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紡ぎ合う世界の救世主  作者: 綿時 緋沙
聖騎士召喚編
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第54話 聖都ザンク(2)


「聖騎士様に敬礼!」


 クゼルの発声と共に、自警団本部の前にずらりと並んだ団員達は一斉に指先まで伸ばした手を頭の横に立てた。不意の歓迎を受け、レスティオは反射的に団員達の方へ向き直り、敬礼を返す。


「自警団には敬礼の作法があったのか」

「はい。自警団が聖女様の発案で発足して以来の伝統です。訪れる聖女様にも敬礼することがありますが、礼を返していただくのは、恐らく聖騎士様が初めてです」


 元々軍人だったからと答えつつ、街の要塞化に始まり、かつての聖女はなにを考えていたのか、レスティオは手記の中身が気になり始めた。しかし、ここで引き返すわけにも行かないので、オーラフに促されるまま会議室へと向かう。出迎えに出ていた団員の中から数名が周囲を囲むようにして共に会議室に入った。そこで改めて挨拶を交わし、本題へと入る。


「早速ですが、騎士団の方々が確認された魔物の位置と観測地点を教えていただけますか?」


 ぎらりと光ったオーラフの眼差しに、ネルヴィは姿勢を正して頷いた。テーブルの上に広げられた地図は二枚。オリヴィエール帝国の南方の地図とトラントリアム鉱山の地図。レスティオの講義では全域の地図しか扱わなかったため、詳細に書かれたものもあったのかと思いながら図を眺める。


「帝国軍にて確認した地点は国境近く、ノースヴェン森林のこの付近です」


 ノースヴェン森林と指差したのは、トラントリアム鉱山と街道を挟んだ向かい側に位置する広大な森林地帯だった。森林地帯には魔物が発生しやすいが国土内には森が多い。いつかに講師にある程度伐採したら状況は変わるのかと問いかけた時には、そのように考える者は多くいたが、厄災が発生していない期間を考えれば、世界の自然環境や動植物の生態系を守るためにも、森は広げても狭めるべきではないと聖女達が口を揃えて進言していたことから、いつの時代も森を減らす案は却下されてきたという。

 ネルヴィが魔物の発見の経緯を説明し終えると、ハイラックが過去に鉱山付近で確認された魔物の特徴を上げ、目撃情報に該当する魔物の資料を提示する。受け取った自警団の幹部達は懐疑的な表情で唸りながら確認し始めた。


「こんないつの物ともしれない資料は役に立つのか?」

「あぁ、そもそも我々は魔物の大群など確認していないというにな」


 小さな囁き声をはっきりと聞き取ってレスティオは地図から顔を上げた。


「団長。地図について確認しても?」

「なんでしょうか」


 地図に記された線から傾斜やおおよその高さを確認すると、レスティオは地図の上に魔力結晶で模型を作り上げた。


「この辺の鉱山の形はこんな感じかな」

「ぁ、あぁ、はい……こ、これは、魔力結晶ですか?」

「うん。このような地形であれば、見張り台からだと、どうしても崖下のこのあたりが死角になるんじゃないか?そして、この観測地点からは直線で見える。死角だからこそ、自警団の目につかないまま繁殖してきた可能性はあると思うがどうだろう」


 自警団の幹部達は魔力結晶に目を見開いていたが、問いかけられたことに気づくと顔を見合わせながら何度も頷いて同意した。ザンクを守ることにプライドを持っているだろう自警団の幹部達は、それなら気づかない訳だ、盲点だった、流石聖騎士様、と口々に言い、疑わしげな表情を緩和させた。同時に緩んだ空気をレスティオは咳払いひとつで引き締め直す。


「騎士団も遠目故に確実に魔物だったと言うには判断材料に欠けるところがある。なにもないならば、それはそれで構わない。しかし、厄災は既に訪れているのだから、警戒するに越したことはないだろう。もし、本当に魔物が大量に繁殖しているなら、早急に対処しなければ、ザンクや鉱山付近に訪れた者が被害に遭うかもしれない。それは、この国を守った聖女様により発足された自警団が望むところではないはずでしょう?」


