理屈は雷雲限定だったっけ?
しかし、俺のその心配はすぐに消えた。案外何も起きずに雲を突き抜けたのだから。
だが俺はすぐに衝撃を覚えた。
「どこだここぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!??」
──俺の眼下に広がるのは、明らかに地球の景色では無かった。
見えるのは広大に広がる森と、その中に点々とする荒れ地。遥か遠くには山脈も見える。
そしてその森の上空を飛ぶのは。
──ドラゴン。
そして俺の真下には。
──半端なくでかい巨城。
──俺の脳がこれらの条件から導きだす答えを、今ここに宣言する。
──ここはファンタジーの世界。
「うっそだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!?」
俺は更に落下速度が上昇していく中、極限の叫びを上げる。
えっ、ここファンタジー世界なの? 魔法とかモンスターとかそんなのが存在する世界なの? ワービーストとかいるの? エルフたんとかいるの? ゲームやライトノベルの中の世界なの?
──元オタクの俺にとっちゃ天国じゃねぇかっ!!
だが、その劣情が無駄なのを俺は自覚した。
だってさっき言った城の屋根が目の前なんだもん。しかもやたら痛そうな煉瓦作り。激突したら確実に死ねるよね、これ。
頭の中で助かるシュミレーションを出来るだけ模索してみる。
・湖とか水深が深い場所に落ちる。
──ある程度はダメージ軽減できる可能性はあるが、こんな加速しきったスピードで落ちてれば、死亡が全身骨折に加え四肢欠損なんて有り得る。ついでにそのまま泳げず溺死。死ぬならいっそ一瞬で死にたい。
・落ちた先の煉瓦が俺の落ちてきた衝撃に耐えきれずに崩壊する。
──こっちもある程度ダメージ軽減はあるかもしれないが、前者に比べて圧倒的にその効力は無いに等しい。それにこのスピード。煉瓦が崩れ落ちる前に俺の身体が潰れる。
もうダメじゃん。
既に屋根は目の前。あと10秒と経たずに激突確定だろう。
どうやら、とうとう人生にもお別れする時が来たようだ。
人間、諦めが肝心だよな。
最後の最後くらい笑って死にたい。
そう思った俺は覚悟を決め笑顔になると──
「じゃあな──俺」
──そう呟いて、俺──霧風ソウマは、城の屋根を突き破った。