表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

エピソード9 狼の聖獣

Episode9

登場人物

濱平 万里:主人公

カイト:忌まわしき兵士の末裔

山猫:忌まわしき殺人カメムシ

スコル:北欧から来た狼の聖獣


倒れたままの刑事を後にして、私達は警察署の会議室を抜け出した。


廊下には全く動く者の気配がしなかった。 見ると大勢の人間が床に倒れている。 ぴくりともしない。


万里:「これって…死んでるの?」

山猫:「眠らせただけです。 後遺症の事は保証しかねますが…」


山猫:「こっちです。」


巨大カメムシ型ロボットの誘導に従って廊下を進む。



山猫の言いなりにならずに警察の助けを待つべきだっただろうか。 いや、そんな事をすればもっと多くの警官の犠牲を出すだけだろう。 これはやむを得ない行動なのだ。 …そう自分に言い聞かせる。



警察署を出ると、一台のタクシーが待っていた。


山猫:「乗って下さい。」

万里:「私、そんなにお金持ってない。」

山猫:「大丈夫です、払う必要はありません。」



タクシーで香澄のマンションに向かう。


タクシー運転手の性なのか、サービスの一環と考えているのか、例に漏れず運転手は豊富な話題を振りまき始めた。


運転手:「お客さん、聞きました? 何や物騒な世の中でんな、アフリカで新しい病気やて、 ヨーロッパ含めて渡航制限ですって、これから冬休みの海外旅行シーズンや言うのに、旅行会社あがったりでんな。」


万里:「さあ、最近テレビ見てなくって…」


ブルジョアで大学の同期の望月が計画していたフランス旅行は、おじゃんになりそうだ…



暫く走っている内に、不自然な現象に気がつく。


運転手:「なんや今日はえらい運がええでんな。 信号みーんな青や。 一年に一回くらいはこういう事も有るもんでんな、」


多分、山猫がやっている事なのだろう…。



マンションに付くと、いきなり運転手が気を失った。 足下に黒い紐の様なロボットがヘビの様に蠢いている。


万里:「また、やったの?」

山猫:「料金を支払う必要ないと言ったでしょう。」




罪悪感にかられつつタクシーを降りると、既に十数人以上の警官隊が辺りを包囲していた。


刑事:「お嬢ちゃん、警察をなめてもらっては困るな。」

刑事:「おとなしくこっちに来なさい。」


万里:どうしよ…

カイト:「ねえちゃん、コイツら…やっつけるんか?」

万里:「駄目よ! そんなことしちゃ、」

山猫:「大丈夫です、警察の相手は既に手配済みです。」


やがて、何処からともなく現れる6人のトレンチコート。

多分…エインヘリャル、


山猫:「気にせずに、「槍」を取りに行きましょう。」



エインヘリャル達は、警官隊に歩み寄り次々に沈黙させて行く。

警官隊の発砲が始まる。


万里:「殺してないよね…。」

山猫:「殺せとは命令していません。」



部屋へ戻って、ドアの鍵を開ける。


万里:「何処に置いたっけ?」

カイト:「赤い箒か? 台所においてあったで。」



突然背後から声がした。


警官:「おとなしくしなさい。」


部屋の中には2人組の警官が待ち伏せていた。 何故だか拳銃を構えて、万里に向けている。



万里:ええっ? 私ってそういう立場なの? 何時の間に??


私、そろそろと手を上げる…

巨大カメムシ、いきなり警官の顔に飛び移る!

カメムシ、警官の顔に屁を吹きかける!


警官:「うわっ、何だ、コイツ!」


昏倒する警官


カメムシ、もう1人の警官にも飛びかかって、…放屁!


昏倒する警官



万里:「眠らせたの?」

山猫:「恐らく、数分で死にます。」


山猫:「このロボットには致死性のガスしか搭載していないのです。 しかも三回きりしか使えない。」


私、一気に血の気が引いて行く


万里:「ころした? …殺したの?!」

山猫:「ここまで追いつめる方が悪いのです。 せっかく貴重な時間を費やして穏便な手段を用意してあげたと言うのに。」


万里:「毒がす?」


私、後ずさり


山猫:「大丈夫です、ガスは重いので床に落ちて広がります。 直接顔に吹きかけられなければ、間違って吸い込む事はありません。」

万里:「いや、…そう言う問題じゃない…。」



万里:私、とうとう人殺しの共犯?? 違うよね!



