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相棒召喚の儀

サブタイトル変更しました

 洞窟からスタートできたものの、冒険の世界へと旅立てずにいる俺は、これからの展開をどうしたものかと考えていた。


 そもそも、だ。

 どうして俺は動けないんだ。不公平極まりない。

 あちら様はうまいことやって国を作り終えたというのに、俺はもう詰んでいるのだ。

 岩だらけの密室で独りぼっちの監禁プレイを楽しむ趣味も心の余裕も俺にはない。


 (──転生してすぐに詰む人生って何? てか、これって本当に転生してるのか?)


 電車に轢かれてどこかの洞窟にトリップした説も浮上するが、すぐにそれはないなと考えを払拭する。

 すでに電車に轢かれている時点でトリップしたとて、そのまま血まみれの『DEAD END』を迎えるだけである。


 時間が経てば少しは動けるようになるかとも思ったけど、まったくもって動けない。

 そういや地縛霊って呼ばれる連中がいたな。あいつらも動けないんじゃなかったか?

 

 (──ひょっとして、地縛霊になった説もある?)


 いや、さすがにそれはないか。地縛霊説はないない。

 地縛霊って、死んだ場所から動けなくなるやつだよな?

 なら、俺が洞窟にいるのはおかしいよな?

 俺が死んだのは、駅の線路。だから地縛霊になるとしたらあそこしかないはずだ。


 万が一にも、ある日突然線路が陥没して洞窟に生まれ変わったならばワンチャンある話かもだが、それはあまりにも非現実的過ぎる。

 目が覚めたら洞窟にいるというのも、摩訶不思議な話ではあるが……。




『──待ち人来ず』


 いつだったか、そんな言葉がおみくじに書いてあったのを思い出す。

 本当に、待てど暮らせども誰の訪れもない。

 はじめてのお友達とやらにはいつ逢えるのだろうか。 


 これが流行りの物語ならば、転生した主人公はチートな能力を開放しながら今ごろは新生活をハッピーにエンジョイしている頃だろう。

 それに比べて俺は、物語の序盤からすでに詰んでいる状態なのだよ。


 そろそろ俺も物語の主人公らしく、洞窟の探検とやらに出発したいところではあるが、なんせ俺ははじまりの洞窟すらからも出られない身の上なのだから仕方あるまい。だって、動けないんだもん。


 (──冒険もできない主人公って、何だこりゃあぁぁ)


 ふと疑問が浮かぶ。 

 果たして、俺は本当に主人公として転生できたのだろうか……?


 まさかのモブ転生だったりするのではなかろうか。

 もし物語にすら登場しないような端役にすらならない名も無きモブに転生を果たしていたとしたら、これは致命的である。俺が洞窟から死ぬまで出られない可能性が非常に高まってくるではないか。


 主人公の幸せを見届けることもできないモブなんて、転生した意味がないだろう。主人公どころかモブすらも引き立てられないで消えるモブ人生って最悪だぞこの野郎。さて、どうしたものか……。


 どうにもならん。

 洞窟探検をしてドラゴンさんを探しに行きたくても、動けないんだから。近くにいても、出逢えない。

 ドラゴンさんが自ら探しに来てくれたとしても、ここには扉がない。窓もない。


 どこだろ? どこだろ? お友達はどこだろ?

 ドラゴンさんが無限の迷子になってしまうじゃないか。


 それに短気でも起こされて壁を破壊されたら、洞窟が崩落するおそれもある。

 転生してすぐに生き埋めにされて『THE END』になるのは御免である。


 こんな時、有能な相棒でもいてくれたならば、この危機的状況から救い出してくれるかもしれない。

 そういえばまだ試していなかったな。

 よし。試しに喚んでみるか。


 (──いでよ、我が有能なる下僕にして素敵な相棒よ! さあ、今すぐ我を救たまえっ!!)



 ………………



 …………



 ……



 すこぶる虚しいじゃねぇか、ちくしょう。

 封印したはずの厨二病を全力でMAX解放して無意味な相棒召喚の儀を行ってしまった……。


 (──23歳の男が何やらかしてるんだよ。恥ずかしいやつだな、俺……)


 ある程度覚悟はしていたが、やはり俺には有能で素敵な相棒さんはいらっしゃらなかった。 ──チーン。


 さすがに序盤から詰み過ぎてやがるぞこの転生(じんせい)


 有り余る時間を持て余しているってのに、相棒はいない、お友達もいない、動けない、の三点セットだ。


 誰にも逢えずに孤独死ENDは嫌だなぁ。

 無限の洞窟暮らしだなんて、そんなの俺には耐えられん。

 誰でもいいから早くここから助け出してくれ!




 ──Heeeeeeeelp!!!!!

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