 レスティオの語りかけに、オーラフは力強く「無論」と答え、幹部達を見回して頷き合った。意を決すると切替えは早く、どの道が使えるか、配置をどうするかと我先にと議論を始めようとする。


「シュトラウス団長」


 オーラフやレスティオが幹部達を止めに入るより先に、挙手して声を上げたのはネルヴィだった。自然と皆発言を控えた。


「なんだろうか、ボートム隊長」

「見張り台に上がらせてもらうことは可能ですか?」


 何の脈絡もない唐突な発言にオーラフは怪訝そうに眉を顰めた。


「ボートム隊長の目で魔物が確認できるか否か確認したい、と?」

「いえ。我々が確認できずとも、レスティオ様の目なら見張り台からでも魔物の位置を捕捉できるのでは無いかと思いまして」


 オーラフは表情を厳しくしたが、ネルヴィは口調の厳しさの裏を読まずに言葉を返した。ハイラックが咳払いすると、ネルヴィはなにかいけないことを言っただろうかと首を傾げる。突発的に思いついた提案をそのまま口にする未熟さにレスティオも唸ったが、このような会議の場にネルヴィが立ち会ったことすらないというのは想像に難くない。後でハイラックが説教するだろうと思いながらレスティオは一旦話に乗った。


「今一度状況の確認をすべきという先遣隊隊長の意見には賛成だ。そして、俺の目を信じ、適任だと言うなら従おう」

「有難うございます。まぁ、レスティオ様ならそのまま魔物の方へ飛び込んで行ってしまいそうですけど、流石にこの崖は難しいですよね」


 軽い調子で言うネルヴィにレスティオは不敵に笑みを浮かべた。


「ネルヴィ。その言い方だと暗にやれるものならやってみろと挑発しているように聞こえるぞ?」

「え、いやっ、そんなつもりはないですよ!」


 慌てて否定する様子に自警団の幹部達の視線が痛く感じてため息をついた。先遣隊の面々すら目も当てられないという表情で、一度は見過ごそうと思ったがそうもいかないかと頭を押さえる。


「わかっている。だが、隊長として部隊を指揮する立場にあるんだ。特に公の場での言動には気をつけろ。ここは騎士団ではないのだからな」

「はい」


 肩をすくめたネルヴィに気を引き締めろと注意してオーラフに目を向ける。視線が合えば、あえて見て見ぬ振りをしようと咳払いで仕切り直そうとしてくれるが、そうではないのだとレスティオは手を出して再開を止める。


「団長。薄々勘づいているとは思うが、ネルヴィは今回の遠征が初の隊長任務であり、護衛任務も経験が無い。着眼点は悪くないんだが、言動は未熟だ。こんなことを自警団の方々に頼むのは違うというのを承知の上で、良ければザンクに滞在中だけでも、隊長や護衛を務めるにあたっての心構えなど指導してやってくれないか?」


 ついでに、他の連中も護衛任務は初めてだと加えるとオーラフは顔を顰めて先遣隊の面々を見た。少し思案してから、自警団では幹部教育もしているし、聖女を街に迎えることもある為、多少なり護衛経験や心構えがあると承諾した。