山猫:「急いで下さい。 貴方が長くとどまる程、犠牲者が増えていきますから。」

万里:「なんで、そうなるのよ!」



脅迫されるままに空飛ぶスクーター「フライングシューズ」までたどり着く。

起動キーをONにするが、…起動しない


万里:「どうして? ちゃんとスマホセットしたよ…。」


カメムシ、スクーターとWiFi通信してる?


山猫:「ガス欠みたいですね。」

万里:「ガス欠? 昨日は ちゃんと動いてたわよ。」


山猫:「燃料残量が規定値を下回る場合、安全の為に起動しない事になっています。」

万里:「何でそう言う事を先に言わないのよ!」


もしタジキスタンでガス欠になってたら、一体どうするつもりだったんだ…



山猫:「最寄りのガソリンスタンドまで案内します。」

万里:「ちょっと待って! お金あるか確認する。」


鞄の中の財布をチェックする、寂しい限りだが何とか2000円は入ってる。


山猫:「要りませんよ。」

万里:「そんな事言って、また支払いの時に店員を殺すつもりなんでしょう! 絶対駄目よ。」



相変わらずエインヘリャルと警官隊の攻防は続いていた。

その間を縫って、スクーターを転がしながら走る。





その途中で、…とうとう追いつかれてしまう。


電車の高架脇、道路の行手に1人の外国人が立っていた。

身長は190cm位、がっしりした体格、黒のミリタリーモッズコート、肩迄かかる赤い髪、口回りのひげ、…焦点の合わない瞳



山猫:「まさか、…こんなに早く到着するとは。」


二人のエインヘリャルが私達の前に飛び出して護衛する。



男:『忌まわしい兵士達め。』

(作者注:『』はスカンディナビア語)


男、何かわからない言葉でつぶやいている。


男:『裏切り者の所へ案内してもらうぞ。』



それなのに…私、何だか言ってる事の意味が分かってしまう。


万里:「あの人、今…裏切り者って言った?」

山猫:「濱平さん、奴の言っている事が判るんですか…、」



更に、警官隊が追いついて来て周囲を取り囲む。


警官:「全員、その場を動くんじゃない!」



万里:「どうするのよ?」

山猫:「エインヘリャルが時間を稼ぐから、その間にガソリンを入れて下さい。」



外国人が、カイトの抱えている赤い箒を睨みつける。 まるで犬の様にうなっている?


山猫:「奴は、聖なる槍に触れられない。 大丈夫だ、きっとうまく行きます。」




エインヘリャルの左腕に内蔵された仕込み武器が展開する!


1人目が、外国人に液体を吹きかけた! 見る見る内に液体は固まって外国人の身動きを封じる。

2人目の左腕にはガトリングガンが出現していた。


この前カイトがやられた武器に似ている。



警官:「武器を下ろせ! さもないと撃つぞ!」


言ってる間に数十本の針が外国人目掛けて撃ち出される!


警官隊、エインヘリャルに発砲を開始、

しかし…いくら銃弾を撃ち込まれても気に求めないエインヘリャル達、



山猫:「あの針には神経性の猛毒が塗ってあります、いくら聖獣と言えども身体は人間ですから、これで少しは時間が稼げるはず…。」



ところが外国人は、固められた樹脂など元からなかったかの様にこちらに歩み寄って来た。

まるで、樹脂が男に吸収されているみたい。


毒も全く効果がないらしい。


山猫:「…これだから聖獣は嫌いなんだ!」



外国人、ゆっくりとまっすぐに万里の方へ歩いて来る。


万里:「やだ! こっち来るよ。」


カイト、構える


エインヘリャルの1人が、刀を構えて外国人に飛びかかった!


刀はスコルの腹部に貫通?



思わず退くエインヘリャル、


…刀が、いや刀を握っていた腕ごとが、無くなっている。



外国人、たじろぐエインヘリャルの顔を鷲掴みにする。


まるで粘土細工の様に、掴まれたエインヘリャルの顔が…凹んで、失われて行く。



山猫:「奴の名はスコル。 太陽を喰らう狼の聖獣、奴に触れた者は全て異空間に飲み込まれてしまいます。」



スコル、万里に視線を合わせる。


スコル:『女、ヘラの所に案内してもらおうか。』

万里:「えっ、何で 私?」



スコルの声が頭に直接飛び込んでくる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