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愛人は息子の推し  作者: 御通由人
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謙介18

 ブログもツイッターも皆目分からなかったのだが、毎日見て、分からないことは調べているうちに段々と仕組みが分かってきた。

 

 ある日、大翔のツイートを見つけた。

 ホームのヘッダー画面に、真維と顔を近づけて、ポッキーを両端から咥えている写真が載っていた。

 なんだ、この写真は。

 驚いた。

 一瞬、付き合っているのかと思ったが、テンカラにはデートをするオプションがあることを思い出して、安堵した。

 たぶん、それだろう。

 しかし、羨ましい。

 が、嫉妬で苛々したり、腹が立ったりはしなかった。

 相手が息子だからだろう。

 あいつもなかなかやるな、と頼もしく思いさえした。

 

 10月の初めの水曜日の夕方、

「体調不良のため、今日のゲリラライブはお休みにします。楽しみにされていた皆様申し訳ありません」と、真維のツイートがあった。

 彼女がイベントを休むのは珍しい。少なくとも、彼女がテンカラのメンバーであることを謙介が知ってからは初めてのことである。

 テンカラは春の大感謝祭、秋の大感謝祭と銘打った大きなイベントが5月と10月にある。それがすぐ控えているのに、只事ではない。もしかして癌の再発か?謙介は不安になり、すぐにメールを送った。

「ありがとう。大丈夫です」とすぐに返信があった。

 しかし、この日はそれ以上のツイートもなければ、ブログも書かれなかった。

 

 具合が悪い時に何度も連絡するのは憚れたので、彼はじりじりするような気持ちで、一晩過ごした。そして、翌日の朝、「良くなりましたか?熱とか大丈夫ですか?」と連絡した。

 真維からの連絡はなかった。心配になり、夜にもう一度連絡した。そしたら、「もう、すっかり元気になりました」との返信があった。

「よかったです。癌ではないかと心配でした」

「そんなことないです。実はメンバーの唯さんと一泊二日で日光に行っていたのです。それで疲れただけです」

「そうなんだ。心配しましたが、よかったです」

「ご心配おかけして、すみません」


 その数日後、珍しく真維からメールが来た。 

 来週の大感謝祭のオークションに例の水着を出品してもいいかとのことだった。

 嫌だった。なぜ水着なのかと思った。

 男のファンが落札したら何をするのか想像するだけで耐えられない。一度は履いた水着なのに、彼女は気持ち悪くはないのだろうか?

 しかし、駄目とは言えない。そんなことを言うと、小さな男だと思われるかもしれない。


「もちろん、いいですよ。それにあげたものなので、わざわざ僕に断らなくてもいいです」

 彼は心にもないことを返信した。



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