第103話 無能者の排除
「おーい、起きろっ!先行くぞ!」
「起きてるって。もう、ちょっと待って」
レスティオは廊下から聞こえてくる声で目を覚ました。
時計を見るとまだ六時前だ。
「早いな」
廊下に顔を出すと、ランニング用のウェアを着たロゼアンとセバンがいた。
ヴィムを通してジェオに作ってもらったウェアは形から入ったもので、生地の素材は今ひとつだが二人とも愛用してくれている。
「おはようございます。護衛任務前にランニングを済ませてきます」
「レスティオ様、おはようございます。行ってまいります」
いってらっしゃいと声を掛けてランニングに出かける二人を見送った。
レスティオも走りたいところだが、既に顔が知られている以上、騒ぎになってしまいそうなので気軽に外には出られない。
トレーニングルームへ移動して、二人が戻ってくるまで一人トレーニングに励む。
「レスティオ様、身体調整してもらってもいいですか」
「いいよ」
戻ってくるなりセバンに頼まれて、レスティオは自分のトレーニングを切り上げた。
「ぁ、ずるい。護衛中に見てもらってたんじゃないのか?」
「殿下の護衛もいる中で、そんなに見てもらえないって」
「順番に見るから。ロゼアンは先にトレーニングを始めてなさい」
ロゼアンを宥めて、レスティオはセバンの身体を確認して整えていく。
整体と合わせて、トレーニング状況の確認とアドバイスをする。
屋敷の中でしか出来ない特待生特権の直接指導だ。
指導の甲斐もあって、二人とも徐々に体が引き締まってきている。
訓練や討伐でも、以前より体が動くことを実感していることもあって、始めた当初よりもトレーニングに気合が入っていた。
「ロゼアンは毎日ちゃんとトレーニングを積めていたみたいだな。ただ、マッサージケアが足りないような」
「それはセバンがいないと一人では難しくて。リンジーにも頼んではみたんですけど中々……」
「皆さん、朝食が出来ましたよ」
ロゼアンの整体も終えて、トレーニングの仕方を見ていたところに丁度話しに出たリンジーが入ってくる。
「よし、今度からリンジーもマッサージの特訓をするか」
「え。なんですか、急に」
身構えるリンジーに、セバンとロゼアンは肩に手を置いて、よろしくと頼む。
リンジーは嫌な予感に困惑しながらも、レスティオから指導を受けられると聞けば前向きに応じた。
「皆さん、早くいらしてくださいな」
メノンに急かされてダイニングへと足を早めた。
いつもより少し早い朝食は、この後の予定を考慮してのことだ。
食事を食べながらセバンとロゼアンがランニング中に見聞きしたことを聞き、食後はすぐに身支度に入る。
町の住人が動き出すよりなるべく早く移動しようと、足早に住宅街に繋がる通用口を抜けて城の敷地内へと入る。
すると、クォートとフランが通用口の先で待ち構えていた。
「レスティオ様。おはようございます」
「おはよう。こんな朝早くに待っていたのか」
待ち構えてでも伝えるべきなにかがあったということだろうと理解して、人目を避けるべく物陰に移動する。
「なにがあった?」
「リーズ・モルゲンの一件が皇族の方々の耳に入り、処遇について皇族を含めた会議を行うことが決定しました。リーズの身柄も城の地下牢に移されています」
「会議の件は、昨晩、屋敷に遣いが来たから知ってる。なにを危惧しているんだ?」
「リーズの後見人としてクエール・マッカーフィー副団長にも召喚命令が出ております。護衛を会議の場に連れるのでしたら、セバンではなく我々にお任せいただけないでしょうか」
レスティオは少し思案した。
おそらく皇族が出てきた理由は、明確な罪状のある罪人にも温情を与えるつもりか、という苦言と牽制と推察する。
そして、クォートとフランに関しては、セバンをクエールに関わらせたくないのだろうと察する。
「では、クォートとフランに臨時の護衛騎士を任せよう。場所が場所だから位が高い者が就くのは当然と理解されるだろう。こちらから話を通しておくから、ジャケットを受け取れるように待機していてくれ」
