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紡ぎ合う世界の救世主  作者: 綿時 緋沙
聖オリヴィエール帝国編
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第104話 面会デー


 レスティオは、クォートの案内でエリザと共に騎士団本部の応接室へと向かった。


「帝国軍騎士団団長補佐を務めております、シャブル・キャロディと申します。このようなところまでご足労頂きまして恐縮でございます」

「暇を持て余しているところだったから気にしないでくれ。では、早速始めようか」


 挨拶を終えて、椅子に腰を下ろす。

 ふと気づくと、テーブルの上にはお茶が用意されていた。

 いつの間にか出ていたお茶に、レスティオは視線を横に向ける。


「御口に合うかわかりませんが、グレヴァの葉で淹れたお茶になります」


 視線に気づいて応えたのは、騎士団の兵にしては物腰の柔らかい男だった。鎧ではなく、城仕えよりも質素な服装からは役職がわからない。

 優し気な笑顔で頭を下げ、足音も無く静かに退室していく姿を見送る。

 目に留めなければ気に掛けることもなかっただろう。故に、妙に気に掛かると思いつつ、レスティオは意識をシャブルへと戻す。


「では、まずこれまでの経歴について聞かせてもらおう」


 面談で聞くことはおおよそ決まっている。

 これまでの実績は資料を見れば理解出来る。いくつかの質問で詳細を聞き、実際のところ、どのような働きをしたのか確認する。

 後は、端々で垣間見える志や想いが筋の通ったものか、その場しのぎでぶれていないかを見極める。


「問題なさそうだな」


 1時間の面談を終えて、レスティオはエリザに用意させていた書類にサインを書いた。

 エリザが面談中に書き留めた資料と共に推薦状としてドレイドに差し出す。


「シャブルを副団長に推薦することに異論は無い。今後の尽力に期待する」

「有難う御座います。ご期待に沿えるよう全力を尽くしたいと存じます」

「うん。それで、なんだが」


 レスティオは、にっと笑みを浮かべてシャブルに向き直る。

 今日の目的は面談だけではない。


「シャブル、右目を少しみせてもらってもいいか?」

「ぇ、それは、構いませんが。もう、眼球を無くして長いので、随分醜いことになっているでしょう」


 どのような処置を受けたのかわからないが、右目は傷跡や痣が濃く残っている。

 席を立って、シャブルの横に立つと、レスティオはその顔に触れて右目の状態を確認する。


「痛みは?」

「今となってはたまに疼いて感じる程度です。もう慣れましたがね」

「もしよければ、聖の魔術で人体の欠損は治せるのか試させてもらえないだろうか」

「え?」


 遠征の出発は明後日。魔力の回復にかける時間は十分にある。

 シャブルが片目を無くしていると聞いてからずっと考えていた検証だった。


「以前、ちぎれた腕は繋ぐことが出来た。死んでしまっては生き返らせられないというが、では、身体の一部を欠損した場合はどうか試してみたい」

「聖の魔術研究の被験体という訳ですか。私などで良ければ、喜んで身を捧げましょう」

「聖の魔術ならば、回復はすれど命を落とすことはないでしょうからね。私も団長として願っても無いことです」


 緊張が解けて、ドレイドもシャブルもレスティオへと期待を向ける。

 事前に倒れた時は部屋に運んでもらうように頼んで、レスティオは深呼吸した。


「我、聖なる力を行使する者なり。彼の者に癒しを与えさせ給え。イ・ヴェール・シュタルーク」


 腕を繋いだ時と同じように眼球の構造を思い浮かべ、神経接続を意識しながら魔力を注ぐ。


「おぉ、身体が随分と楽になりました。右目の違和感も無くなっています」

「ぁ……ここまで、か……」

 

