プロローグ
この世界にはモンスターがいる。
小さいものから大きいものまで。色も形も違うモンスター達。
人と共存するものも居れば、人類の敵となるモンスターもいる。
そして、モンスターが蔓延るに連れ人間にも変化が起きた。
能力を持つ人間が現れ始めたのだ。
この世界では警察の武力は能力を持たない人間相手にしか通用せず、モンスターや能力者には通用しないことが多い。
そして、この世界ではモンスターと能力者関連で日々、様々な場所で事件が起こる。
そういう事件などを【World The Guardian】略して【WTG】という組織が治めている。
それが今の世界の状勢だ。
そんな世界の日本で生きる青年が一人。名前は『金型錬磨』
彼は、とある建物の前にいた。
「ここが最終試験会場のWTG日本東京支部か。やっぱり大きいな」
WTG日本東京支部、その建物は高さ500メートルとなかなかに大きいビルである。
彼は【WTG】の隊員になるために試験を受けて、一次試験、二次試験を突破。そして今日最終試験を受けるためにWTG日本東京支部に訪れている。
「さすがに合格手前だし緊張するな。最終試験で何かやらかさなければいいけど……」
そう言いながら彼は建物の中に入る。建物内はとても清潔でエアコンが効いているのかとても涼しかった。
受付は目の前。髪を手櫛で整えながら向かう。
「すみません。本日、最終試験を受けに来たものです。試験会場までの案内をお願いします。」
「かしこまりました。係りの者を呼ぶのでこの場で少々お待ちください。」
受付に言われて待つこと2分ほど、サングラスを掛けた厳つい人がやってきた。
「君が試験を受けに来た人かな?私は『鋼山正義』だ。これから君を試験会場に案内しよう」
そう言って厳つい人、鋼山は目隠しと耳栓、手錠に加えて怪しそうな薬を渡してきた。
「え、あの、えっと、これは何ですか?特に薬が気になるのですが」
使用意図が分からずたまらず質問してしまう。これに鋼山は答えた。
「先ほども言ったがこれから試験会場に向かう。試験会場は建物内ではあるが正確な場所は秘密でな。軽くだが拘束をさせてもらうよ。試験会場に着いたら拘束は解くことになっている。安心してくれ。それと薬についてなんだが、私から言えるのは飲んでおいた方が良いということくらいだな」
薬について正確な回答を得られなくて不安が残ってはいるが、飲まないと試験が受けられなさそうな雰囲気があるので錬磨は薬を飲んだ。
「よしそれじゃあ、拘束していくぞ。」
少しして拘束が終わり、手を引かれながら試験会場に向かう。
それからしばらく誘導されながら歩いていたが突然誘導が止まった。
そして耳栓が外された。おそらく試験会場に着いたんだろうと錬磨は思った。
「さて試験会場に着いたぞ。これから君の拘束を解く。君の試験が始まる前に一つ質問させてくれ」
「はい。何でしょうか?」
「君はなんで隊員になろうと思ったんだ?」
鋼山が拘束を解きながら聞いてくる。それは一次試験の時にも聞かれた内容だった。この世界では割とよくある答えになってしまうがそれでも答える。
「僕は子供の頃に隊員に救われたことがあるんです。その時の隊員に憧れて、僕も隊員になろうと思ったんです」
「なるほど。その救ってくれた隊員に会えるといいな。名前とかはわかるか?君が子供の頃って言ってたし、時期的に私の知り合いかもしれないからな」
「いえ、残念ながら名前は分からないんです。」
「そうか。まぁ、日本各地に支部はあるからな、ここにはいない可能性もある」
「そうですね。もしも隊員になることができたら、その人を探しながらモンスターと戦っていこうと思います」
「そうか。何はともあれ、まずは試験頑張れよ!応援してるぞ!」
「ありがとうございます!頑張ってきます!」
錬磨の横にあった大きな扉が開く。この先が最終試験会場なのだろう。
練磨は鋼山の方を向いてお辞儀してから扉の先に進んだ。