レスティオは部屋までセバンとロゼアンに護衛してもらい、部屋の前で騎士団本部へと戻す。
既に部屋の前には側仕えの他に秘書官であるエリザが控えていた。
エリザに入室を促すと、中で控えていた側仕えたちも表情を強張らせて待ち構えていた。
「レスティオ様。本日の会議についてですが、」
「あぁ、わかってる。だが、先に、ひとつ頼まれてくれないか?」
今回は誰も庇うつもりが無い。だからこそ、万が一逆上された時に対処出来る人間を置いておく必要がある。
尤もらしく、レスティオの考えと護衛騎士の必要性を伝えれば、エリザは表情を引き締めて駆け出て行った。
話を付けて来る間に、レスティオは皇族との会議に備えて正装へと着替えを済ませ準備を整える。
レスティオは会議の前に、別の会議室へと通された。
室内では呆れ顔のロデリオと、リーベレールとルアナが側近を連れて待っていた。
「おはよう。朝から顔色が優れないな、ロデリオ」
「おはよう。誰の所為だと思ってるんだ、まったく」
レスティオは、フランに廊下での警護を任せ、クォートとマクール・ファビスを室内へと招いた。
筆頭護衛騎士のジャケットを纏うのはクォートだ。
マクールは、リーズが所属する部隊の部隊長ということもあり、行く末を見守るべく護衛に立候補した。
「部隊長二人を護衛に就けるような事態を想定しているのか」
「何も起きないといいとは思っているよ。一応先に言っておくが、俺は今回は誰も庇うつもりはない。罪人は生贄、というなら別に構わない」
「……そう、なのか?てっきり、リーズ・モルゲンを特待生にと言い出すのかと思ったが」
「昨日、本人と話をしたが、見込みを感じない。特待生の課題をこなせるとは到底思えないし、そもそも、俺が後見すると決めた者を害した奴を庇う理由がない」
ロデリオは一気に肩の力が抜けた様子で項垂れた。
リーベレールとルアナは、何も言わずにやり取りを見つめている。
まだ、なにを考えているのか計り知れない相手に、レスティオは少しだけ警戒する。
「では、そもそも騎士団長とはなにを話すつもりだったんだ?」
「さぁ、ドレイドがなにを話したかったのかは聞いていないからな。ただ、俺からひとつ聞いてみたいと思っていたのは、マッカーフィー副団長の役割と兵に世話係をさせている件をどのように考えているのか、かな」
「副団長について?そんなに疑問視するようなことでもあるのか」
ロデリオの視線を受けて、レスティオは険しい表情をなんとか繕おうとするクォートに話を促した。
「聖騎士様の筆頭護衛騎士として誠心誠意嘘偽りなく率直に申し上げれば、副団長に部隊指揮の実績はなく、過去に遡っても目立った功績は挙げておりません。騎士団の業務においても、決裁等で副団長が関わることはまずありません。会議では発言することもありますが、人員配置の優劣に物言いをする程度です」
前置きを大義名分としてクォートははっきりと応じた。
マクールが率直過ぎると焦った顔をするが、補足があるか問われると、その通りだと頷くだけだった。
「名ばかり、とは聞いていたが、そんな奴がこの厄災という危機的状況下においても騎士団の副団長を担っているのか?副団長とは本来、団長の補佐役であり、万が一の時には団長代理を務めることもあるだろう」
「団長の補佐役は別に居ります故、団長不在時においても副団長が出る幕はありません」
「はぁ?」
レスティオは驚きのあまり声をひっくり返した。
認識していなかった副団長の存在意義の無さにロデリオも唸る。
そして、ロデリオはエルリックを呼べと筆頭秘書官のアスキー・アッドワンに言いつけた。
もう会議が始まる時間だが、この場で話しておかなければならないと判断して、会議の開始を待たせるように指示する。
結果を言えば、リーズは生贄行きとなった。
そして、リーズの後見人として、クエール・マッカーフィーにも連座が適用されることになった。