 効果を実感したシャブルの言葉に、レスティオは聖の魔術の癒しが済んだことを察する。

 魔力は体から随分と抜けたが、シャブルの右目に眼球は戻っていない。

 傷跡や痣は消えたが、欠損してしまえば治らないということが判明した。


「レスティオ様のご体調はいかがですか?」


 エリザが案じるように声を掛ける。レスティオは苦笑して、消耗しただけだと答えた。


「エルリックに報告を上げておいてくれ。それと、ドレイドは、体の一部を欠損した負傷者が出た場合、持ち帰れるならば欠損部位の回収をするように通達しておいてくれ」

「かしこまりました」


 失くした部位は戻せないが、繋げることが出来るならば、負傷を理由に退役しなければならない兵を減らせるかもしれない。

 このまま解散の雰囲気になる前に、レスティオはジャケットのポケットから黒い眼帯を取り出した。

 昨晩、材料を用意してもらって手作りしたものだ。


「シャブル。右目を治せなかった分、と言ってはなんだが、これを受け取ってくれ」

「こちらはなんでしょう?」

「眼帯。こうして、右目に布地を当てて、紐を後頭部で結んで使うんだ」


 シャブルの右目に眼帯を装着させると、部屋にいる者たちにどうかと見せる。

 この部屋には鏡が無いので、シャブルは自分がどのように見えているのかわかっていない。


「ほぉ、随分と威厳を感じるようになったな」

「えぇ。見えぬ右目を覆っただけで、ここまで印象が変わるとは」

「先ほどまでの御姿より、こちらの方が隊員たちも接しやすいことでしょう。団長の仰る通り、威厳も感じられて非常に良いと思われます」


 口々に褒められ、シャブルは頭を掻く。


「そんなに印象が変わりますか?」

「あぁ。今回は簡単に作ったが、もし、替えの物を用意するなら、メルヴィユという服屋のジェオなら相談に乗ってくれるかもしれない」

「メルヴィユのジェオですか。承知しました。癒しを頂いた上にお気遣い賜りまして誠に有難う御座いました」

 

 面談を終えて応接室を出ると、先ほどお茶を出した男が書類を手に部屋から出て来るところだった。

 レスティオたちに気づくと、壁ギリギリまで下がって道を開け、頭を下げる。

 騎士団らしくない所作を横目に見つめながら、レスティオは騎士団本部を出た。



 



 午後の予定は、アルティザン商会との面会だ。

 アルティザン商会は主に服飾を扱う商会。これまで、皇室との取引は無く、城仕えの衣装調達に留まっている。

 部屋に入ると、ソファーに壮年の男が一人。後ろにずらりと部下と思しき者たちと、ジェオが並んで立っていた。


「この度は、我がアルティザン商会にご挨拶の機会を賜りまして、恐悦至極にございます。私は、商会長のブラン・アルティザンと申します。我が商会では服飾品を主に扱っておりまして、本日は服職人のジェオ・ロレアンが手掛けた服飾品などをご紹介させて頂きたく思っております」


 ブランは堂々とした様子を繕っているが、他の者たちは、ジェオも含めて表情に緊張があからさまに出ている。

 そんなに畏まらなくていいのにと思いながら、レスティオは挨拶を返して着席を促す。


「さて、本題に入る前に、ひとつよろしいかな?」

「はい。なんでございましょうか」


 レスティオは後ろに控えているルカリオを振り返って合図を送る。

 それを受けて、ルカリオは抱えていた大判の封筒を添えた紙束とリボンが添えられたエルドナのボトルを持ち直して前に出る。


「ジェオ。結婚おめでとう」

「ぇ、なんで知ってんだよっ!っと、ぁ、すみません」

「いいよ。この場には、ルカリオとアルティザン商会の者しかいないから、いつも通りレティで構わない」


 人払いはとうに済ませている。

 レスティオが笑って言えば、ジェオは商会の者たちの顔色を窺いながら肩の力を抜いた。


「その、有難う。レティ」

「人づてに聞いて驚いたんだが、店番に立っていた若い女性が相手か?戴冠式の時にお前の隣に立っていた女性がいただろう?」

「あぁ、うん。ティノって言うんだけど、シュクナ工房っていう服飾工房の子で、俺が服職人としてもやっていけるように縁繋ぎみたいな感じで商会長が取り持ってくれたんだ」

「そうだったのか。良かったな。ささやかだが、婚姻のお祝いにエルドナを受け取ってくれ」


 レスティオに促されて、ルカリオは手にしていた紙束とボトルをジェオに差し出す。

 

