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【書籍化】夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~  作者: 狭山ひびき
猫王妃と離婚危機

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もう一つの理由 2

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「戻っちまったねえ」


 獣医の部屋に行くと、ヴェリアがあきれ顔で出迎えてくれた。


「人になったり猫になったり、あんたも忙しいことだよ」

「みゃ!」

(こういう魔法をかけたのはヴェリア!)

「望んだのはあんた」

「にゃ!」

(その通りです、すみません!)


 ぴょんとソファの上に飛び乗ると、ヴェリアがお茶を入れてくれる。


「それで、なんで戻ったんだい?」

「なー」

(わかんない)

「本当に?」

「……にゃあー」

(……実はちょっとだけ、心当たりが、ある)


 ソファからローテーブルの上に飛び移って、ヴェリアが用意してくれた紅茶を舐める。

 フィリエルが猫に戻ったのは、もしかしたら、リオンに人間であるフィリエルを受け入れてもらえないかもしれないと思ったからだろう。

 リオンは猫のままのほうがいいのではないか。

 そんな風に思ってしまったから、猫になったのではないかと思う。

 フィリエルが説明すると、ヴェリアが「ま、その可能性はあるかもね」と頷いた。


「もともとあんたが人をやめたがったのは陛下が原因だ。陛下に受け入れてもらえないかもしれないと思ったことが、猫に戻ることにつながったと考えるのは妥当な線だろう」

「みゃー」

(じゃあ、不安がなくならないと戻れない?)

「かもしれないねえ」

「……なー」

(……じゃあ、ずっと猫のまま?)

「そんなに不安なのかい?」

「みゃ」

(うん)

「陛下が猫の方がいいと思うかもしれないことが?」

「みゃ」

(うん)


 頷くと、ヴェリアががしがしと頭をかいた。


「あんたねえ、そんなことを言ってたら本当に戻れないよ。人の心なんてわかるわけないじゃないか。大体、陛下と人間の姿でほとんど関わってないんだから、これから手探りでお互いのことをわかりあっていくのが筋ってもんだろう。猫がいいか人間がいいかなんて、今の状態で明確な答えが出るわけじゃないだろうさ」


 そうかもしれないけれど、不安に思ってしまうのはどうしようもないのだ。

 ヴェリアも言ったではないか。フィリエルの意思ではなく、心の奥底の本当の感情が人に戻りたいと思わない限り戻れないと。

 きっと大丈夫だと自分に言い聞かせても、心の底から大丈夫だと思えなければ意味がない。


「ま、あんたかなり傷ついたからね。また傷つくのが怖いのは仕方がないさ。でも、前はともかく、今の陛下はそこまで人でなしかね」

「にゃあ!」

(陛下は人でなしじゃないよ!)

「だったら少しくらいは信じてみればいい。昨日、あんたが人に戻った時、陛下は嫌な顔をしたかい?」

「……にー」

(……してない)

「そういう目に見えるものを、一つずつ信じていくしかないんだろうさ」


 そうかもしれない。

 猫だって人だって、他人の心を見ることはできない。

 ならば仕草や視線や表情で、一つずつ感じ取っていくしかないのだ。


「気長に頑張りな」

「にゃー……みゃあ!」

(うん、じゃない! 今日、お兄様たちがフィリエル人形のお見舞いに行くの! 気長にとか言ってたら、本当にイザリアを側妃に押し付けてくるかもっ)

「知らないよそんなの。人形は作ってやったんだから、あとは自分たちで何とかしな。言っとくけどあれ以上のものは作らないよ。人形が人と意思疎通して流暢にしゃべったら怖いじゃないか」

「にゃあ⁉」

(そういう問題⁉)

「そういう問題だよ」


 つまり作ろうと思えばもう少し上が狙えたということではないか。


(ヴェリアったら変なところにこだわるんだから!)


 ヴェリアの言うこともわからなくもない。確かに意思疎通できて流暢にしゃべる人形がいたらそれはもう人形なのかどうなのかという話だ。わかる。わかるけども!


「壊すときに罪悪感を覚えるような人形は作らない主義だ」

「……みゃあ」

(……それはそうだね)


 ヴェリアの一言に妙に納得してしまった。意思疎通ができる人形を壊すのは、人を殺すことに近いかもしれない。さすがにそれは心が痛すぎる。


「側妃問題については、あたしが解決してあげられる問題じゃない。二人で何とか乗り切るんだね」


 その通りなので、フィリエルは神妙に頷いた。






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