これは、穏便に副団長の座を退かせる為に進言されたことだが、マッカーフィーの家名以外に実績が無い以上、庇い立てする理由もなく全会一致で可決された。
「お、お待ちくださいっ!どうか、どうかご慈悲を下さいませ!私はなにもしていないではないですか」
「皇族ならびに聖騎士様が立ち合いの下で可決された今、其方に弁明は許されぬ!連行せよっ!」
冷酷に言い渡し、片手をあげて拘束するように指示するのは、帝国議会議長のイブラスカ・ケーニッヒ。
レスティオが召喚された際に、処刑を宣告した狐目の男である。
クエールは議会の警備兵に拘束され、連行されて行った。
「では、トーデル・マッカーフィー、前へ」
当初、会議室で予定されていた会合は、いつの間にか議会場に変更になっていた。
ドレイドと話す約束をしただけだったが、リーズとその後見人であるクエール・マッカーフィーを処刑する方向に話が発展した結果だ。
裁きを与えるならば、皇室ではなく議会に委ねられなければならないと、ユリウスも立ち合いの下で臨時議会が開かれることとなった。
レスティオは、議会で行われる裁判を物珍しく思いながら行く末を見つめる。
「戸籍に則り、トーデル・マッカーフィーにクエール・マッカーフィーの遺産を継ぐことを認める。異論のある者は挙手願う」
マッカーフィー家の筆頭であるトーデルは険しい表情で素早く挙手した。
「発言を許可する」
「私は遺産の継承を放棄し、クエール・マッカーフィーの所有していた財産のすべてを国に返納させて頂きたく存じます」
事前の打ち合わせでは、本来の職務を全うせず不当に利益を得たとして、マッカーフィー家に賠償請求が行われることが想定されていた。
クエールの全財産がどれだけの規模かは不透明だが、相続を放棄することで、賄える分もあるだろう。
今後一切、クエール・マッカーフィー名義のあらゆる財産の所有権を主張しない旨を記載した書類に署名して、トーデルは解放された。
「次、帝国軍総帥エルリック・カーストン、帝国軍騎士団団長ドレイド・ヒューストン、両名は前へ」
イブラスカに呼ばれてエルリックとドレイドが前に出る。
二人に問われるのは、騎士団の人事責任だ。
ドレイドから、実績の無いクエール・マッカーフィーを副団長に任命した経緯が語られる。
事の発端は、前副団長の戦死。その当時は、厄災の前兆が見え始めた頃合いであった。
徐々に増え始める魔物対応や生贄の招集に追われ、騎士団は多忙を極めていた。
そんな中、副団長候補者が死傷するなど不測の事態が続き、後継者が決まらないまま、副団長の席が空席になっていた。
そこに目を付けたクエールは、ハイリやドーベル家からの推薦状を手にしてやってきた。
どのような手を使ったのかはわからないが、皇族を含めた推薦状を無下には出来ず、騎士団では承認された。
その後、ユリウスも議会も、当の本人をよく知っている訳ではないため、推薦状や承認印を見て問題なしと判断した。
副団長就任にハイリが関わっているというのも、クエールを生贄行きにする結論の後押しになったのは言うまでもない。
「高貴なる者から推薦状があったとはいえ、就任後、人事を見直す機会はあったはずである。故に、管理者としての職務を十分に全う出来ていなかった責は問わざる得ない」
「仰る通りでございます。謹んで処罰を受ける所存です」
「同じく、罰を甘んじて受け入れたく存じます」
「よろしい。では、一ヶ月の猶予の後、現役職から退き、生贄の刑に処す。と、本来であれば判決を下すところであるが、其方らには、今の厄災という状況下を考慮して恩情を与えるよう、聖騎士レスティオ・ホークマン様よりお言葉を賜った。よって、今回の処分は三ヶ月間の減俸処分とし、国より与えられる給与の二割を支給額より差し引くものとする。異論のある者は挙手願う」
今回は減俸に留めることは、事前に協議して決定した事項だ。
当然誰も異論を口にすることはなく、決議される。