「ぇ、こ、こんなに、そんな悪いよ」

「俺からのお祝いの気持ちだよ。良ければ、家族で飲んでくれ」

「ジェオ。聖騎士様のご厚意を無下にするものじゃない」

「ぁ、はい。頂戴します。こっちの紙は……デザイン画っ!」


 ルカリオから祝いの品を受け取ったジェオは、紙束に目を向けて目を輝かせた。

 わかりやすい反応に、レスティオは用意して良かったと安堵した。


「そちらは、お前のブランド『ジィノ』の立ち上げ祝いだ」

 

 紙束は後で封筒にいれるものと思わせて、封筒にはラビ王国土産の布を手紙と共に入れている。

 そちらも喜んでくれたらいいなと思いながら、個人的な親交を見せつけ過ぎてもよくないだろうとこの場では触れない。


「俺の世界の服や、遠征先で見かけた衣服のデザインをいくつか描いてみた。今後の発想の参考になればいいんだが」

「ありがとう!スカートのひだの作り方だけでこんなに種類があるのか……襟の形やウェストの締め方もこんなにっ!」

「ジィノならば、それを活かした衣装を実現してくれると期待しているよ」

「おうっ!任せとけっ!」

 

 満面の笑みで答えたジェオに頷いて、レスティオはブランへ本題を促す。

 ジェオとのやりとりもあって、緊張した雰囲気は和らぎ、商会で扱っている商品の数々が紹介された。

 スカーフや手袋などの小物から、普段着や寝間着、パーティー用の衣装まで幅広く扱っている。

 

「正装の類は、皇室に委ねているところがあるからな。あぁ、そうだ。少し気が早いとは思うが、ジィノで冬用のコートを作ってもらいたいんだ」


 ルカリオに用意させていた軍服を出してもらい、作ってもらいたいコートの形を伝える。

 ジェオは職人の表情で軍服を確認すると、早速同行していた商会の者と布地の相談を始める。

 

「前に作ったジャケットのデザインも踏襲してみようかな。レティが好みそうなデザインにするなら、」


 真剣に考え込み始めたので、新作が見たいと強請るのを後にして、ブランに手袋のサンプルを見せてもらう。

 残念ながらサイズが合うものは無かったが、コートと合わせて、かつ、遠征時にも使えるように丈夫な素材で手袋を作ってもらうように依頼する。


「納期は特に設けないから、品質を重視して作ってくれ」

「かしこまりました。寒くなる前に仕上げるように尽力致します。本件は、我が商会のテイル工房にて請け負わせて頂きます。デザインには、ジェオの意見も聞くように致しましょう」


 その場で両手を採寸してもらい、ルカリオに発注の手続きを任せる。


「ジェオ。そろそろ考えはまとまったか?」

「あぁ、うん。後はデザイン画を起こして、実際に作ってみてかな」

「じゃあ、ジィノの新作を見せてくれ。夏用の私服が欲しかったところなんだ」


 持ってきているだろう?と笑顔で言えば、商会の者たちが横にずれて、後ろに用意されていたハンガーラックが披露された。

 半分はジィノの新作で、もう半分は他の服職人の作品や、以前レスティオが購入したデザインのものが並んでいた。


「最近、俺の服買ってくれる人が何人かいるんだけど、聖騎士様に他の人が買った物を紹介するのは失礼だって聞いて、初出しの服を選んで持ってきた」

「あぁ、それは多分俺の屋敷の連中だな。被るとあいつらも遠慮するだろうし、それは嬉しい気遣いかもしれない」

「お前の差し金か……納得。まぁ、試着したり、気に入って買ってくれてるみたいだからいいんだけどさ」


 そのうち、聖騎士御用達と知れたら一般客の愛用者も増えるだろう。

 そう考えて、生産が安定するまでは、もう暫く広めなくてもいいかなと思いながら、ハンガーをひとつ手に取った。

 