「すまないな。あれだけ統率が取れている自警団に倣えば、彼らも学べることが多いだろう」

「聖騎士様のご期待に添えられるよう尽力致しましょう。我々も模範を見せられるよう気を引き締めねばならないな」


 オーラフが幹部達へ目を向けると、皆先ほどより姿勢良く表情も引き締めていた。倣ってネルヴィ達も姿勢を正し直す。


「さて、ネルヴィの発言の仕方はともかく、改めて、俺も見張り台から周囲の状況や魔物の様子が窺えないか確認したいが、それについてはどうだろう?」

「聖騎士様が望むなら。と言いたいところですが、新人には見張り台まで上がることすら訓練に思われるくらい、足場が悪く、強風に煽られやすい場所です」

「遠目に見えていたが、見張り台までの階段の作りは確かに足を竦ませる者もいるだろうな」


 見張り台はその高さ故にどのような構造か外からよく見えた。柱を中心に螺旋階段が高く伸びている上に、階段の蹴込板が無い透かし階段となっていた。つまりは上がりながら周囲も地上もよく見える。周囲の警戒を考えれば見えていた方がいいのかもしれないが、高所が苦手な者には苦行だろうと理解できる。


「俺は訓練を受けているし、いざとなれば風の魔術でなんとでもなるから問題ないと思うが、見張り台の定員は?」

「三名程度です。案内役を自警団から一名、護衛をそちらから一名とするのがよろしいでしょうか。足が竦まないといいのですが」


 聖騎士の護衛も兼ねている者が途中で足を竦ませては困る。レスティオは懸念に苦笑してネルヴィ達を振り返った。考えた末にロゼアンを指差す。


「ドナの魔物討伐で塀に上がっても大丈夫だったようだし、ロゼアンに頼もうか」

「はい!是非お供させて下さい」


 即答したロゼアンに頷き返すと、ネルヴィがおずおずと手を挙げた。


「あの、部隊内で別行動する場合は、レスティオ様の護衛は万一の時の伝令役を考慮して二名とすること、といわれているのですが、見張り台の手前まででももう一人同行させたほうが良くないですか?ぁ、自警団を信用していないとかではなく、こちらの部隊の方針として、そのようにすべきというのがあるので、念のためなんですけど」


 発言について指摘を受けたばかりなのでしどろもどろだが今回の内容は適切だった。自警団はあくまでザンクを守る組織であり、レスティオの護衛ではない。階段に上がる際も前後に立って周囲を警戒しつつ、階段の上で転倒するようなことがあれば支えることもあるだろう。それを踏まえて、誰が良いか考えながらもう一度見回す。


「万一を考えるなら、風の魔術の扱いが上手いユハニかな。高いところは平気か?」

「あの高さはなんとも言えませんが、レスティオ様の指名ならば全力を尽くします」

「では、殿にこちらからももう一名出しましょう。聖騎士様になにかあっては大変ですからね」


 人選に皆が納得したところで、レスティオはネルヴィに「礼を」と囁く。自分の要望を踏まえて配慮してくれたのだから、礼を欠いてはいけない。ネルヴィは姿勢を正して、オーラフに礼を告げた。

 クゼルが案内役を買って出て、廊下に控えていた団員の一人であるシェル・クロンクを殿に指名した。部屋に残るネルヴィ達には待っている間に自警団から学んでいるようにと告げて、レスティオはロゼアンとユハニと共に、クゼルに続いて見張り台に繋がる廊下を歩く。


「こちらになります」


 案内された扉の前に控えていた団員が姿勢を正して敬礼した。レスティオは敬礼を返しつつ、その脇に門でも見た金属の蓋を見つける。


「ここにも伝声管か」

「はい。見張り台でなにか見つけた際に、その都度、駆け降りていては対応が遅れますから」


 これから上がる旨を伝えるのかと思いきや、クゼルが殿を指名しに廊下に出た際に先触れが出ていたようで、扉の向こうから勢いの良い足音が聞こえて来た。扉を開けた二人の団員は驚いた顔で敬礼し、扉の前を開けて控えた。


「では、行きましょう」


 騎士団よりも教育されていると思いながら、レスティオはクゼルとユハニの後ろに続いて螺旋階段を昇り始めた。螺旋階段の中心である柱には三箇所の休憩と見張りを兼ねた小さなスペースが用意されており、そこに行き着くごとに残りの距離を把握出来るようになっている。最初のスペースはそれなりに見上げないとならず、先は長く見えた。階段を上がりながら、ふと街の中に高い建物を見つけてレスティオは思わずそちらに身を乗り出した。


