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愛人は息子の推し  作者: 御通由人
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ヒロト8

 ヒロトはアパートに帰ってからも今日のことが忘れられなかった。

 ベッドに入り、目をつぶっても、彼女の柔らかな手の感触が掌に残っている。髪の匂いなのだろうか、化粧の香りなのだろうか、香水なのだろうか、彼女の甘い香りも鼻腔に残っている。

 なかなか寝つかれない。

 再来週には大事なテストがあるので、来週の土日は家で勉強するつもりだった。しかし、こうしていると彼女に会いたい思いが募ってくるばかりだ。

「初めてオークションに参加した人にはみんなが譲るという暗黙の了解があるので、入札したら必ず落札出来る」とタクが言っていた。

 起きて、銀行口座の残高を調べる。

 ヒロトはアルバイトはしておらず、父親からの仕送りだけなのだが、ゲーム以外の遊びはしない。飲みに行くこともご馳走を食べることもなく、贅沢はせずに質素な暮らしをしていた。そのため10数万円ほど残っていた。

 これだけあれば十分である。

 よし、来週は思い切って、オークションに入札することにしよう。

 

 午後2時から3時半過ぎまでライブ。4時から5時が物品の販売や握手会やチェキ会、それからが試着会である。

 夕方の早い時間なので、飲食の場合、がっつり食事をすることもあるが、メンバーの希望で、お茶やスウィーツ、軽食が多いそうである。

 では、どこに行こうか?

 最初なので、無難にカフェに行くのがいいだろうか?

 スマホでリキが昨日行ったという店を検索する。オープンしたばかりのお洒落な店で、確かに値段が高い。

 彼女もこういう話題の店が好きなのだろうか?

 いや、そういう店にはファンと行き慣れているので、むしろ屋台のような店の方が珍しくて喜んでくれるのではないだろうか?

 大人の女性なので、レトロな渋い感じの喫茶店がいいのだろうか?

 スマホを眺めながら、色々考えてうちに、いつの間にか夜は白み始めていた。

 

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