「これはルカリオに似合いそうかな。どう思う?」

「確かに似合うけど、レティの好みじゃなかったか?」

「夏用のパーカーシャツというのはいいんだけど、このデザインはルカリオくらい童顔な方が合う気がする。色が黒とかシックなら考えるんだけどな」

「なるほど。聖騎士様ってとこで白っぽいの大目にしちゃったのがあだになったか。色だけで変わるもん?いや、まぁ、確かに変わるか。変わるな」

 

 悩みながら自己完結したジェオに大きく頷いて、レスティオは手にした衣装をルカリオに当てる。

 戸惑うルカリオをその気にさせて購入を決めると、レスティオはハンバーラックからいくつか服を選んで自分用の私服を購入した。

 価格は店頭で買った時より上がっていたが、ジィノのブランド化や聖騎士相手ということで素材を考慮しているのを見て納得して精算する。

 

「本日は、ご挨拶出来ればと思っていたのですが、こんなにも御贔屓にしてくださって恐縮でございます」

「出来れば、これからも季節の変わり目の頃合いにまた来てもらえるかな。あぁ、先ほどオーダーした冬物は必要になる頃合いで構わないから」

 

 その時期については商売人の方が把握しているだろう。

 レスティオは、ルカリオにアルティザン商会からの面会依頼は必ず伝えてもらえるように頼む。

 ドーベル家のように先延ばしにしたくはない相手だ。

 ブランと握手を交わして面会を終えると、レスティオは応接室から直接次の予定の場所へと移動する。





 

 皇室の居住区域から城の屋上へと出ると、そこには庭園が整えられている。

 中央に設けられた東屋にはお茶会の準備が整えられており、ロデリオとリーベレール、ルアナの三人が席についていた。

 三人ともレスティオに気づくと、話を止めて振り返った。

 表情が一瞬で作り変えられたのを見て、レスティオは談笑と言う雰囲気ではなかったということを察する。


「すまない、遅くなった」

「いや、気にするな。いい商談が出来たのか?」

 

 空いている席に腰を下ろすと、控えていたラハトが香りの良いお茶を用意した。


「あぁ、以前話した個人的に服を作ってもらっている服職人が来ていてな」

「ほぉ、レスティオ様が贔屓にしている商会ですか。それは私も興味があります」


 すかさず身を乗り出したリーベレールにロデリオが待ったをかける。

 その制止にリーベレールは一瞬眉をひそめたが、すぐに呑み込んで、失礼と身を引いた。


「失礼致します。こちら、カタラーナというレスティオ様が御用意されたお茶菓子になります」


 ラハトが雰囲気を変えるようにそれぞれの前にカタラーナが乗せられた皿を置いた。

 見たことの無い菓子にすぐに関心が移っていく。

 先日屋敷に戻った時に作り、冷蔵庫代わりの氷冷の魔術具で管理させていたものだ。


「これは初めて見るな」

「溶ける前に食べてくれ」

「まぁ、これは溶けるのですか?」

「では、早速」


 添えられていたスプーンを手に取って、少し硬い感触を感じながら一口分掬って、口に運ぶ。

 口の中がひんやりと冷たくなったところで、舌の上で溶けたカタラーナの甘さを感じる。


「んん~、口の中で、すぅっと溶けてしまいましたね。なんと涼しくて甘くて美味しいお菓子なんでしょう」


 ルアナはうっとりとしてお茶に手を伸ばした。

 事前に側仕えにカタラーナを試食させて、香りと味の両方が合うブレンドを探してもらった。ペアリングに間違いはない。


「この時期の菓子にはいいな。この黄色い感じ、卵を使っているのか?」

「ご明察。厳密には、材料も作り方も本来のものとは違うんだけど、暑い夏には涼しいお菓子がいいと思って、物は試しにと作ってみた」


 ロデリオも満足した様子で溶ける前にカタラーナを食べ進める。

 東屋の周囲は涼しくなるように調整されているが、それでも暑い夏にきちんと正装を着こんでいる皇族には嬉しい一皿だ。

 

