頼れる先輩
遂に5日目……だー!
明日はいけるかな……
(ヒルダさん……。話が長い……)
話が止まらないヒルダに参り始めるカイト。どうやらヒルダは、キール・ブクレシュティがカイトに興味を持ってると思い込んでいるようだ。
どこで出会ったのか、カイトが彼女をどう思っているのか、次から次へと質問攻め続く。
……さて、どうやってこの場から抜けよう。
困り果てるカイト。まだまだ終わりそうにない。
「ヒルダさん!」
カウンターの方から声が聞こえて来た。
「あっ!?はーい!……ゴメンね。ちょっと待っててね」
「……あ、いえいえ。充分お話聞かせて貰えましたので」
チャンスだ。切り抜けるなら今しかない。カイトは瞬時に判断する。このままこの場を後にしよう。
「あら、遠慮しなくていいのよ。すぐ終わるから、ね」
「いえいえ、あまり長居しても悪いのでまた来ます。続きはその時にしましょう」
「……そう。残念だわ。じゃあ、また来てね」
「はい、また来ます。ありがとうございました」
だっしゅーつ!
振り返るな、急げ急げ。心の中で安堵しながら、カイトは急いで部屋を出ていった。
「……はぁ」
自然と溜め息が出る。疲れた……。
結局、途中からの脱線のせいであんまり分からなかったな。
「ん?」
「あ、どうも」
向かいから歩いてきた男に、カイトは頭を下げる。昨日カイト達にギルドの説明をしてくれた人物。ハーケンと名乗った男だ。
「どうした、浮かない顔だな」
「色々ありまして……」
カイトが事情を話すと、ハーケンは大爆笑した。
「それは災難だったな。ヒルダは優秀な事務員だが、噂話が好き過ぎるのが玉にキズなんだ」
「……みたいですね」
「でも、ブクレシュティに興味を持たれるヤツなんてなかなか聞かないぞ。そう意味ではヒルダがそうなったのも頷けるがな」
「ハーケンさんはキールさんと面識があるんですか?」
「挨拶程度だ。アイツは基本的に人と接したがらないからな」
まぁ、確かに話好きには見えないな。どうみても。物静かな感じだったし。あ……そーだ。カイトは思い付く。この人にギルドのことを教えて貰えば良いじゃん。
「……そういうわけなんで、ギルドのこと少し教えて貰えませんか?」
「ん?ああ、そうだったな。良いぞ、どんなことが知りたいんだ?」
「えっと、依頼と昇級審査については大体聞いたんですけど、それ以外に最初は何を知っておけば良いですか?」
「そうだな……。まずはギルド章だな」
「……ギルド章?」
「ああ、これだ」
そう言ってハーケンは自分の左胸を指差した。
弾丸の形をした金属の勲章みたいなものが服につけてある。
「この帯色で、ギルドランクが分かるんだ」
「あ、なるほど」
ハーケンは確かM4だと言ってたから、水色の帯色がM4のギルド章ということか。
「そして、裏に個人の情報が書いてある」
ハーケンが自分のギルド章を裏返すと、名前・生年月日などが彫ってあった。……ハーケンさんって34歳なんだ。
「俺は受かるのが遅かったからな。ほれ」
カイトの顔を見て何かを察したのか、ハーケンの指した部分にはギルド加入年月日も彫ってあった。
「……なるほど」
「これは絶対に無くしてはいけないものなんだ」
「どういうことですか?」
「まず、再発行されない。無くしたらまたギルド審査を受けて新たに入り直すしかない」
「……」
マジですか……。
てか俺それ持ってないんだけど!
お読みいただきありがとうございました。
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