「レスティオ様!?」

「ぇ、ど、どうされました!?」


 ロゼアンが叫び、クゼルが慌てて足を止める。手摺りに捕まっているから問題はないのだが、足元まで見晴らしがいい分心配するのだろうと思い、少しだけ乗り出した体を戻す。


「クゼル。あそこに見える、時計と鐘のある建物はなんだ?」

「あぁ、あれは、エリシオン時計塔です。聖女様が設計された建物で、階下は町役場として使われています。役場の人間が毎日時計に魔力を注ぎ、鐘の時間には時計塔の鐘も打ち鳴らすんですよ」

「エリシオン……」


 懐かしく感じる響きを繰り返し、レスティオは手摺りを強く握った。口を開きかけて言葉を飲み込む。一言謝って、先へとクゼルを促した。


「この街にはレスティオ様の興味を惹く物が随分と多いようですね」

「うん。早く討伐を終わらせてじっくり手記を読みたいし、観光したいものだな」

「なんと、聖騎士様は聖女様の文字が読めるのですか?」


 レスティオの何気ない一言にクゼルが敏感に反応した。未だ解読されたことのない文字がなにを示しているのか、ザンクに住んでいるならば特に興味を惹く事案だ。振り返らずに弾んだ声を出したクゼルにレスティオは曖昧に唸る。


「文字の使用頻度や規則性から母音と子音を割り出したり、ある程度文章を推察しながら読み解くことは出来ないことはないと思う」

「そんなことが出来るのですか。実現したならば、他国でも聖女様の手記の解読が進むことになるでしょうね」


 この世界には一つの言語しかない。聖女から伝わるものでも文字は浸透せずに終わる傾向にある。この世界の人間には解読するための発想がなく、読めない文字、としか認識されていないからだ。ラビ王国であれば違うんだろうかと、ふと以前に聞いた学術国家のことを思い出していると、ユハニが頭上と足元を交互に見てため息をついた。


「結構長いですね。この階段だけで十分訓練になりそうです」

「そうですね。高さは大丈夫ですか?」

「えぇ、見晴らしがいいと思うくらいです」


 帝国軍でも学校でも訓練項目にランニングはない。騎士団は馬を使うし、魔術師団は馬車か魔術を使うのに、何故自らの足で走る訓練が必要なのかと理解されていない。馬が使えなくなった場合は他の者の後ろに乗せて貰えばいいと言われ、実際に走らせても持久力がなく続かないのでレスティオは諦めかけていた。半分も上がらないところでロゼアンが遅れ始め、クゼルは苦笑する。


「体力の方が持たなそうですね」

「筋力が足りないんだよ。鍛えるいい機会だな」

「返す言葉もありません。上まで保つかわかりませんけど、なんとか頑張ります」


 気合を入れ直して階段を上がるロゼアンに、クゼルは少しだけ速度を落とした。


「聖騎士様は問題ないようですね」

「まぁな。見張り台まで駆け上がってもいいんだが、護衛を置いていくわけにはいかないし、のんびり行くよ」

「それはそうですね。よろしければ、自警団も聖騎士様の護衛となりましょうか」

「有難い申し出だが、この場での返事は控えさせてもらおう」


 レスティオは、クゼルの申し出を嫌味ではなく、聖女と同様に聖騎士にも敬意を表しているからこその発言と受け取ったが、ユハニとロゼアンは背筋を正して表情を厳しくする。

 その対抗心が成長に繋がればいいなと思いながら、レスティオは下の訓練場にいる自警団員たちの姿を眺めた。大きな荷物を背に抱えて端から端まで走っている。山の中だからこそ、足腰を重点的に鍛えているのだろうかと思っていると、殿としてロゼアンの後ろについているシェルが概ねレスティオの想像通りの訓練内容を説明し始めた。鉱山内の巡回は馬を利用することもあるが、自分の足で移動する場面も多く、遭難者の捜索や負傷者の救出を想定した訓練が戦闘技術の他にも組み込まれていた。


