永遠の悪夢
イヤな夢を見ては、目を覚ました。
家族に貶されて、罵詈雑言を浴びる夢を。
窓の外を見れば、星空が見えていた。
「アニエスさん、大丈夫ですか?
魘されてたように、見えますが」
『アンジェリク、大丈夫だよ』
深い溜息を吐き、アンジェリクが部屋に入る。
顔色を見て、頭を優しく、撫でられる。
深い優しさで、包み込むような感じがした。
「どうみても、大丈夫じゃなさそうですよ?
声が震えてましたし、泣いてましたか?」
アンジェリクは確信して、言っている。
『悪夢を見てさ、家族の夢。
もう縁は無いのに、見てしまう。
刻まれた、呪縛で、囚われてしまう。
情けないよ、あんな言葉で、傷めるなんて』
「アニエスさん、偽らないでください。
苦しいなら、苦しいと、叫んでください。
やっと、開けるようになったというのに。
閉じ込める必要なんてないんです。
目の前に、声を出せば、耳を傾けて
一緒に居てくれる、存在が居ます。
泣いて良いんですよ、アニエス」
哀しそうに、眼を潤わせて、抱きつかれる。
長年、破壊されてきた、感情はアンジェリクが
ゆっくりと修復を試みてる。
コクっと頷いて、抱き返す。
1人じゃないと、刻み込まれるように
力強く、包み込まれていた。
ほんと、アンジェリクは優しい。
神の使徒でもあるけど、人情を持ってる。
けれど、私は泣き方を忘れている。
深く息を吸い込み、呼吸を整えて
『ありがとう、アンジェリク。
もう、大丈夫だから』
柔らかく、微笑んでは愛想笑いじゃない
確認をされてしまった。
そのまま、アンジェリクは私のベッドで
横たわり、寝転がるよう、促す。
「アニエスさん、大丈夫。
貴方は孤独じゃないから」
寝転がれば、子守唄を聞かせるように
耳元で囁かれる。
ゆっくりと頷いて、目を閉じた。