憂いと...過去の呪縛
義家族に私が、この世界に転移されてきた
魂だと、明かしては、眠れずにいた。
まだ、前世の家族からされたことを
話せずに、終えてしまった。
眠れずにいると、朝日が昇り始めては
水晶玉が光を灯した、神様が私との
通信を求めているときの合図だ。
「アニエス、居るならば、返事をしなさい」
『どうかしましたか?』
ベッドから起き上がり、神様に返答する。
「アンジェリクから、通達が入ってな
心配で様子を見に来た」
『ご心配をおかけしました、大丈夫です』
「なにが、大丈夫なんだ?
そのような、表情をしおって。
平気そうに見えんぞ」
どうやら、アンジェリクが神に報告したようだ
鏡を見ては、表情に出してはいない。
何故、気づいたのだろうか?
「神を舐めるな」
ニヤリと神は微笑んだ。
まぁ、神様だから、当然か。
「アニエス、もし他者といるのが
どうしても、無理そうならば言え。
その者達の記憶を消し、また森の奥で
癒やしながら、生きれば良い」
『はい、お気遣いありがとうございます。
ですが、大丈夫です。
もうちょっと、頑張ってみようかと思います』
丁重に断りを入れて、神は頷いた。
あの人達は私が居た、世界よりも、優しい
人達で、少しなら、信じてみようと思えた。
「そうか、分かった。
そろそろ、神殿にも、顔を出しなさい。
御主には、聖女としての役目を果たして
貰わなければならない」
『分かりました』
聖女としての、役目を果たさなければ。
けれども、私は他者と関わるのが、恐い。
否定されて、罵倒されてきた
そんな日々の言葉の呪いが、離れない。
前に進まないと、行けないのに
胸が苦しくなり、息が詰まる。
「大丈夫か、アニエス?」
『すみません、考えごとを』
「そうか、あまり背負い込むな」
神様の表情を見れば、心配が滲み出てる。
「業務があるから、通信は切るぞ
また、様子を観に来る」
『分かりました』
返事をして、水晶玉の光が消える。
通信を終え、窓の外を見ると
スッカリと朝日が昇っていた。