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初夜

儀式が終わり、二人はくたくたになって住居に戻った。

通常、ファミリーは大人が住むゲルと子供が住むゲルに分かれて夜を明かす。


リューシャは成人したため、リューシャ用の新たなゲルが与えられた。

夫婦二人で住むにはまだまだ広く、物も少ない。

つい先程まで名前も知らなかった相手と、二人きりで暮していくなんてなんとも気恥ずかしい。

お互いになんとなくそわそわしてしまう。


「ええっと、何か飲むかい?お茶くらいしかないけど…」

リューシャはぎこちなく問いかける。

「ありがとう。もらおうかな。」

サミはソワソワしながらあたりを見回し、椅子に腰掛ける。

リューシャは湯沸かしの魔法を使い、お茶を入れる。

気まずい沈黙が流れる。


「あのさ、」

サミが沈黙を破った。

「昼間は、ありがとね。その、助けてもらって。」

「あれは危なかったね。そういえば、あのマネオウム、すごいね。よく懐いてる。」

「キャムっていうの。お母さんにもらった、大切な相棒なんだ。」


リューシャが鳥かごのなかのキャムに目を向けると、キャムはクエと鳴き首を傾げた。

「…」

また沈黙が流れる。


結婚した後って何すればいいんだ?

普通に寝ちゃっていいのか?

なにも聞かされてないし…


「えーと、お、お茶、美味しい…ですか?」

なんで敬語なんだよ、それに何だこの質問は…

リューシャは我ながら呆れてしまう。


「あ、はい。美味しい!…です。…えっとリューシャくん、わたし、覚悟は出来てるよ?この後…その、するんだよね?」

サミは顔を赤らめ、リューシャはを見つめている。

「ええ!?」

突然の展開にリューシャは戸惑った。


「お、おれは!」

「ドーン!!!」

突然の声が、リューシャの話を遮った。

リューシャが入り口を振り返ると、そこには仁王立ちの妹の姿があった。


「ゲッ!マルカ!何しに来たんだ!」

「何よ!その言い方!妹としてはー、お兄ちゃんの初のお嫁さまにー、ご挨拶をしとかないとなー、と思ったわけですよー。」

「なんだその喋り方…、だいたいさっき親戚中に挨拶して回ったときいなかったのはお前だろ。」

「お姉さま、わたくしめは、この暗黒の騎士リューシャの妹マルカリスと申す!マルカでいいよ!かわいがってね!」

「勝手に変な称号つけるのやめてくれる?なんか痛いだろ。」


「あ、あのわたしはサミって言います。ふつかよいですが、よろしくおねがいしましゅ!」

「ふつつかものね。そんなドランキーな花嫁やだなー」

サミも妹の突然の乱入に、調子を崩されてしまった。


さっきまでのきまずい雰囲気も、妹の登場によって完全に崩されてしまった。

気まずい雰囲気も辛い物があったが、この壊され方は想像だにしていなかった。

それにこの妹、リューシャのペースを完全に崩してくるかなりやばいやつなのだ…


「じゃあ、サミ姉だ!わたし、サミ姉可愛いからだ〜いすき!」

そう言ってマルカはサミに抱きついた。

「す、すごい元気な妹さんだね。」

「ごめん、この子ちょっと変なんです…」


リューシャはサミからマルカを引き剥がす。

「マルカ、妹たちの世話はどうした。俺たちはそろそろ寝るから、帰りなさい。」

「いやじゃ、いやじゃ〜!マルカ、お兄ちゃんと一緒じゃなきゃ寝られない!生まれたときからずっと一緒に寝てたじゃん!」


マルカが地団駄を踏んで抵抗する。

サミが少し白い目でリューシャを見ている気がする。


「はぁ、今日は三人で一緒に寝ようか。ね、リューシャくん、マルカちゃん。」

サミがため息交じりに提案してくれた。

サミには本当に申し訳ない。

でも、二人きりの気まずさを和らげることができることに、内心ホッとしたのも事実だった。

今回も読んで下さりありがとうございます!

皆さんの応援が執筆の励みになりますので、少しでもいいな、続きが気になると思った方は是非ブックマーク、高評価お願いいたしますm(__)m


次話もお楽しみに!

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