厄災の最中、彼らを生贄にするのはもってのほか。退任させることも、現実的ではない。
レスティオの主張を皇族たちは納得して聞き入れ、議員たちには根回し済み。
丁度、刑罰の見直しをしているところなので、聖騎士公認の事例が出来たことは喜ばれた。
「では、帝国軍総帥エルリック・カーストン、帝国軍騎士団団長ドレイド・ヒューストン両名は速やかに帝国軍騎士団副団長の人事申請を行うように」
議会の解散が告げられると、レスティオと皇族の退席が促される。
レスティオはユリウスとロデリオと共に控室へと移動し、議員が退室してくるのを待つ。
「ケーニッヒ議長。突然の要請にも関わらず、ご苦労だった」
「いえ、議会の仕事を全うしたまでのことでございます」
ユリウスが労うと、恭しくイブラスカを筆頭に議員たちが頭を下げる。
「私からも礼を言わせてもらおう。元はと言えば、私が庇護する特待生を襲った事件が発端だ。対応に感謝する」
レスティオが前に出て礼を告げると、イブラスカは勢いよく跪き、議員たちも倣う。
「勿体なきお言葉に御座います。召喚の日には大変な失礼を致してしまい、議会として謝罪の機会を頂きたいと願っておりました。この場を借りて、心より謝罪申し上げます。混乱の中とはいえ、処刑を言い渡した無礼は謝罪を尽くしても尽くしきれぬことと理解しております。贖罪に生贄となれと仰るならば、我ら甘んじて受け入れる所存でございます」
召喚の日のことはレスティオもよく覚えている。
イブラスカに告げられた言葉があったからこそ、レスティオは敵意のままに城内を駆け回ったのだ。
しかし、ここでそれを指摘するほど愚かではない。
「男である私が召喚されたことが、どれだけ衝撃的なことで、どれほど混乱していたのか、既に話は聞き及んでいる。皇帝陛下に聖騎士と認められた今なお、敵意を抱いているのでなければ、私から敵意を向けるつもりはない。今後とも、国の為に議員という立場から尽くしてくれることを期待する」
「寛大な御心に感謝致します。ご期待に添えますよう誠心誠意尽くしてまいります」
挨拶を終えると、控室を出てユリウスと別れる。
そして、お目付け役のロデリオと共にエルリックの執務室へと向かった。
「エルリック。ドレイド。お疲れ様」
執務室に入ると、疲れ果てた顔をした二人がいた。
レスティオとロデリオが入室すると、表情を繕って出迎えてくれる。
「私の目が行き届かぬばかりに申し訳ございませんでした」
「いや、むしろ、昨日の今日でここまで大事にしてしまってすまなかった。ドレイドの用件も聞いていなかったし、内々で済むならそれでも構わないと昨日は思っていたのだけど」
ソファに腰かけたところで執務室付きの城仕えがお茶の準備を始める。
ソファにはクッションが打ち付けられており、座り心地が改善されていた。
今は感想を告げて和やかな会話をする雰囲気ではないので、心の内に留めておく。
「護衛は排していた方がいいか?」
レスティオの護衛として、ずっとクォートとマクールが付き添っている。フランは部屋の前の護衛に徹していた。
これから副団長の人事に関わる話をするならば、部隊長も部屋にいてよいか判断が難しい所だ。
ドレイドはエルリックと視線を交わして頷いた。
「部隊長ならば構いません。だが、先ほどの決議の件を含め、今日のことは他言無用で頼むぞ」
ドレイドは、クォートとマクールに鋭い視線を送り、テーブルに資料を並べた。
「副団長の人事にあたり、候補者は実績等を踏まえると部隊長が主になります。ですが、現状の部隊編成の枠を変えることは、厄災対応を考えると現実的ではないと考えています」
「部隊長に昇格させられる者もいないのか?」
「候補者はいます。ですが、フランドール隊とジンガーグ隊に次ぐ魔物討伐の主戦力部隊を新設したいと考えているので、部隊長を副団長に昇格させるのは悩ましい所です」
ドレイドが語る方針はエルリックを含め騎士団の部隊長以上に既に共有され、検討を進めていることだった。
