新しい客人
数日後、アイナスさんと小柄な男性が。
庭でハーブティーの世話をしながら
歩いてくるのに、気がついた。
「アニエスさん、こんにちは」
『アイナスさん、そちらの方は?』
首を傾げて、説いてみる。
アンジェリクが気を利かせ、客間へ。
今日はラベンダーティだ。
リラックス効果があり、落ち着ける、ハーブ。
「僕の名前はリアムと言います。
魔族で、上級貴族に類します」
『ツバキさん、よろしくおねがいします。
私の名前はアニエスです』
「アニエスさん、見た限り、庭のハーブは
手作りのようですが、どんな物を?」
『ラベンダー、カモミール、レモン。
リンデンといったものです』
「全て、リラックス効果のあるもの。
本棚もハーブ、アロマの種類が多いですね?
行動心理学、心理学、哲学書」
『はい、趣味で集めてる物です』
辺りを観察するような、視線を感じる。
鋭い目つき、黒い髪で、赤い瞳。
「僕を呼んだのは。
この方の心の治療らしいですが。
僕は心理学、カウンセリングは専門医です。
自力で改善しようとする、心意気はある。
貴方の過去は聞いてませんが。
話せるときで、構わないので、聞きたいです」
『アイナスさん、どういうことですか?
医師を呼んでくるなんて』
「心配なんです、叱責されるのは
覚悟の上で、此方に招きました。
手を貸したい、頼られたい。
貴方の苦痛に寄り添えるように」
アンジェリクに手を添えられてしまう。
深い深呼吸をして、取り乱しそうな
感情を抑制していく。
「貴方の事を知り、理解したいから。
同居をすることを、許可を得れませんか?」
『はぁ、分かりました。
ただし、自分に干渉しないでください。
何かあれば、アンジェリクに言伝をして』
「アニエスさん」
アンジェリクに嗜められるようにして
名前を呼ばれるが、自分は干渉されたくない。
拒絶を示すようにして、部屋を出て、自室へ。