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愛人は息子の推し  作者: 御通由人
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ヒロト30

 タクは休みで暇なのでと言って、ヒロトの大手電気量販店の面接にわざわざついて来てくれた。

 本当に親切だなと思った。心強かったし、頼もしかったし、店員さん達と仲良さそうに挨拶を交わしているタクのことを流石だとも思った。

 ヒロトはその場で採用され、祝日で忙しくて人手が必要だからと、元号が変わる5月1日から早速出勤することになった。


 ヒロトはパソコン関係の知識があったので、パソコンコーナーの担当になった。初日こそ社員の横で接客の仕方を見学したり、製品のレクチャーを受けたり、説明書を読んで製品の勉強をしたりしたが、二日目からは接客を任された。

 最初は不安だらけだった。自分は所謂コミュ障ではないかとずっと劣等感を持っていた。しかし、テンカラで麻衣達メンバーやバイヤー仲間と話したり、コンビニで働いたりしたことが、知らぬ間にコミュニケーション力を鍛えていたのだろう。

 自分でも思いがけないことに商品の説明も上手く出来たし、客との会話もスムーズに出来た。

 そして、徐々に自分に自信を持てるようになってきたし、客と会話することが楽しくなってきさえした。


 タクは日曜日を休みにしていて、彼の後継で入ったし、彼からも店に言ってくれていたようで、ヒロトもバイトはなかった。

 それで、毎週日曜はテンカラのライブに行った。

 春の大感謝で、新曲が発表され、6月にCDが発売されると、奮発して、麻衣のバージョンを10枚買った。

 不要なCDはライブの時に回収ボックスがあり、そこに入れると、初めて来たファンに無料であげたり、それでも余りそうな時はメンバーが路上でリーフレットを配る時にCDも付けたりするとのことだった。

 その話を聞いた時、彼女と初めて会ったのは、ちょうど1年くらい前のことだったのを思い出した。

 これまでの自分の人生の中で、こんなに様々なことが起こり、濃密で凝縮した1年はなかった、と改めて彼は思った。

 

 


 

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