「そういうことも自警団の役割なのか。統率が効いているし、鍛え方も良いと思うが、ザンクでは子供の頃から教育に力を入れているのか?」

「えぇ。子供は皆、学習塾で文字や算術、地理、歴史、道徳などを学び、卒業と共に将来を見据えた職業訓練を始めて、十八歳を成人として職場で正式に働き始めます。聖女様が独自に整えられた制度だそうで、あまり他の地域にはない教育環境なのですよ」


 エヴァルトのように帝都などの都会に憧れて街を出ていく者もいるが、教育者として出ていくことがないので、他所に広まることはなかった。レスティオはこれまた何故広めなかったのかと思いながら、謎めく聖女の存在に好奇心を疼かせた。

 レスティオとシェルが話している間になんとか見張り台に到達すると、周囲の景色を見回して感嘆した。


「凄いな、帝国一の高さを誇る鉱山というだけあって、オリヴィエールを一望できるわけだ」

「大陸会議場だけでなく、他の国も一応見えますね。凄い」

「レスティオ様。あまり、前に出過ぎないようにお気をつけください。ユハニも」


 見張り台の手前で控えているロゼアンからの小言に生返事をして、レスティオは少しだけ身を乗り出してオリヴィエール帝国の全域を見渡した。地図の縮尺が間違っているのか、一度作成されてから変化を考慮していないのかと考えながら景色を記憶する。一通り記憶し終えたところで、本来の目的である鉱山に視線を落とし、魔物の影や異常を探す。


「私の目には魔物の影も異常も確認出来ませんね」


 しばらく目を凝らしていたらしいクゼルが唸りながら言い、ユハニも頷く。折角見張り台に上がったが無駄足だったかという雰囲気になったところで、レスティオは顔を上げた。


「なにかありましたか?」

「風に対して木が不自然に揺れている場所がある。鳥や動物と考えられなくもないが、揺れ方が気になるな」


 指で指し示すが、クゼルもユハニも唸るだけだった。レスティオは見張り台の柱に捕まりながら手すりの上に立ち、赤いものが見えないか目を凝らす。カスタムの視力をもってしても、この距離と位置では難しいかと木々が揺れる一帯を睨んで諦めた。


「揺れの大きさからして、根源がいるならばあそこと思うが、近づいてみないことには確かなことは言えないな」

「それならば早く会議室に戻りましょう。危ないですからこちらに降りてください」


 ユハニが手を差し出すのを見下ろし、そのまま下に見える自警団本部の屋根や外壁を確認する。


「レスティオ様。ネルヴィの言ったことは忘れましょう」

「いや、山道を歩くより手っ取り早く辿りつけそうだ。ユハニとロゼアンなら魔術を駆使してついて来れないかな」

「なんて提案をするんですか、貴方は。巻き込まないでください」


 はっきりと拒絶されるがレスティオは不敵な笑みを浮かべた。階段慣れしている自警団の二人はまだしも、ユハニとロゼアンは下りとはいえ辛いだろう。ここを飛び降りてしまえばそんな苦労はせずに済む。一度屋根の上に降りて、そこから地上に降りるならば可能か問えば、ユハニとロゼアンは顔を見合わせてため息をついた。


「確かに、階段より魔術の方がまだいいですけど」

「だろ?というわけで、クゼルとシェルは階段を降りて会議室に戻ってくれ」


 なにをしようとしているのか理解できていないクゼルとシェルを置いて、レスティオは手すりから自警団本部の屋根目掛けて飛び降りた。レスティオ自身は身体能力だけで難なく着地できる。万が一の時はフォローしようと備えていると、二人とも風で衝撃を緩和させるようにして屋根の上に転がるように落ちて来た。無事を示すべく見張り台へ手を振ると、屋根から地上へと降り、正面玄関から会議室へと戻る。

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