表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛人は息子の推し  作者: 御通由人
57/75

謙介27

 新曲が発売され、約束通り10万円を送金した。

 ツイッターやブログで、キャンペーンのために路上ライブやレコード店回りをしているのを読み、そういえば初めて真維と会った時、レコード店に販促に行っていたと言っていたことを思い出した。


 早いものであれからもう1年になるのか。 

 彼女と知り合うまでは眠ったような毎日であった。

 会社に行き、帰りにスーパーで惣菜を買って、テレビを見ながらビールを飲んで晩飯を食べる。それも味わって食べるというのではなく、腹を満たすためにただ食べるという味気ないものだ。

 毎日がその繰り返しであった。特にしたいことも行きたいところもなく、心が湧き立つことは一切なかった。

 それが彼女と出会ったことで一変した。

 特に、彼女がテンカラットに属していることを知ってからは、彼女やメンバーや運営やファンのツイッターやブログを読むことが日課となった。

 にやけたり、感心したり、驚いたり、時には毎週彼女と会えるバイヤーを羨ましく思い嫉妬したり、逆に優越感を感じたりした。そういう様々な感情が心を満たし、生きているという実感があった。

 もう彼女なしの生活は考えられなかった。


 7月にはサマーフェスティバルがあるので、また水着を買おうかと連絡すると、

「この前、10万も出して貰ったので悪いです。手術跡もだいぶ薄くなって、ファンデーションで隠せるので、今年は持っている水着を着るので大丈夫です」と返信があった。

 男から金を毟り取れるだけ取る、男を財布としか見ていない女の話をネットの記事でよく読む。しかし、真維はこういう遠慮するところがあり、それが謙介には嬉しくもあり、好ましく可愛らしく思えた。


  

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