負傷
オリンピックのおかげで寝不足です。
「ギィガアアァァァァァッ!!」
咆哮しながら坂を駆け上がるギガントピテクス。抱えた折木の先がどんどんこっちに迫って来る。
(……なんつー馬鹿力だ)
マズいぞ、このままだとまともに衝撃を喰らってしまう。
(どうする。考えろ、考えろ……)
焦りながら頭をフル回転させるカイト。
周りには木々、手元には……っ
「そらっ!」
「ギィッ!?」
スカイウォーク用のアンブレラカードを素早く開いて右前方へ投げる。
一瞬ギガントピテクスの注意が傘に向いたところに合わせて、カイトは逆方向に素早く回り込んだ。
ターン!
ターン!
「ッ……ギィ!?」
側面からギガントピテクスを狙撃する。カイトの弾は2発とも右足に命中した。ギガントピテクスが抱えていた折木を落とし、カイトの方を向いたところを更に狙う。
ターン!
「ガッ……」
最後の発声を終え、ゆっくりと前のめりに崩れ落ちるギガントピテクス。弾丸は頭部を撃ち抜いていた。
(…………)
しばらく無言で目の前の骸を見下ろすカイト。手に残る汗の感触。完全に予想外な展開だった……。まさかホントに二匹目がいるとは。
慎重に辺りを見回す。……どうやらもういないようだ。二匹目のギガントピテクスも指を切り取り袋に入れた。
スカイウォークが使えないため、街に戻るには歩いて下山するしかない。残りの弾は16発。……もう一匹ぐらいなら大丈夫そうだな。
カイトは念のため、目の前の骸を調べる。
(……雌か)
その後、最初に倒したギガントピテクスを確認すると雄だった。これ……マズいんじゃないの。
深呼吸をしながら考える。
おそらくまだ子どもがいる可能性が高い。ギガントピテクスが1度に何匹の子どもを産むのかは知らないが、複数だと非常にマズイぞ。
(……一旦街に戻るべきだな)
ザザッ
ザザザッ
「っ!?」
「ガアァァァァァァ!!」
(ヤバっ……)
ザシュッ
「っつ……!」
カイトが気が付いた時には、目の前に迫られていた。突如現れたギガントピテクスの奇襲を喰らう。何とか反応した左前腕の外側から血が流れていた。
……クソッ!
ターン!
「ギッ!」
片手で撃った初弾はあっけなくかわされる。
カイトはその間に素早く木に身を隠した。ギガントピテクスも俺同様近くの木に隠れたようだ。動きが素早い。
「ギギギィ……」
ギガントピテクスは木を盾にしてカイトを睨んでいる。大きさはあの二頭と比べると小柄だ。カイトより少し背が低いくらいに見える。
(子どもだ……間違いない)
親よりも早いスピードがあるので迂闊には撃てない。弾が尽きたら終わりだ。
カイトは左拳を握る。……痛ぇ。
こりゃ、腹くくるしかないな……。
「おい!」
銃を構えた状態で、隠れていた木から飛び出した。こうなったら自分自身を囮にするしかない。
「ギィィィ……」
歯を剥き出しにしてカイトを見ているのを感じる。警戒しているようだ。……来いっ!
ターン!
「ガァァァ!」
一発弾を放ったと同時に、ギガントピテクスが木から飛び出してきた。
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