「卵料理の話は随分と耳にはするのですが、未だ、城の料理には出て来ないので、どのようなものか気になっていたのです」

「そういえば相変わらず城の料理は味気ないよな。食材の調達の問題か?それとも、料理人の腕か?」

「両方だ。卵の扱い方がどうにもうまくいかないらしいが、練習に費やす食材の数が確保出来ていない」


 カタラーナの皿が下げられると、続けてお茶菓子に果物の蜜漬けが置かれる。

 酒席用ではなく純粋に蜜に付けたものなので、レスティオも食べられるだろうと説明される。


「こちらは東部で良くお茶会に出される物です。お口に合えばよいのですが」

「頂戴するよ」


 蜜漬けを口に運ぶ前に、お茶の種類が変えられた。

 側仕えは細かく気を利かせるものだなと思いながら、口に運ぶと、ねっとりとした甘さが口いっぱいに広がった。

 素材の甘味もあってくどさを感じるが、お茶を飲むと、すっと喉の奥へ甘さが消えていく。


「このお茶の茶葉も東部の物なのか?」

「はい!果物の花や葉を使っているので、とてもよく合うかと思うのですが、いかがですか?」


 甘さが口に無い状態でもう一口飲むと少し渋みを感じる。


「なるほど。甘い菓子の為にあるようなお茶だな。面白い」

「お気に召して頂けたなら、なによりでございます」


 リーベレールとルアナは視線を交わして笑みを浮かべる。

 少しずつ友好的な関係を築けていることを二人で確認し合っているのだろうとわかりやすいアイコンタクトだ。

 

「ぁ、あら、もしかしてそろそろお時間かしら」


 不意に、ルアナが側仕えと視線を交わして焦りを見せる。

 お茶会が始まってから、菓子とお茶の話しかしていない。

 この後、リーベレールとルアナは会議の予定があるので、元々一時間しか時間は用意されていなかった。


「レスティオ様は、明後日にはまた遠征に出てしまうので、その前にゆっくりお話しをしてみたかったのですが、残念ですわ」

「すまない。俺が遅れてしまったから。また、どこかで時間が取れたら良いのだけど」

「残念ながら、今晩は父上と母上との酒席だからな。明日は遠征前故に休まねばならぬし、遠征から戻るまで諦めろ」


 ロデリオが素っ気なく言えば、二人は仕方がないと不満を飲み込んだ。

 よく教育されているように見える二人だが、関わり方はロデリオを中心に皇族によって管理されている。


「では、レスティオ様。近いうちに、また機会があると願っております」

「ロデリオ殿下も、また近いうちに」

「あぁ、早く行くといい」


 リーベレールとルアナが側近たちを連れて屋上庭園を後にする。

 その姿を見送り、ロデリオは、ふぅっと息をついた。


「あの二人は警戒対象なのか?」

「いや、お前との距離感を少しずつ理解させることになっているだけだ。暫く戻さなくていいというから、時間は十分にある。無用な諍いは避けたいだろ」

「そういうことか。なにか難があるのかと疑ってしまった」

「俺もそこまで接点があるわけではないから、まだなんともいえん。それと、ルカリオに遅刻させていいから心ゆくまで商会と話をさせておけと言ったのは俺だ。遅刻は気に病むな」


 レスティオが目を瞬かせると、遠征続きで気分転換も必要だろうと優雅にお茶を飲みながら言葉が続けられた。

 確かに、お茶会よりジェオや商会の者たちと話していた方が気分は晴れた。

 レスティオはロデリオに素直に礼を言って、暫し、二人だけでお茶会の続きを楽しんだ。


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