エピソード6 十字架ピアス
Episode6
登場人物
濱平 万里:主人公
カイト:すでにかませ犬?
キース:すでにかませ犬??
平位:すでにモブ化?
十字架ピアス:室戸達也
シロ:難波優美
レイチェル:おばさん
流れる様な動き、無駄の無い姿勢、涼しげな眼差し、
そして、意味不明に強い。
万里:なに、この人…
何故こんな処に刀を持った男が突然現れたのか…はさておき、思わず見蕩れてしまう。 アニメか少女漫画から抜け出して来たみたいな…超絶美形のダークヒーロー。
キース:『貴様…!』
上空2000mに意図的に発生させられた超局地的乱層雲から1000m/sで飛来するコブシ大の雹が、正確に予知された2秒後の目標位置 に着弾する!
後は術者が何処に当てようと考えているかさえ判れば…躱すのはたやすい!
キースの放った超音速の雹は、十字架ピアスが予測したキースの目標地点に…予め置かれた刀に向かって正確に着弾し、弾かれる!
キース:「前にも聞いた気がするが…本当にお前、人間なのか?」
想定外の事態にキースは楽しそうににやけている。
キース:「それならば…!」
予め…
柄を剣先よりも高く振り上げ、斜め45度に垂れ下がる様に構えられた刀身に、…直径30cm以上は有るかという巨大な雹が着弾する!
巨大な雹の運動エネルギーは、その刀身でベクトルを変えられて十字架ピアスの突進力へと転換!!
一瞬で間合いを詰めた十字架ピアスの剣は、直撃した氷塊の反力を剣速に乗せて頭上で回転、一気呵成に振り下ろされる!!!
キースの反応速度を超えた刀身は、その首の皮一枚のところで寸止めされていた…。
キース:「…人間ごときが…ナメルな!」
人外のイケメンも流石にプライドが傷ついたのか 歯ぎしりしている…
万里:「…かっこいい、」
思わず口に出して言ってしまった…
ちょびっと、顔も赤くなってるかも…
レイチェル:「キース、そこ迄にしておけ。」
レイチェルの言葉を合図に十字架ピアスが剣を引く。
レイチェル:「こ奴等はイオリの手の者だ。 …奴とは盟約が有るからな。」
キースが十字架ピアスから視線を逸らす。
優美:「行きがかり上。 この子達に手を出す事は許さないわ。」
レイチェルの背後に、いつの間にか その美少女は現れていた。
長い睫に大きな瞳、傷一つ無い整った小顔は透き通るように白く、ウェーブした艶やかな髪は腰まで届く豊かな長髪。 まるで造り物の様な一点の欠陥も無い妖しい美貌。 黒のゴスロリに身を包んでいる。
女の私が見ても思わずポッと赤くなってしまう。
まるでお人形さんみたいに綺麗な娘、名前は…
万里:「シロ、」
優美:「ちがう、」
優美、苦虫…
レイチェル:「五行の聖獣か。主はどうした?」
優美:「私が知りたいわよ。 全く…どうして私がこんな所に来なければならない訳?」
優美:「こうしている間にも、あの忌々しいヤンデレ妹キャラが優柔不断男をたぶらかしているかと思うと…! さっさと用事を済ませて帰るわよ!」
美少女、一人芝居?
やがて騒ぎを聞きつけて警官隊が駆けつけてくる。
が、10m手前で何故かぶっ倒れて、
まるでスタンガンを当てられたかの様に…小刻みに痙攣している。
優美:「シロ! 半径1km圏内のカメラ、ビデオの類、全部データを破壊してちょうだい。」
少女の足下に…陽炎の揺らめきの様な、かすかに白っぽい半透明の実体の無い幽霊の様な、ネコが出現していた。
万里:「何、…それ?」
以前にも、見た事が有る。
源香澄と名乗る女にも、似た様なモノが取り憑いていた…
「バチっ!」 一瞬、そんな感じの痛みが身体を襲う。
と同時に、遠巻きに様子を伺っていた野次馬達が騒ぎだす。
野次馬1:『あれ、なんかおかしいわよ。』
野次馬2:『お父さん、ビデオ壊れた。』
野次馬3:『あぁ! 旅行の写真が全部消えてる!』
野次馬4:『あんた、又使い方間違えたんでしょう!!』
(作者注:『』は英会話、もしくはイタリア語、或は中国語、又は韓国語)
優美:「フン!」
私、我に返ってカイトに駆け寄る
万里:「カイト、大丈夫?」
カイト:「ねえちゃん…、」
背中の傷は早くも回復している様だった。 骨も折れている様子は無い。
カイトを抱き起こす。
万里:「ありがとね、助けてくれたんだよね。」
カイト:「俺、かっこ悪いな…。」
万里:「そんな事無いよ、カイト、格好良かったよ。」
レイチェル:「ラストバタリアンか…。」
