愛してる
伊豆奈を、抱いた。
僕らは互いを強く求めた。濃密で、刺激的で、暖かくて。多幸感とは違う快楽が脳髄を痺れさせた。
おぼつかない手つきで、不慣れな行為だったけど、それでも伊豆奈は嬉しそうに体を預けてくれた。
何度も、何度も。僕らはただただ高校生の欲の限り、2人の愛を確かめあった。
侑斗くんに、抱かれた。
ただただ、侑斗くんの全てを受けいれた。侑斗くんの体を抱きしめてみた。大きくて、たくましい。ずっと頼ってきた背中だったのに、その体は不安感のようなものを背負っていた。だから私は、私なりに侑斗くんを安心させた。私がいるんだって。2人なら怖くないんだってりそれが侑斗くんに届いたかは分からないけれどら最初に感じたようなあの不安感は、少しだけ、なくなっていた。
互いに互いを求める度に、僕の中には強いとある思いが芽生えた。
愛したいよりも。君が好きだっていう言葉よりも、もっと重い感情。
ねえ、私、侑斗くんと一緒にいられるなら、私……
ねえ、僕、伊豆奈をずっと守るから、僕……
君のためなら、たとえ君との愛が血に濡れても、それでも愛し続けるよ……。
「………………スゥ………………んぅ、眩しい…………」
いつの間にか、私たちは眠っていたらしい。服も着ず、汚れたシーツの上で眠っていた。
侑斗くんは、まだ寝ている。シーツからこっそり抜け出し、私は上着一枚羽織って別室に向かった。
色々な思いが、交錯する。昨日はなかった何かの感情が、心を徐々に支配していく。
「侑斗くんの寝顔、可愛かったなぁ………毎日、侑斗くんのこと見れて幸せだったなぁ……いっぱい………いっ………」
わかってた。わかってて、気が付かないふりをしていた。
もうじき、侑斗くんは居なくなる。そして、きっと二度と会うことは出来なくなる。そう思うと、心が。想いが溢れ出して来る。
………約束、したのに…………。
「…………約束…………したのに…………」
ボロボロと、涙が溢れ出す。ずっと一緒だと思ってたのに。彼はもう時期居なくなる。もっともっと幸せを創るはずだったのに。幸せを創りたい彼は、私の前から消えてしまうんだ。
私以外が起きていない空間に、大粒の涙が数え切れぬほど流れた。
「ウワァァァァァァァァァァァン!侑斗くん………侑斗くん!!!ウワァン!」
静寂を貫いていた空間に、伊豆奈の泣き叫ぶ声が響いた。
いっぱいいっぱい思い出を作った伊豆奈の叫ぶ声が、僕の胸の内からガンガンと叩いていた。
でも、僕が行く訳には行かない。今僕が行けば、きっと伊豆奈はもっと悲しむことになる。僕を、もっと愛してしまう。
彼女の泣き叫ぶ声を、僕はただら背中越しに聞くことが出来なかった。
そろそろ。僕が伊豆奈の元から消えようとした瞬間。
"観念しろ!立石!”
と。終末の始まりを告げる声が明朝の空に響いた。
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