家族になる妹と...(番外編)
馬車の中、アスファルトの道を進み
アニエス嬢と2人、静かすぎて
馬車が走っていく、車輪の音だけが、響く。
窓の外を見ながら、彼女は何ひとつ
言葉を発さない。
私の方から、声を掛ければ、話はする。
ただ、それ以上に自分に干渉をするなと
圧を掛けているようだった。
『アニエス嬢、これから家族となるのだから
貴方のことをアニエスと呼んでも?』
「貴方の好きにどうぞ、ユゲット嬢」
『なら、アニエスと呼ばせてもらうわね。
貴方も私のこと、ユゲットと気軽に』
「分かりました、ユゲット」
とりあえず、姉さんと呼ばれれまでは
時間がかかりそう。
強要はできないし、心を開いてくれるまで
辛抱しないとかしらね。
タメ口でも、良いけれど、我儘かしら。
姉になる身としては、あの子のようにと
思ってしまうけれど。
「ユゲット、街に着いたようだけど?」
心配そうに、此方を見つめられていた。
考え事をしてるときに、着いたらしい。
「前の街より、ちょっと違うわね」
『此処は裕福な家とかが、買いに行くところ。
市場とはちょっと違うわ』
「そうなのね」
説明をすれば、興味なさげに、頷かれて。
馬車を大通りに停めては、2人で街中へ。