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愛人は息子の推し  作者: 御通由人
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謙介7

 部屋に入り、彼女の、そして自分の緊張をほぐすために、買っていた赤ワインで乾杯する。

 それから、最近の異常気象のことや謙介が中国に仕事で行った時の面白い話をした。

 彼女はプロの風俗嬢とは違って、カネ目当てという感じはしなかった。 

 真面目で礼儀正しい子という印象で、どこかピュアな感じがした。

 こんな子を自分のようなオジサンが抱いてもいいのだろうか?そう考えると、罪悪感さえ覚えてくる。


 時計を見ると、すでに11時半を過ぎていた。そろそろ帰さなければと思った。

「交通費とタクシー代で2万は渡すから、今日はこれでお別れしようか?」

 彼女は表情を固くし、何も答えずに何かを考えているかのように押し黙った。

 しばらくして、彼女が口を開いた。

「さっき、愛する人を看取るほど辛いことはないとおっしゃいましたが、深い言葉ですね。小林さんはきっと信頼のおける人だと思います」

 

 謙介はびっくりした。これは抱いてもいいという合図なのだろうか? 

 彼は彼女に近づき、ぎごちなく腕を肩に回した。しかし、拒まない。

 やはりオッケーなのか?

 心臓が張り裂けそうになりながら、顔を彼女に近づけた。

 彼女が顔を背けなかったので、そのまま唇を重ねた。

 

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