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閑話・義娘の距離
アニエスを抱き抱え、場所に揺れて
お城の方へ戻っていく。
どうやら、使い慣れてない、聖力を使い
気絶したと、神官の医師が言っていた。
一応、儀式はやると、神官からは
聞いていたが、アニエスは呼ばれたとしか
言わなかった。
もう少し、気にすれば良かった。
「もう少し、話す機会を増やそうか。
アニエスの心を開かすには
どうしたらいいのだろう」
深く眠り付いてる、娘の頭を撫で
優しく微笑む。
前世の環境のせいか、実の娘達より
深い氷の壁で、自身を支えて
暖かなものを入らせないように
拒んで、沈み込んでいる。
人柄、環境は大抵は目の奥底を覗けば
現れるもので。
「国王、付きました」
『分かった』
物思いにふけっていたら、城に着いた。
アニエスを抱き抱え、城の中へ。
「おかえりなさいませ、国王陛下」
『アンジェリクか、娘を頼む』
「はい」
訝しげるような、瞳で娘を受け取る。
専属メイドに任せ、私は踵を返して
執務室に向かった。
心配ではあるが、アンジェリクに
任せておけば、大丈夫だろう。