神殿へ
国王に事情を話して、馬車を用意してもらう。
神殿に赴くように言われた、今朝。
聖女である、証の光のブローチを付けて
馬車で揺られながら、1時間。
「そう緊張しなくても」
『仕方ないでしょう、アンジェリク。
こうして、表に出るだけでも
進歩したと思ってほしいわ』
従者である、アンジェリクが和らげようと
言葉をかけるが、私には、無駄だ。
馬車の窓を眺めていれば、神秘的な神殿が
主張していた。
着いたのか、ゆっくりと馬車は止まる。
アンジェリクが私の手を取り、馬車から下ろし
目の前の神官に頭を下げた。
「ようこそおいでくださいました。
アニエス嬢、アンジェリク様。
私の名はベルトランと申します。
神殿の神官長を務めさせてもらっています」
長い袖の白服を着て、光の象徴とも言え服装。
神殿は神の聖域、穢れを持ち込んではならない
その為か、白を基調とされるものが多い。
『お初にお目に掛かります。
今日はよろしくお願いします』
簡素に言い、神殿のなかに進んでいく。
白鳥をモチーフにした、ガラス戸や
星をイメージした天井に、前世とは
異なる、女神像が置いてある。
「この女神様は平和と愛を象徴しております。
民から、信仰されてる、神のひとつ」
神官のベルトランが歩きながら、説明する。
月をモチーフにした、冠を被っている。
「あの神様の像は夜の神、闇を従えては
光の神と闘争なさっていたと
書物には、記されていました。
光の神、夜の神は双子神なのです」
淡々とベルトランが何種類もある
女神像の説明をしていく。
神官長を務めるだけあって、詳しかった。
客間に通されては、儀式の準備があるらしく
待機を言い渡された。