厄災が激しくなってくれば、各地に遠征する機会は必然的に増えていく。
その時、主戦力部隊が二部隊では手が回らない。
「ジュネット隊とエンバル隊も主戦力ではないのか?」
「その存在をよくご存じでしたね。両隊は、隊長の死傷と人員の損耗を理由に、既に解散の上各隊に人員を振り分けています」
レスティオは知らない間に大きな被害があったことに驚きながらも、この場では納得して見せる。
ジュネット隊とエンバル隊の生き残った兵を振り分けたとはいえ、すぐに三部隊にしないのは、兵の数と戦力不足の課題があるため。
新兵確保と訓練強化が急務であり、その点においては、妙案はないかとレスティオも相談を受けたことがある。
「副団長候補者から部隊長を除くと、現団長補佐のシャブル・キャロディ以外にいないと私は考えています」
議論するまでもなく、適任者は他にいないというドレイドにエルリックは唸る。
「家名の位は低く、魔力も弱いです。ですが、かつては部隊長として魔物討伐の最前線を担ったこともある叩き上げの実力者です」
「名前は聞くが、前線での負傷を理由に退いた者だろう?」
「はい。片目を無くし、前線を退きました。しかし、私の片腕としてよく働いてくれていますし、部隊長たちからの信頼も厚い。愛妻家で今回のような不祥事を起こすような人柄でもありません」
人事で咎めを受けた直後ということもあり、エルリックは慎重な様子でシャブルの経歴書を見つめる。
「次に人事に失敗すれば庇いきれないと思うが、それでも、ドレイドはシャブルを推すのか?」
「はい。彼は信頼には全力で応えてくれる男です。片目が無いことで不気味がって近づかない者もいますが、もし、レスティオ様が良ければ一度お会いになって頂ければわかるかと思います」
「クォートとマクールはどう思う?」
レスティオが背後を振り返って問うと、クォートもマクールも納得していた。
むしろ、シャブル以外には考えられないだろうと後押しする。
「じゃあ、レスティオが面談の上、問題ないと認めれば、それで申請を進めるといい。聖騎士の一声があれば、騎士団長としても心強いだろう」
ロデリオが半ば投げやりに言えば、エルリックは異論を唱えなかった。
シャブルとの面談の日程を調整すべく、ルカリオの元へと遣いが出される。
「ところで、レスティオ様は、今回の護衛部隊はいつまでお使いになりますか?」
「今回の護衛部隊?あぁ、クォートたちのことか」
クエールを交えた会議の場ということを踏まえて招集したので、今となっては不要だ。
「次の遠征は確かジンガーグ隊なんだよな。ぁ、ミリュヴェールの森からザンクに立ち寄ろうと思ったら、護衛が必要かな」
「それは護衛以前の問題だ。だが、そうか、ザンクで聖剣の試作を作らせているんだったか」
「そう。その視察に行きたいと思っていたんだ。一緒に行くか?」
「大陸会議のついでであれば多少の調整で済むだろうから行くと言えるんだがな」
ロデリオの発言に周囲がぎょっとした顔をしたので、きっと行くというのは難しいのだろうとレスティオは察する。
だが、ロデリオはそんなこと構わず真剣に悩む。
「魔物討伐に同行となると、遣いを同行させるのも難しいだろうからな。だが、ジンガーグ隊の遠征にフランドール隊長やファビス隊長が付いて行くわけにもいくまい」
意見を求められて、クォートは唸り、思案した後に頷いた。
「いえ、私だけであれば同行は調整可能かと思います」
「副隊長に部隊長代理を委ねるか?」
「はい。良い機会になると思います。私も他の部隊の動きには興味がありますし、聖剣というのも気になるところです。一時別行動を取ることを考慮しつつ、ジンガーグ隊から数名、皇族の護衛の者から数名を護衛部隊として再編してはいかがでしょうか」
クォートの提案に前向きに検討が進む。
マクールとフランはリーズの一件が解決したので、一旦解任して、ミリュヴェールからザンクへの遠征を踏まえて護衛部隊を再編することで決定した。




