早朝のギルド
長谷部さんのフランクフルト移籍が決まりますように。
翌日――。
朝早くに家を出て、銃ギルドへ向かい歩いている。
(完全に……寝不足だな)
くぅ、とアクビをかみ殺す。
昨夜遅くにキールの家から自宅に戻り、荷物を片している時にフレデリカから預かった手紙を見つけた。
……寝不足の原因だ。
フレデリカの手紙に書いてあった内容は、簡単に言うと俺の個人情報について教えて欲しいとのことだった。
アンタは私のことを知っているのに、私はアンタのことを詳しく知らない、納得がいかない。
……手紙の書き出し部分だ。
(俺もそんなにフレデリカのことを知ってる訳ではないと思うが……)
本来の世界のこと、さらには俺の家族やこれまでどんな経験をしてきたかなど質問項目の数はあげればきりがなかった。
何にせよ返事を書かないといけないので、机に向かってサラの便箋と一時間以上にらめっこをしていたが……諦めた。
出ないものは出ない。
それでも気になってなかなか寝付けなかった。
「おはよう」
「っと、おはようございます」
「どうしたその怪我は?」
ギルドの入口でマイマイタンさんに声をかけられた。
ハッハッハッと豪快に笑う姿は、朝早いというのにとても元気そうだ。
「ちょっと依頼で……」
「なるほどな、期待の新人も初依頼は流石にキツかったか」
「ええ、良い勉強になりました」
「ハッハッハッ。まぁ、困ったことがあったら何でも言ってこい」
「ありがとうございます」
それでは、とギルドの中に入る。
依頼カウンターに向かうとヒルダさんは既に働いていた。
「おはようございます」
「あら、おはよう。……まぁ、怪我しちゃったのね」
「はい。ただ依頼は無事達成しました。これ、確認書です」
「素晴らしいわね、もう初依頼クリアなんて」
「たまたまです」
「またまた、謙遜しちゃって。ちょっと待っててね」
「お願いします」
カウンター反対側のベンチに腰を下ろす。
朝早い時間帯なので俺以外のギルド員は誰もいない。
窓をつたう雨滴を眺め眺めていると、ヒルダさんに呼ばれた。
「カイトくん……あなた」
「えっ……」
「すごいじゃない!おめでとう、昇級審査はいつにする?」
「……は?」
「何驚いてるの、今回の依頼でポイントが溜まったのよ!」
「……ええっ!?いや、まだ依頼1つしか受けてないんですけど」
「だから、その依頼でポイントが溜まったの!」
「……すみません、どういうことですか?」
いきなり昇級審査って……意味がわからない。
俺の記憶ではギガントピテクス退治で500ポイントだったはずだ。
昇級まで1000ポイントだから+αが500ポイントもあったってことか?
「ああ、そうだったわね。説明をしていないから分からないわよね。ごめんなさい、興奮しちゃって」
「いえ、とんでもないです。それで……」
「そうね。まず今回のカイトくんの受けた依頼の内訳を説明するわね」
「ええ、お願いします」
「まず1匹目のギガントピテクスが500ポイント、そして2匹目、3匹目もそれぞれ500ポイント。これで1500ポイントね」
「はい……って、ええっ!?そんなに!?」
「さらに、3匹同日に仕留めたことと依頼人からの評価も最高ランクということで、+αが1000ポイントよ」
「せ、せんっ!?……てことは」
「合計が2500ポイントで、昇格に必要なポイントがR2からR1が1000ポイント、R1からM4が1500ポイントだから、あなたはM4への昇級審査が受けられるわ」
「……」
……はぁ!?
いやいやいやいや……。
突然の話に絶句してしまった。
いきなりM4の昇級審査って……。
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