平位は、…平位の腕は再生しない様だった。
脇の下を押さえて止血している。
万里:「平位サン、大丈夫ですか。」
ベルトを使って平位の左腕を止血する。
平位:「既に魔法は切れたみたいだな…。」
美少女が赤い箒を拾い上げた。
優美:「グングニルだかロンギヌスだか知らないけれど、槍はこっちにもらうわよ。」
レイチェル:「ほう、お主…それが触れるのか。」
優美:「当たり前じゃない。」
金髪カリアゲのイケメンが近づいて来る
キース:「レイチェル、俺は構わんが…本当に良いのか?」
レイチェル:「構わん、私が持っていてもどうせ使えんからな。」
レイチェル:「五行の聖獣よ、その槍はお前に託した。 良き働きを期待しておる。」
中二病のおばさんと人外のイケメンは意外にあっさりと背を向けると、とぼとぼとフォロロマーノを後にする。
十字架ピアスが平位の吹き飛んだ左腕を回収してきた。
優美:「私達もこれ以上騒ぎが大きくなる前に退散しましょう。」
一同を乗せた平位のバンは十字架ピアスの運転で高速道路を北上する。
二列目のシートで私は負傷した平位を膝枕していた。 カイトは、後ろの荷台で、何だか落ち込んでいる。
車の中で優美達にはこれまでのあらましを話した。 山猫からは誰にも言うなと念を押されていたが、命を助けてもらった借りもあるし、やむを得ないだろう。
それにこの聖獣達、山猫が言う程「邪悪な存在」の様には思えないのだ。
車は、深夜過ぎにベッキオ橋の近くの平位のアパートメントまで戻って来た。
十字架ピアスが平位の応急手当を行う。
万里:「あの人、何でも出来るのね。」
それにしてもこの二人、凄い美男美女だ。 まるでモデルか映画俳優のカップルみたい。
カップルと言えば、私とカイトだってカップルと言えない事は無い。
私の相方は…と見ると、相変わらず元気がなかった。
万里:「どうしたの、元気ないじゃん。」
カイト:「何でもない、ほっといてくれ!」
万里:「どっか痛いの?」
カイト:「痛無い。」
私、後ろからそっと抱きしめる
カイト、ちょっと照れてる
万里:「悩み事があるならお姉さんに言ってみなよ。」
カイト、ポツリと話し出す。
カイト:「ねえちゃん、」
カイト:「ねえちゃんは平井サンの事どう思う?」
万里:「そうね、素敵な人だとは思うわよ、優しいし、意外と常識あるし、いい人よね。」
カイト:「ロンゲコートの事はどう思てんの?」
万里:「ロンゲコート? ああ、室戸さん、…あの人超かっこいいよね。 メッチャクチャ強いし。 まじファンになっちゃった。」
カイト:「やっぱりねえちゃんは年上の男が好きなんか。」
万里:「なによ藪から棒に…、別に、好きだなんて言ってないじゃない。」
カイト:「そやかて平井サンのこと見るとき、ちょっと顔あこうなるやんか。 それに、車ん中でロンゲコートの事も、なんや間抜けな顔してじいっと見てた。」
聞いてるこっちが赤面する
万里:「馬鹿! 何、人のこと勝手に観察してんのよ。」
カイト:「俺は、ねえちゃんが他のやつの事やらしい目で見てんのが嫌なだけや。」
万里:「あんた、もしかしてやきもち焼いてんの?」
カイト:「そんなんや無い。」
私、カイトの背中に体重を預ける。 温かい。
万里:「あんた、18歳未満以外はお断りとか言ってなかったっけ?」
カイト:「俺かて、ねえちゃんのこと守ったろう思ってんのに、結局いつもやられてまう。 …めっちゃかっこ悪い。」
カイト:「俺、なんか悔しいんや、」
私、カイトのこめかみに…キスをする
万里:「あんまり可愛いこと言ってると、アンタの事好きになっちゃうかもよ。」
カイト:「しらん!」
平位が携帯電話を持って来る。
平位:「これから山猫と連絡するが、お前達も話をするか?」
優美:「いえ、山猫には私達と会った事は伏せておいて。」
平位:「槍は、どうするのだ。」
優美:「少しだけサンプルをもらう。 後は貴方達の好きにすれば良いわ。」
そう言うと、少女は箒の毛を一本だけ切り取った。
山猫からの着信…
山猫:「 …左腕を失ったのは痛かったが、無事「槍」を回収出来て何よりだ。 二人は無事か?」
平位:「はい、今は眠っています。」
山猫:「それでは直ぐに日本へ発つ様に指示してくれ。 第三の封印が解かれようとしている。」
山猫:「スコルが、スカンディナビアを発った。 このままではエインヘリャルが危ない 。」